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ドライヤーはダメージになる?艶っぽい髪にしたい

操作イトウです。

以前に、某有名モデルさんが

「私はドライヤー使わない」

って言ったことがきっかけで、

=ドライヤー使わない方が良いらしい」みたいな志向が広まったそうです。

が、一美容師として意を唱えたいと思います。


間違ってるよ!!

絶対ドライヤーした方がいいのだ!!


まず、艶とは

艶(ツヤ)には「光」と「反射」、「色味(彩度)」「スタイリング剤」が大きく関わっています。


・「光」と「反射」

光の反射によって、髪の毛は艶っぽく見えています。

光は「平面」であるほど真っ直ぐ跳ね返りますが、「凹凸」があると光が乱反射するため、艶っぽく見えません。
髪の毛は「平面」的なストレートスタイルであるほど艶がでやすく、「凸凹」しているウェーブスタイルであるほどパサついて見えます。

これはパーマをかけたダメージだけの問題だけではなく、そもそも天然パーマも含めたウェーブスタイルは、パサパサして見えやすいのです。

なので、ブラシやコームを通して、髪の毛の「平面」を整えるだけでも髪の毛の艶は増すので、お出かけ前のブラッシングは効果アリです。


・色味(彩度)

髪の毛は色味(彩度)によっても艶が変化します。

ここからは色彩学のお話です。あらゆる物の色は、赤(マゼンタ)、青(シアン)、黄色(イエロー)の三色の組み合わせで造られています。

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この三色があれば、絵の具を混ぜるようにして、あらゆる色が作り出せるのですが、

髪の毛の黒色(正確には焦げ茶です)も、赤青黄の配分でできています。

この髪の毛の黒色は、人それぞれ微妙に配分が違います(『パーソナルカラー』と呼ばれます)。大きく分けて東洋人と西洋人は、体型、骨格のみならず肌の色、目の色など、色味も大きく違います。

東洋人は赤青黄のうち、赤色と黄色が多く含まれています。

逆に西洋人は赤青黄のうち、青色が多く、赤色が少ないのが特徴です。

そして髪の毛の焦げ茶色の中の赤色は、重たく硬い印象を与え、艶っぽく見える特徴があるのに対して、

青色は、軽やかで柔らかい印象を与え、パサパサして見える特徴があります。

アジアンビューティーな艶っぽい黒髪ストレートは東洋人特有の髪質で、ウェーブのある西洋人が真似しても、なかなかできません。

東洋人が西洋人の髪の毛やファッションに憧れるように、他の人種の方からすると、憧れの対象になるそうです。

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なお、「色、ヘアカラー」については、また今度投稿したいです。

・スタイリング剤

オイル、ジェル、グリースになどのスタイリング剤によって、ツヤ感を演出することもできます。

これらは、反射しやすい反射盤をつけているような感じです。髪の毛にミラーボールが付いてるみたいなイメージでしょうか。。



有ると無いとじゃ大違い

艶の有り、無しで与える印象を言葉でチョイスしてみました。

・有り

整って見える、清潔、ホテルマン、ドレッシー、フォーマル、高級感、プレッピー


・無し

ボサボサしてみえる、不潔、無造作、グランジ、ラフ、カジュアル、スポーティー


この言葉自体は髪の毛に限らず、ファッション的にどちらも存在していて、プラスにもマイナスにも捉えることができます。


髪の毛は海苔巻き

髪の毛は輪切りにしてみると、「海苔巻き」のようになっています。

表面を包む海苔、具を包むシャリ、真ん中の具、と大きく分けて3層構造になっています。

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・海苔 
キューティクル(毛小皮)」と呼びます。鱗(うろこ)のような状態で表面を覆い、根元から毛先に向かって重なっていて、鎧の役割をしています。

・シャリ
コルテックス(毛皮質)」と呼びます。カラーやパーマのかかりに影響する部分です。

・具

メデュラ(毛髄質)」と呼びます。かんぴょうであり、きゅうりであり、マグロです。が、実際は空洞なのだそうです。

空洞が故、保湿力に影響します。空洞に溜め込める、ということです。

動物の種類によってはこのメデュラが大きく、保温効果を高める効果もあるそうです。


・髪の毛は根元から生える

髪の毛は、根元から生えてきます。先っちょから伸びていく植物とは違って、毛先を押し出すように根本が生えることで、髪の毛は伸びていきます。

ヘアカラーをした明るい髪の毛が、何ヶ月も経つと根本に黒い毛が生えていわゆる『プリン』になるのはこのためです。なので、生えてきた根本は、やがて毛先になっていきます。

また髪の毛は、1ヶ月に大体1cmぐらい伸びています。なので今、先っちょにある毛先は、何ヶ月も、何年も前に生えてきた髪の毛、ということになります。


・髪の毛に自然治癒力はない

「髪の毛は死んだ細胞」と、美容界では定番のフレーズです。

髪の毛は生えてきた根元がMAXで頑丈な状態で、毛先になるにつれて外からの刺激を受けて弱っていきます。
また、髪の毛には神経もありません。ハサミで切っても痛くないのはこのためです。

よくお客様が、傷んだ毛先を見ながら「髪に栄養が行ってないのね」と嘆いていますが、それは間違いです。

ダメージを負った髪の毛が、自分で回復することはできません。そもそも髪の毛先には、栄養は行き渡らないのです。


ダメージとはなんぞや

髪の毛におけるダメージとは、摩擦や熱、紫外線や薬剤から受けるものを指します。

海苔巻きにおいては、
・海苔(キューティクル)が剥がれること
・剥がれた海苔の隙間から、シャリ(コルテックス)が流失すること

となります。

そしてダメージを負うと、「パサパサになる、ツヤがなくなる」いわゆる傷んだ状況です。海苔が剥がれたことで凸凹になり、手触りがザラザラします。

そして、見た目からも感じ取れます。


・明るくなる

黒い色素はシャリの中にあるため、流失すると色が薄くなり、茶髪になります。


・毛先が白く見える

海苔が剥がれてしまうとめくれた表面が乱反射して、ポツポツと点で白く光って見えます。


・枝毛になる

シャリ(コルテックス)は縦に繊維が繋がっているため、流出すると縦に裂けやすく、枝毛になってしまいます。


またカラー、パーマを作用させる場所でもあるので、薬の効きが悪くなります



ドライヤーとキューティクルが艶をつくる

海苔(キューティクル)は鱗(うろこ)のように表面を覆っていますが、人によって数が違います。
鱗が多ければ多い方が防御力は高く、ダメージを負いにくい上、艶っぽく見える特徴があります。

これは「お肌」と一緒で、キメが細かい方がツルッとしていて凹凸が少なくなるため、光が反射しやすいのです。

美容師がドライヤーを使うことを推進する理由は、キューティクルの特徴にあります。


・水を含むと鱗が開く

鱗は折り重なって覆っていますが、髪の毛が水を含むと豊潤して、鱗の間に隙間が生まれます。

隙間がある状態は剥がれるきっかけになります。なので、水を含む髪の毛は乾いている時に比べて防御力が下がります。


・熱を当てると鱗が閉まる

逆に、水を含まない髪の毛に熱を当てると、開いていた鱗は閉まります。

隙間がない状態は剥がれにくくなります。なので、乾いている髪の毛は防御力が上がります。

鱗が閉じると、凸凹が小さくなるため、艶が出やすくなります。

ブローやストレートアイロン、コテをすると艶が出るのは、このためです。


・自然乾燥させると鱗は開いたまま

自然乾燥した髪の毛は鱗が開いたまま固定されるため、剥がれやすいまま固定されてしまいます。

鱗が開いたままだと、凸凹が大きくなるため、艶が出にくくなります。


以上のことから、

ドライヤーで乾かす = 髪の毛がダメージを負いにくい = 艶がでる

この状況を作ることができるのです。


ドライヤーで乾かすことは、髪の毛だけでなく、頭皮にもメリットがあります。


・頭皮が荒れない

頭皮を自然乾燥させると、お肌が乾きすぎてカサカサしてしまいます。

これはスキンケア全体に言えることで、特に髪の毛に水がくっついたまま留まりやすい頭皮は、乾燥しすぎるとフケやかゆみの原因になります。


・臭くならない

頭皮や髪の毛が乾かないと、生乾きの洗濯物の臭いがしやすくなります。

これは特にロングヘアの人、とりわけ毛量の多い人に起きやすいことです。

髪の毛に水がくっついたまま留まっていると、臭いのする細菌が繁殖します。一番髪の毛の密集しやすい後頭部のくぼみ「ぼんのくぼ」の辺りで起きやすく、

臭くなった洗濯物が洗っても臭いを落せないように、日々のシャンプーでも一度付いた臭いは中々落ちてくれません。


「オーバードライ」が気になる?

髪の毛に熱を与えすぎてダメージを負うことを「オーバードライ」と呼びます。

これを警戒してドライヤーをためらう方もいるのではないでしょうか。


ですが一美容師である僕的には、

全然気にすることない、と思っています。


もちろん、同じところにずーっと熱が当たると、髪の毛はダメージを負います。

が、そもそもドライヤーをする行為ってめんどくさいことであって、「オーバードライ」になる前に疲れてしまうと思うので、

そんなに時間かけなくない?ってことです。


乾かすコツを一つ

「早く乾かせる、ツヤツヤになるドライヤーの当て方」についてはまた後日投稿しますが、

一つコツとして、頭皮に風を当てましょう。

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↑写真のように、ではありません。。

ドライヤーの風を頭に当てているだけだと、表面がすぐ乾くものの、内側はなかなか乾いてくれません。

内側が乾かないと生乾きの臭いになってしまうし、表面にばかり熱が当たっていると、それこそオーバードライになってしまいます。

なので、髪の毛をあいている片手でめくるようにして、その隙間から頭皮に風を当ててみてください。

そうするとドライヤーの風は根元だけでなく、同時に余った風が髪の毛の中間・毛先にも当たっているため、効率よく乾かすことができます。



某有名モデルさんも、「ドライヤーは悪」だと言ったわけではない

曰く、

「子育てに時間を割くために、自然乾燥に任せてるのよ」

ということだったらしいです。

有名モデルの影響力はすごいですね。

美の追求に勤しむモデルさん達。でも真似したくなるのは、

「週○回ジム通い」よりも、「〇〇しなくてイイ美容法」みたいなやつばっかりですよね。

それも美容界の性(さが)なのか、

「楽してキレイになりたい!」は尽きないですね。





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