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《シャンプー解説【中編】》「ドラッグストアでオススメは?」に対する美容師の正直な回答
操作イトウです。
引き続きシャンプー解説、【中編】です。
美容師が「ドラッグストアには、オススメは無い」といった話をする理由について、順を追って説明しています。
※文中、「ドラッグストアで売っているシャンプー」について、文字数が多いので「市販」と表現することがあります。
先に【前編】を読んで頂くことを推奨します↓
【ヘアケアの概念その②】ダメージを負った髪は、トリートメントすればオッケー?
前編では、「ヘアケア」は、「いかに髪を保護して生活を送れるか」が大事な概念だという説明をしました。
これについて、「ダメージは、トリートメントをすれば改善されるのでは?」と考えた方もいるのではないでしょうか?
「トリートメント」は髪の毛の内部に浸透し、補修することができます。ですが、これは一過性でしかありません。
理由は、髪の毛がダメージを負った“履歴”は、切り落とすまでずっと残るからです。
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■トリートメントは「補修」であって「修復」ではない
そもそも“自然治癒力”が無い髪の毛は、スキンケアにある「ターンオーバーを促す」機能のように、「髪の毛の回復を促す」ことができません。
そのため「トリートメント」は、髪の毛が傷んで失ったものを補うために、「成分を注入すること」を指しています。
トリートメントの機能は、傷みをカバーする「補修」であって、元通りに治す「修復」ではないのです。
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■トリートメントは「万能薬」ではない
そして髪の毛は、「補修」のために入った成分を保っておくことができません。髪の中に入ったトリートメント成分は、中で定着することなく、徐々に抜けていってしまうのです。
これは、美容室で行う最高級のトリートメントであっても同様です。どんなトリートメントも、「髪の毛の中にずっと定着する」ということはできません。
つまりトリートメントは、超回復する「万能薬」ではないのです。
このことから、「傷んでるから、いいトリートメント使ってみよう」とするより、やはり「傷まないためのアプローチ」の方が重要なのです。
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シャンプーは「洗剤」だから、気を付けてほしい
シャンプーは、「洗剤」の部類に入ります。
言わずもがな、洗剤は「汚れを洗い流す」ために用いるものです。
食器用洗剤で手が荒れる、洗顔料がお肌に合わないなど、経験がある方もいると思います。
例えば、頭皮が痒い方は、シャンプーに原因があることもあります。
これは洗剤の「洗浄力」に影響されています。「洗浄力」が強ければ、しつこい汚れも洗えます。
反面、必要以上に油分を洗い流してしまうことにもなります。つまり、刺激が強すぎるから肌荒れしてしまっているのです。
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▼シャンプーによって、髪の毛は日々ダメージが蓄積されている
必要以上の「洗浄力」は、毎日のシャンプーによってダメージを“蓄積”させるきっかけになります。
例えば、お肌にダメージを与えてしまった場合には、薬を塗ってターンオーバーを待てば、回復することができます。
ですが髪の毛の場合は、ターンオーバーはできず、その“履歴”も残ります。
そのため、「毎日のシャンプーが低刺激であることが、シャンプー選びには重要」ということになります。
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「洗浄力」は、「界面活性剤」の種類で決まる
この「洗浄力」は、「界面活性剤」の種類によって変化します。
「界面活性剤」とは、「洗剤の成分」のことです。
「界面活性剤」は、「油分(汚れ)」と「水」との間に境界線(界面)を作って、浮き立たせることで汚れを落としています。
この「界面活性剤」の質によって、シャンプーの良し悪しが決まる、と言って過言ではありません。
シャンプーに使われる界面活性剤には、代表的なものとして「高級アルコール系」と「アミノ酸系」があります(他は割愛)。
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◎「高級アルコール系」は、安価で洗浄力が強い
「高級アルコール系」は、市販のほとんどで用いられている界面活性剤です。石油を原料として作られるため、「石油系」とも呼ばれます。
安価に仕入れることができ、洗浄力が高いことから、市販のシャンプーや台所用洗剤などに重宝されています。
ですが、洗浄力が高いため、洗剤としての刺激が強いことが大きなデメリットです。敏感肌の方には刺激が強すぎることも、ままあります。
※「高級」というのは、「高価な」という意味ではありません。薬学用語としての「高級」の意味で、「低級」もあるそうです。
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◎「アミノ酸系」は、程よい洗浄力と保湿効果
「アミノ酸系」は、多くのサロン専売品シャンプーに用いられています。
その理由は、優しい洗浄力です。
髪や頭皮を洗うのにあたって、“程よい”洗浄力を持っていることから、過度なダメージを軽減することができます。
また、洗い上がりがしっとりするのも特徴です。髪がギシギシになりにくく、シャンプーを流した段階から指通りが良い状態になります。
これは、「アミノ酸」だから。
髪の毛の主成分である「タンパク質」は、「アミノ酸の集合体」です。
髪の毛に“近い成分”で洗うことができ、保湿効果も期待できます。
反面、成分は高価なので、製品を安く提供できないことがデメリットです。
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原価の差が大きいから、市販は「アミノ酸系」を使えない
「界面活性剤」は種類によって、材料の原価が大きく変わります。
「安さが大前提」の市販では、お金をかけられません。故に市販は、「高級アルコール系」以外の選択肢を取ることができないのです。
対して、サロン専売品のシャンプーは、積極的に「アミノ酸系」を使います。
これは、サロン専売品はある程度高額でも、消費者に手に取ってもらえるからです。
「商品の値段」に対する“縛り”が、市販ほど厳しくないのです。
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■市販の使用感のサラサラ、ツルツルは「コンディショナー」によるもの
高級アルコール系のシャンプーは洗浄力が高いので、洗った髪はギシギシになりやすいです。
ですが一般的には、多くの方が市販を日常使いしている(してきた)ため、「シャンプーでギシギシ」は、あえて疑いもしない当たり前の感覚だと言えます。
ですが、それでもギシギシは印象が悪い。
そのため、市販のシャンプーは「シャンプーではギシギシになっちゃうけど、コンディショナーでツルツルにする」といったアプローチをとっています。
「コンディショナー」は、髪の毛をコーティングすることで手触り感を良くしています。そのため安くても、最低限ツルツルになります。
ですが、一度ギシギシになった髪をサラサラ、ツルツルな質感にしているだけなので、一度負ったダメージがチャラになるわけではありません。
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■市販は「他の要素」で差別化を図るも…
市販は「シャンプーの質」の面では、ほとんど差別化できません。
そのため、市販は「他の要素」での差別化をアピールしています。
「旬の女優さんが出演するCM」「〇〇成分配合」「オーガニック〇〇」などは、その最たるものです。
これらは、イメージ戦略によるものです。
聞いたことがないけど「〇〇成分」はなんだか“効果がありそう”に見えるし、「あの女優さんのようなサラサラヘアになりたい!」と“思わせる”ことで、私も使ってみよう、と手に取ってもらうのです。
ですが、「髪の毛に良いとされる成分」を取り入れるほど、安く作ることはできないので、その成分の配合量が少なかったり、そもそもその成分も安価で、有効性が薄かったりするのです。
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美容師が市販のシャンプーをオススメしないのは、「製品がほぼ一緒だから」
ご理解いただけたでしょうか。
多くの美容師が「市販はオススメできない」と言っている理由は、「市販は、製品がほぼ一緒だから」なのです。
また、イメージ戦略の一例として「ノンシリコンシャンプー」の話もしたかったのですが、これはこれで長くなるので、今回は割愛します。
前編、中編を通して「市販」についての説明をしましたが、後編は「サロン専売品」にフォーカスした内容になります。
ではまた。
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