【考察】おばあちゃんの髪は、なぜ紫色なのか?
操作イトウです。今回は「紫おばちゃん」のお話。
おそらく20年以上前から、「紫おばちゃん」は急増しました。最近は下火になっているようですが(地域によるかな?)、言われてパッと思いつくほど、ビジュアル的にも世間には浸透したものと感じています。
ではなぜ、おばあちゃんに紫ヘアが流行ったのか、考察します。
そもそもおばあちゃん世代は、紫色が好き?
「紫色」は、そもそもおばあちゃん世代にとって潜在的に好まれ、選び取られやすい色であるようです。
色彩心理において「紫色」は、女性たち美意識の強い色です。後述しますが、紫は色彩学的に見て、お肌を色白に見せる効果もあります。
女性らしさをアピールし魅力的に見せます。薄紫は上品で優雅、濃い紫は妖艶な美しさといったイメージで個性を引き出します。※下記より抜粋
また、古くから東洋では(西洋は分かりません)、紫色は高貴な色として用いられてきました。分かりやすいのは、かの「冠位十二階」。位によって冠は色分けされるその最上位は、紫色です。
そして「紫おばちゃん」の代表格といえば、淡谷のり子さん。
僕にとっては「モノマネ王座の審査員」のイメージです。当時のおばあちゃん世代を代表する存在で、テレビでの影響力は大きかったのではないでしょうか?
美容師にとって「紫色」は重要な道具
美容師にとっての「紫色」は、特に「ハイトーンカラー」を扱う際の最重要ファクターです。これは髪の毛の「黄色」に関係があります。
髪の毛はブリーチ(脱色)をすると、[黒 → こげ茶 → 茶色 → 黄色 → 明るい黄色 ]の順番で明るくなります。一般的に「金髪」というと、黄色い髪の毛をイメージすると思います。
この「金髪」は、複数回ブリーチをする事で黄色が抜けていきますが、真っ白にするほどブリーチを重ねると、髪の毛がダメージを負い過ぎてプツプツと千切れてしまい、維持することができません。
そのため、様々な色に髪を染めたくても「キャンパス(下地)」は黄色からのスタートです。すると、着色する時に不都合が起きます。
「カラーサークル(色相環図)」で見ると、金髪は「黄色からオレンジ」の辺りです。これは「赤+青=紫」というような、色の混ざり方の関係を表しています。
色の関係性を示しているカラーサークル↓
これに倣って美容師は、絵の具を混ぜ合わせるように色を計算するのですが、この時「黄色」が邪魔をしてしまう。「髪に載せる色」の発色を良くするためには、キャンパスが「白色」に近づく必要があります。
ここで使うのが、「紫色」です。お互いの色味を相殺する「補色の関係」という理論を利用して、「黄色」の反対色の「紫」を少量加えると、金髪を白っぽく見せることができます。
流行の「グレージュ」にするのにも、紫色が重要↓
ブリーチについてはコチラを↓
実は、白髪も「黄色」?
グレイヘアというと、白人のおばあちゃんのような「ロマンスグレー」の真っ白な白髪をイメージする方も多いと思います。透き通るような青白い白髪は、憧れますよね。
カルメン・デロリフィチェさん
ですがアジア人の場合、白髪は「黄色味がかった白」になります。
白人の髪や肌は「青色」が多く「赤色」が少ないのに対して、アジア人の髪や肌には「赤、黄色」が多いです。白髪にもこの色素の傾向が残っているため、アジア人の白髪は「黄色味がかった白」になります。
この「黄色味がかった白」は、“品が無い”ように見えてしまいがち。黄色味がかった白いTシャツは、経年劣化して「黄ばんだ」Tシャツに見えやすく、お手入れを怠ると“疲れた印象”になってしまいます。
もっと詳しい説明はコチラで↓
僕が考察する「紫おばちゃんの誕生」は、この黄色味がかった白を解消するために「美容師さんが紫に染めて、失敗したのでは?」説です。
【考察】なぜ白髪に紫なのか?美容師の失敗が“結果オーライ”説
ブリーチで説明したように、紫色を紫に見えないくらい少量足すと、「補色の関係」で青白く見せることができます。美容師さんは、それを白髪に配合することで「キレイな白」になるように狙ったのではないでしょうか。
とはいえ「白髪の黄色」は「金髪の黄色」より薄いため、ホントにちょびっとの分量でも効果が出ます。ですがその美容師さんが、必要量より分量を多く(または、作用させる時間を長く)施術したかもしれません。実際、この少量の度合いは美容師からしても難しく、予想より紫が強くなってしまうことも珍しくありません。
そのため、白髪をキレイに見せるために染めたつもりが、紫色が濃すぎてしっかり紫色に染まってしまった…。
ところがお客様のおばあちゃん(淡谷のり子さんかも)は「あら、素敵じゃない♡」と大喜び。ご近所さんも、会う人会う人「私も○○さんみたいにしたいわ♡」と褒められます。
そして、真似するおばあちゃんが急増!全国に広がったのでは?
という、美容師の“結果オーライ”だったのではないでしょうか。
これは「偶然の産物」説ですが、ステキならそれでもいいのです。真相はわかりませんが、喜んでもらえるならそれが一番!なのです。
ではまた。
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