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2023 霜月の京都・12(最終回) 重森三玲の庭をもっと観たい旅、東福寺塔頭龍吟庵

タイトル通り、5月(皐月咲く京都シリーズ)に引き続き、またもや重森三玲である。
11月の13〜14日の二泊2日旅である。
この時期なので紅葉はそんなに望めない。けれどもハトが京都を目指す理由はひたすら“お庭”なのだ。重森三玲のお庭に魅せられて氏のお庭を巡る旅はまだまだ続く。

今シリーズは昨年中に書き上げるはずがどんどんずれ込み、ついには立春をも超えてしまうというぐずぐずの展開に。
東福寺では今回は光明院、霊雲院、龍吟庵を拝観した。


時刻は13:25。
ランチとして東福寺日下門近くの休憩所でおうどんを食した、ハトと“庭友さん”。

“庭友さん”とは、実はnoteでコメントのやり取りをさせていただいている、makilinさんなのだ。makilinさんはお庭だけのファンではなく、アート全般のファンで(だと思う)柚木沙弥郎氏はmakilinさん情報から知ることができたのだった。
今回の旅もそんなmakilinさんに実際に会ってみたいということもあり、旅の日程を調整してのランデブー。
最初は龍吟庵のみの予定が、急遽霊雲院のトライすることとなり、問い合わせや予約をやってくださったのはmakilinさんなのであった。

↓makilinさんのnote記事はこちら


休憩所を出て、龍吟庵へ向かう。
日下門と通天橋入り口のあたりは結構な人だかり。紅葉の赤色はそんなについていないけど、混雑回避の観光客は多いのだろう。というより、ハトだってその一人だ。

東福寺境内をずんずん進む。紅葉の時期はお土産物屋さんのテントがたくさんで見ていて楽しい。ワインやら日本酒やらに目を奪われるが、同行者と一緒なので寄り道なく目的地に辿り着けるのがありがたい。


方丈を回り込んで、大好きな“偃月橋”へ。
この橋を渡れば“龍吟庵”である。

流石に無人の偃月橋は撮れなかった
この門の内側が“無の庭”
ということこの門は大事なお客様用か。
龍吟庵山門(拝観後にとったもの)
桃!!
いつも気になるやつ(拝観後に撮ったもの)
拝観(方丈)入り口


門を潜り、建物の入り口にある拝観口にて拝観料を納める。
簡単なガイド付きで、1000円だった。

すぐにお庭が見えるのでハトは大興奮。
ガイドのグループが出来上がるまで少し待たされたが、結局4名で出発。

南庭、“無の庭”
昭和25年(1950年)
座り込んでしまったら時間を忘れてしまいそう


龍吟庵の建物(方丈)の説明では、国宝で、現存最古の方丈建築。応仁の乱以前、室町時代ということなのだとか。貴族の時代の寝殿造と武家の時代の書院造が合わさっていると。
なるほど、窓?は平安絵巻で見るような蔀戸が跳ね上げられている。
龍吟庵ではお庭の写真はokだが、建物はNGなのだ。建物の説明は文字では難しい…

ちなみに龍吟庵は東福寺塔頭のなかで最も格が高いのだそう。

“無の庭”はハトが一番見たかったお庭でもある。
あれほど石のゴツゴツのお庭を作成していながら、何もない庭なんて、と思っていたのだ。

龍吟庵の本当に何もないお庭、それは向き合うと心の中の思いがすぐに覗けてしまうのだろう。そういうった意味では一番厳しいお庭なのかも、と感じた。
実際、先ほど拝観した霊雲院では見えているものを目で追いかけることに集中しているうちに心がシンと鎮まるのを感じるたのだが、“無の庭”はそうではなかった。見たくないものも見えてしまう、けれどもそれを改めよというわけではなく、「あたなはそういう人なのだよ」と自分を受け入れることをより力強く説いている感じ。
ハトはこんな感じで妄想に浸っていたので、せっかくのガイドさんの説明がほとんど聞こえていなかったという、勿体無いことに。
公式サイトではこの“無の庭”はかつては儀式の場だったそうで、このように空間を開けるのが正式な作り方だった、とある。


続いて“竜の庭”

西庭“竜の庭”
打って変わっての躍動感
雲や海を自由に泳ぐ回る、龍。
でもこちらを見守っている
紅葉の盛りでは、もっと違った感じに見えるはず。
グルグルはステキ
壁?垣根は雷紋
中華でお馴染みだがれっきとした文様なのだそう
ズーーーーーム
反対側の端っこの方
“無の庭”との境の垣根
こちらは稲妻紋
次の庭への物語を繋げているのだそう。


“竜の庭”の次には龍吟庵の北側へ。
そこには開山堂があり、大明国師像(重文)が安置されている。
開山堂は写真を撮っても良いのかわからなかったので撮らなかった。
そういえば今回の旅で南禅寺も拝観したが、そこでも大明国師の名前を見かけたな、と思っていたら、やはりそうだった。
大明国師は(だいみんこくし)と読むのだ。やっと覚えた。そして無関普門(むかんふもん)という名前でもあったのだ…東福寺の第三世であり、南禅寺の開山。(開山とは寺院の創始者または宗派の祖。ちなみに開基とは寺院は宗派を創立すること又はその僧のことだとか。用語が色々あってググりながら覚えていく感じである)
この開山堂はいわば大明国師のお墓?のようなところらしい。心の中でそっと手を合わせる。

続けて最後のお庭へ。ここのお庭も期待大のお庭なのだ。
大明国師の幼少の頃の話が題材となっている。

中庭“不離の庭”
(東庭と書かれていることも)
赤い砂が一気に非日常空間へ
赤砂は鞍馬の赤石なのだそう。
垣根は草木生い茂る山の中を表しているのだとか
オオカミたち
確かにオオカミ。
反対側から
狼に対抗する黒い犬さん(左端)

この、“不離の庭”はじっくり眺められる場所ではないのだよな…
東福寺本坊の北庭や西庭もハトは大好きなのだけど、じっくり眺められない場所なのだ。
どれもモダン過ぎて(アバンギャルド?)過ぎて、やはり“メイン”ではなかったのかも。あるいは百年、二百年先の価値観さえも見越して残るのは伝統的な構成の、ということでもあるのか、とハトは思った。

ガイド付きで一巡りしたが、空いていたせいか、「すぐに帰ってね〜」という感じではなかったので、もう少しだけお庭を眺めていた。
お庭にばかり目が向いていたので、建物の記憶がイマイチ。是非ともまた見に来たいものだ。

そんなわけで龍吟庵、東福寺を後にすることに。
JRに乗るmakilinさんとは東福寺駅にてお別れ。

ハトは京阪線で四条へ戻る。京都に来たからには買いたいものがあるのだ。
買い物が済んだら、これまた京都のコーヒーを堪能して帰ることにする。
もちろん、“カルネ”も買って帰ろう。

小川珈琲さん

これで今回の旅は終了。
夏以来のつかれを癒したいと思いつつも、結局いつものように弾丸欲張りツアーとなってしまった。

おかげさまで重森三玲氏の京都のお庭はほぼ見れたのではないかと思う。
あとは公開日限定のお庭を残すのみ。……光清寺、泉涌寺本坊、真如院、石清水八幡宮、田勇機業庭園(個人邸宅、京丹後)。
チャンスを窺いつつ、拝観に行ける日を楽しみに待つこととする。

これで京都にはもう行かない、ではなく、他の見たいところも訪ねつつ、三玲のお庭を「お代わり!」していくのだろう。

こうして今シリーズの“2023 霜月の京都”はおしまいである。
節分どころかバレンタインデーも過ぎ、ひな祭りが見えてきた今日この頃。
しかしながら次なる京都行きをうっすら思い浮かべているハトである。

次なる京都は“ロイヤルシリーズ”を訪問したいのだ。

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