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2024 お祭りの京都の旅・5 葵祭、路頭の儀(午後)

2024年5月15〜16に京都へ旅をした。
これまでの3回の京都旅にて大好きな重森三玲のお庭を一通り見終えてこの5月は行かなくてもいいかなとも思っていたのだ。
ところが母の事が済んで、間を置かずに伯母の事が始まり、埃だらけの中で沢山のモノを捨て続ける作業に心が疲弊してしまったのだ。

「美」を見なくては。心に養分を与えなくては。

“雪舟”を観よう。その展覧会は東京での開催は無いのだ。
その他どこかのお庭も観よう。
だからこそ今回も京都。
もう、いっそのこと5月と11月には京都を訪れることに決めてしまおうか。


時刻は14:30。
北大路駅のABCマートにて靴を買い替え、履き替え、復活した足で加茂街道を北上する。
葵祭の行列を見るのだ。
今回の旅では葵祭のために日程を組んだのではなく、日程を組んだら葵祭の日だった、と言うことで急遽見物を決定。つまりは行こうとしていた他のお庭を諦めたのであった。まあ、京都にはまた来れば良いではないか…

今回は一応、事前学習もしてみた。
なぜなら解説無しでは何のことやら分かりずらいお祭りだと聞いたからだ。
え、平安時代の着物を着た人がパレードするのでは?
と思っていた、ハト。
パレードといえばそうである様子だが、音楽無し、歌も無しだと。ググってみれば、ハトが葵祭と呼ばれているが本当は“賀茂祭”なのだとか。
しかもあのパレードというのか行列が葵祭だと思っていたのに、祭で執り行われる儀式の一つなのだとか。“路頭の儀”と言うのだ。路頭の儀は英語ではroadsaide ceremonyとあった。パレードでは間違いではないけど、なるほどと思う。セレモニーなのだな。

行列に関して、中身が知りたいので“京都宮廷文化研究所”さんのページなどを読み込む。わからない漢字のオンパレードでまさにパレード。
無理だ。とても全部は覚えきれない。
ただ、神社のお祭りに天皇が参加、でも天皇本人は参加出来ないから代わりに近衛使。それと勅使。さらにお祭りを実行するにあたって高い身分の巫女さんが必要だからの斎王。この方達が下鴨、上賀茂神社に行くための移動の形があの行列。だってとても身分の高い人たちだからお付きの係や警備の者たちが大勢で、それはそれはの大人数。行列にならざるを得ないのだな。

とまあ、このような感じでの事前学習。
勅使、と言う言葉はだいぶ前に奈良の春日大社で神職さんによるガイドツアーで説明してもらっていたので、違和感はなし。
と言うことは…この葵祭だって本物の勅使の方がいらっしゃるはず…と妄想を繰り広げる。
斎王もなんとなくわかる。伊勢神宮へ行った時に知った。
けれども近衛使はお初の単語。


その他妄想を繰り広げながら北大路駅(のイオン)から歩くこと15分ほど。もっと歩いたかもしれないが、とあるバス停前がなかなか良いポジションに思えてそこで“路頭の儀”を拝観することに。

ここで観ることに

バス停の少し広くなったところに敷物を大きく広げて場所取りをしている方がいたのだが、少し経つと地元の保育園の子供たちがやって来た。大人しく敷物の上で行列が来るのを待っている。京都の子供ってすごいな、と思った…



時刻は15:00を過ぎた。

予定時刻よりかなり遅れて(地元の方によると毎度らしい)パカパカと蹄の音をさせてなんと現代の警察官が登場。京都府警の平安騎馬隊だそう。
馬と言う生き物をほとんど見たことないので行列が来る前から大感動のハト。

わあ!本物のお馬さんだ

この後に黒塗りで窓の中も見えない車が通ったのだが、その車こそが本物の勅使が乗っていた車だったらしい。



やっと行列本体がやってきた。

わあ!(2回目)
落とし物係の新旧取り混ぜ具合がナイス

行列の先頭は“乗尻(のりじり)”という騎馬隊。上賀茂神社での競馬会の騎手たち。左右で衣装が違うのは競争相手だからなのだそう。
六頭のお馬さん達が立てるパカパカという蹄の音が堪らない。あっという間に平安世界へ引き込まれた。

検非違使志(けびいしのさかん)お仕事は警察官兼裁判官。
ご本人が乗った馬の前には下役の皆様。皆様とで行列の警備係。
馬を引く方は“舎人(とねり)”という。
東京には舎人ライナーという線路ある…
馬上、オレンジ色の衣装の方は“検非違使尉(けびいしのじょう)”
先ほどの検非違使志の上役。上司である。
行列の警備の最高責任者。
検非違使尉の下役の皆様。
検非違使尉の道具を持っているらしい。
山城使(やましろのつかい)
賀茂の両社がある場所の管轄のお役人。督護の任、と書いてあったが、ググっても簡単に出て来ず、警護というよりお祭りの進行を見守る監督的なお役目かな、と思う…
山城使(やましろのつかい)の後から大きな傘
毛皮を持っている人。
これも上役の道具なのか。
大きな傘が通り過ぎる。
四人で交代で持つのかも
傘の後から
“御幣櫃(ごへいびつ)”
宮中から賀茂神社の神前に収められる御幣物を納めた櫃。
衛士が先導し、白丁が担ぐ。
ちゃんと見ていなかったが、3個あったようだ。
“御馬(おうま)”
両社の神前で走らせ、神々にご覧に入れる馬。
お馬さん、と無邪気に言っているのはこの言い表しが元なのかもと思った。
“馬寮使(めりょうつかい)”
調べ不足でよく判らず。文字通り馬関係だと思う。
御所車、が見えてきた
御所車というのは俗称だそうで、“牛車(ぎっしゃ)”。
牛だけではなく、たくさんの人も押しているのだな。
牛くん。
ツノに装飾も兼ねてであろう、布が巻かれている
牛くん
おつかれ気味
この藤の花を軒に飾った牛車は勅使のためのもの。
現在、勅使が乗ることはなく、行列の華というお役目。
木製のせいか、車輪の軋む音が。
この音こそが平安朝なのかも。
大工職の方も付き従っているのだそう。
(なるほど、木製だからな…)
ちょいちょい、現代の検非違使が写り込むのがオツである。
替牛くん。


次にやって来たのは
多分、“舞人(まいうど)”。
ググってみたところ、“東遊(あずまあそび)”を舞う係
東遊は平安時代に行われた歌舞。
古代の東国の舞踊を伴う歌でいくつかの舞の総称、とあった
ダンサーということか
傘を持つ白丁(はくちょう)さんが手を振る子供達に応えている。
白丁さん達は雑務担当。無位無冠の良民(平民)とのことだから、その昔からボランティアさん(時代によって良く言えば)だったのだな。
ようやく勅使役が登場
勅使。勅使代であるが。

勅使は近衛使(このえつかい)ともいう。
勅使は後に来る内蔵使より祭文を受け取り奏上する係。

お馬さんも一際豪華に飾り立てられている
馬を引く係の方達の衣装も色が違う
勅使代の方は京都ゆかりの方なのだとか。
お馬の乗り方も素敵なので、相当のお家柄の方のようにハトは感じた…
でもメガネ掛けたままなのがお茶目。
奥から再び大傘が
何の道具だろうか
“花傘”と言うのだそう
“風流傘”と表記してあることも
担ぎ手交代の瞬間
“陪従(べいじゅう)”
武官だけど、この日は両社で歌を歌い楽器を奏するのだとか。
ミュージシャン役なのだな。
衣装がかっこいい
馬丁さんは金髪&腕時計で令和平安リミックス⭐️スタイル
“内蔵使(くらつかい)”近衞使代。
天皇の使いで行列中の最高位者。
勅使が奏上する御祭文を携えている。
この役の方も子供達に応えていてホッコリする
行列最後を飾る大きな花傘


斎王列が来た
傘を差し掛けられているのは“命婦(みょうぶ)”という高級女官。
ざっくりとしか読んでいない源氏物語とかで見かけたような単語だ。
女嬬(にょじゅ)は、食事を司る女官たち
交互に並んで歩いているのかも
奥に斎王代と腰輿(およよ)が見えた
通り過ぎる女官たち
斎王代。この方も京都ゆかりのお嬢さん。
写真のタイミングがちょっと残念なことに…
腰輿には車輪がついてました。
正座で座っているのでは無いと思うが…
担ぎ手さんたちも頑張れ。
後もうちょっとで上賀茂神社だ。
女官たちが続く
采女さん達
騎女(調べたらず💦)の方が続く
再び女官達
陪従(べいじゅう)。楽器を持っている。
太鼓は葵紋
鉦鼓(しょうこ)も通る
牛車、再び
牛はたまにンモーと鳴く
桜の花の飾り付け
牛車ドライブにはたくさんの人手がいるのだな。(牛も)
音もなかなか大きいし、平安時代の貴族は気軽にお出かけできなかったのかもと思う。
    替牛くん、立ち往生。
疲れちゃって嫌になってしまった様子。
ピンクの衣装の“火長(かちょう)”
検非違使庁の役人で今の警察官役の人たちはしばらく待っていたけど、お先に失礼となった。
役柄はわからないが、現代の行列実行委員であろうお二人も戻ってきて。
きっと平安時代も牛くんが立ち往生してしまうとこんな感じだったのだろう。
替牛くんは婦警さんに宥められているところ…


替牛くんのその後が気になったが、替牛くんへの見物人が増えてきてしまったこともあり、ハトはその場を撤退。(替牛くんはその後15分ほど立ち往生していた模様)


祭の後の静けさよ

時刻は16:00を回った。
あっという間に人気のなくなった賀茂川沿いをお散歩気分で歩き、北大路駅を目指す。

葵祭の路頭の儀は正直、あまり期待していなかったからか、想像以上に心打たれた。
混雑を避けて午後の行程、しかも北大路駅の近くではなく、ちょっと離れたところまで移動して拝観したのが良かったのだと思う。

それに当日、暑すぎない気候も良かったのだろう。
行列の見物中、地元の方々がお天気が程よいことを口々にしていらした。
それに行列に参加している人々の頭に飾られた葵の小枝の葉っぱも萎びれておらず、まさに“葵祭”を観ることができてラッキーであった。

それにしても、今回の京都はゆっくりするはずが、いつもながらの超詰め込みスケジュールとなってしまっている。
流石に今回は疲れが違う…反省する、ハト。
超疲れてしまったので晩御飯は簡単に済ませようかと迷う。

四条に戻ってホテルにチェックインした感じで決めることにした。

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