2023皐月咲く京都重森三玲の旅3・東福寺光明院
【2023年5/25〜5/26に京都へ行った。
先週2022年11月の京都の話を終えたばかりなのに(今シリーズ1の執筆時の6/29)。
実は今シリーズは“2023極寒京都”と“2022紅葉なり始め京都”と少し繋がっている。】
早朝5:10ごろに京都に到着し、伏見稲荷大社に直行して“お山めぐり”まで楽しんで、下山後ようやくコメダ珈琲のモーニングで一息ついた、ハト。
時刻は09:15。
次なる目的地、東福寺塔頭光明院へ向かう。
京阪電車に一駅乗るか、歩いて行くかでちょっと悩むが、かかる時間は対して変わらないし、思ったより元気なので歩いて行くことに。
ハトはいつも観光詰め込み旅なので京都の普通の街並みを歩くことは今までなかったのでいい機会。
府道119号を北上する。鳥羽街道駅付近までは10分くらいだった。
途中に田中神社という、伏見稲荷大社の境外摂社があったけど、今回はスルーする。
写真も撮らなかった。
鳥羽街道駅の所の交差点で、右折。
11月に来た時には回避した急坂道が目の前に。
実際に登り始めれば急坂道とはいえ、距離短い。しかしハトは登山後の状態。なかなか刺激的である。
クラクラしつつ登り切リ、突き当たったところが目指す光明院。(門は突き当たりの左側にすぐ見える)
時刻は09:30。コメダから15分くらいで到着だ。
ワクワクしながら足を踏み入れると何やらお庭の手入れをしているのか、庭師さんたちの姿が。そうか、こうやって手を入れている日もあるのだな、と思いつつ、拝観入り口へ。
ところが、だ。
なんとお庭のお手入れのための刈機の音が響き渡っているではないか。
ちょっとがっかりする。が、気を取り直して。
玄関に入る。靴の棚を見ると誰もいない様子。
竹筒に拝観料を入れ、上がらせていただく。
柔らかく息を呑む、光景。
この時の光明院では現代アートのエキシビジョンが。
アートも楽しみつつ、奥へ進み、ハトの好きなポジションで座り込む。
残念ながら光明院では皐月が終わってしまった様子。
刈機の音は庭師さんたちが皐月を刈り込んでいる音だった。
この吉野窓について調べたら遠大になってしまったので手短に。
吉野太夫という遊女(最高位の遊女。名前は襲名制なので二代目の方のことらしい)が由来で、本来の吉野窓は外側から見たら円形で、内側から見たら下の方が欠けているのだそう。曰く、仏法は完璧けれども芸事はまだ精進すべきところがある、という意味だとか。
けれどもハトのような文化の素人は、この窓に限らず、丸い窓なのだから丸窓と呼んで良いだろう。
この両行庵、11月に来た時には開けられていなくて、ガイド付きグループさんだけ入れていた場所。つまり、通常非公開なのだろう。今回はアートの展示があったので公開されていて、ラッキーであった。
ここで写真を撮っていると、庭師さん達と住職さんの会話が聞こえてきた。
皐月は雲のようにももくもくとした感じに刈り込んでいるとの事。本日刈り込んでいる部分の中に刈り込むとハート型になる皐月があって、けれども相当前から言われているらしく、皐月が大きく育ってしまっているのでハートっぽく見えづらいとのこと。その住職さんは光明院ではそんなに長くないらしく、庭師さんからいろいろ教えてもらっている雰囲気。
雲のようにもくもくと、といえば確かにこの庭は、海の向こうに雲がもくもくと湧きその上に月が昇るという見立て。
庭奥の高台の上にある蘿月庵(らげつあん、茶室)は月の役目なのだけど、今回は木々の繁りでよく見えず…雲隠れの月ということか。
アーティストは国廣沙織さん。という透き通った感じの女性だった。
会場にいらしていて、ちょっとだけお話しさせてもらった。両行庵の作品は彼女のセレクトで、それ以外は全て彼女の作品だった。書道のようなもの、黒いウネウネ、絵が描かれていない掛け軸。
ハトは絵が描かれていない掛け軸が面白く感じた。掛け軸の作品はちょっと雰囲気が違うな、と思ったら、旦那さんが表具師なのだそう。なるほどコラボということでもあったのか。
何も描かれていない掛け軸は、じっと見ていると実は心が描かれていたように感じる。
お庭とは違った静かな時間を味わえた。相変わらず刈機の音はブンブンとしていたけど。
突き当たりには摩利支尊天が祀られている
庭のことばかり考えていて、スルーしてしまった。勝負の守護神なのに…
この雲嶺庭も重森三玲作なのだ。2022年11月はそれを知らなかったので「ここも意外とカッコいいな」で通り過ぎてしまったのであった。
改めて拝見する。石組みが三玲っぽい感じ、アバンギャルドな感じを受ける。でも弾けすぎてなくて、正しい姿勢で椅子に腰掛けているパンクロッカーという感じ。パンクロッカーの話し相手は老天文学者だ。
二人は会話する、その目線の先、心の目線の先には果てしない宇宙が広がっている。
そんな妄想をしていると、
一人のご婦人が現れた。ここでお友達と待ち合わせているのだそう。お友達が少し遅れて来るということで、ちょっとお喋り。なんでもご実家のお墓が光明院にあって、そのお墓参りに来たのだとか。ハトはびっくり。有名寺院にお墓がある人なんて、ハトの知っている範囲の人間関係の中はいないからだ。そういえば墓地もあったし、そもそもここはお寺なのだからなあと思う。
彼女とひとしきりお喋りをした後、お友達はまだ到着していなかったが、ハトはお別れをすることにした。
彼女は「また会えると良いわね」と言ってくれた。
さすがだ。これからはハトも真似していこうと思った。
すばらしい人に出会えて嬉しかった。
時刻は10:25。
ちょっと急ぎ目の拝観だったが、お庭のお手入れ中だったりアートの展示があったりなどの意外な出会いが楽しかった。
続いて東福寺へ。
皐月が咲いているであろう方丈西庭が楽しみである。と思うが光明院が遅かった感があるのでちょっと心配。
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