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日々5 コーヒー味(2012年8月6日)

最近、炭酸入りのコーヒーが出たので飲んでみた。
もちろん美味しくはないわけだが、その面白がっているとしか思えない味を感じていたら、ふと時間が遡った。

東京に来たばかりの記憶。

その街は、最寄りのコンビニが24時間営業ではなかったり、およそ東京とは思えないほど静かなところだった。でも安穏というわけではなかった。工場が多かった。地方都市とも違う、止まった街というような。

住んでいた一軒家(良く言うとシェアハウス)のリビングに、見慣れない乾麺が置いてあった。
聞けば、この辺りの名物らしく、近くの喫茶店にあるとのこと。

仕事も決めなきゃいけないが、大変持て余していた僕は、当然喫茶店に向かうことにした。
スナックのような照明の店内に客はおらず、少し気恥ずかしくながらも目当てのメニューを注文した。

ふらりとはいえ、当時の自分にとっては決して安くない好奇心だったわけで、期待値はかなり上がってしまっていた。

注文品が出てきて複雑な気持ちになった。それはコーヒー麺といって、コーヒー味のラーメン。
だからというか、スープは真っ黒、麺も茶色い。シロップやクリームまで付いてきた。

食べて美味しいわけがない。早く完食して出ようと思っていたところに常連らしき客が来た。

これしきの東京でうろたえるのを隠したくて、バッグに入っていたタウンワークを取り出し職探しを始めた。

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