見出し画像

「ドラムをたたくようなものだよ。もしビートをはずしても、別のビートを作り上げる」

 中村総一郎さんのクラブハウス「Souichiro NakamuraさんのClubhouse「少し文学的で、ロックで、インディーズぽい音楽時間」、「今、パティ・スミスをかけています(後編)」を聴いた。
 パティ・スミスのファーストアルバムから最新アルバムまで、おおよその軌跡を聴いたことになる。時代の移り変わりとともに、あるいはパティ・スミスが年令を重ねるとともに、音楽は変化を見せるが、根底にあるスピリッツは変わらない。
 一言でいうのなら、魂から発した言葉だけをうたう、ということに尽きる。その行為は純粋で、それゆえ、普遍的で、聴く者の魂に突き刺さる。時代を超える。
 「Mトレイン」について。偉大な詩人、作家、そして本への敬意が全編にしみわたっていて、気持ちがいい。
 パティ・スミスの話をしていると、終わらないので、自伝「ジャスト・キッズ」のなかの好きなエピソード。

 パティ・スミスと劇作家のサム・シェパードが脚本を書く。

「二人は愛し合い、ぶつかりあい、即興劇を作りながら二人だけの言語を作り上げる。
 口論を詩の即興で表現しなければならない場面になったとき、私は怖け気づいた。「できないわ。何を言っていいかわからない」
「何か言いなよ」彼は言った。「君が即興で間違えるわけがない」
「もしめちゃくちゃにしちゃったら? もしリズムを台無しにしちゃったら?」
「そんなわけないさ」彼は言った。
「ドラムをたたくようなものだよ。もしビートをはずしても、別のビートを作り上げる」

 もしビートをはずしても、別のビートを作り上げる。そうなんだ。こわがる必要はないんだ。

 サム・シェパード、かっこいい。

画像1


この記事が参加している募集

スキしてみて

サポートをいただけた場合、書籍出版(と生活)の糧とさせていただきますので、よろしくお願いいたしますm(__)m なお、ゲストのかたもスキを押すことができます!