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はっぴいえんどの遺伝子たち


 前回、中村総一郎さんとのClubhouseで『渋谷系音楽を求めて(私的90年代の音楽)』というRoom(番組)をした。そのとき、80年代のシティポップスとのつながりを考えた。
 一般的にシティポップスというと、80年代の大瀧詠一、山下達郎、ユーミン、南佳孝などのイメージが強烈で、それ以降は世間的にはあまり話題になっていない気がする。2010年代にももちろんシティポップスはあって、いい曲もたくさんある。とはいえ、2010年代のシティポップスは渋谷系、ヒップホップ等を始めとした、新しい音楽を通っているので、80年代のシティポップスとはべつの音楽的な要素も多く加わっている。そんななかで、いい曲を選曲した番組ができないだろうか、と思った。 
 それで、最初は2010年代のシティポップスというテーマで曲を選んでいったのだが、どうやらその枠に収まらない曲が増えてきたのである。シティポップスというテーマではなく、もう少し選曲の間口を広げたほうがいいのではないか。それで、はっぴいえんどの遺伝子というテーマに変え、改めて全体をとらえなおすことにしてみた。
 はっぴいえんどはフォークロックを基礎としたサウンドだが、10年後に大瀧詠一さんに代表されるシティポップス、細野晴臣さんのYMO、テクノポップへとつながっていく。日本の音楽の、あるジャンルに多大な影響を与えているのがはっぴいえんどである。
 時代は流れる。音楽を聴いている若い人で、はっぴいえんどなんて聴いたことがないというひともたくさんいるだろう。でも、その人が自然に聴いている曲にも、本人が知らないだけで、はっぴいえんどの遺伝子が刻まれているのだ。

 そんな方向で選曲し、先日(2022.3.12)、中村総一郎さんと「はっぴいえんどの遺伝子たち」というRoom(番組)を行った。

 以下、そのときの選曲とコメント。

①  サニーデイサービスSummer Baby (2017)
  サニーデイサービスが出てきた時は、はっぴいえんどみたいと呼ばれていたバンド。これは2017年の曲。実験的で、かつ爽やか。

②カジヒデキ×やけのはら featuring 高木正勝 / SOUND of FELICITY(201   4)
 FELICITYレーベルのコンピから。やけのはらはラッパー。

③王舟  瞬間 (2014)

 FELICITYレーベルのコンピから。

④ SHOKO 2.Hope and Anchor

 スウェディッシュ・ポップ。SHOKOさんは、カジヒデキさんの奥さんで、アーティスト。

 コーネリアスのライブに行ったとき、カジヒデキさんといっしょにきていた。なお、「Hope and Anchor」はロックファンの人には馴染みの深い、北ロンドンのイズリントンにあるパブの名前とのこと。

⑤ジョンとポール バナナ泥棒 (2016)

 広島県呉市のジョンとポール。一人ユニット。京都の書店、誠光社にて購入。

⑥ 折坂悠太 坂道 (2018)
 宇多田ヒカルや岸田繁から賛辞を送られているシンガーソングライター。最新アルバム「心理」が2021年の「ミュージックマガジン」で、日本のベスト1に選出。

⑦ 一十三十三 Dive (2012)

 本名、天野 一十三(あまの ひとみ)。芸名は本名の「一十三」をモチーフに自ら考案したという。流線形というシティポップスの有名なバンド、『TOKYO SNIPER』に江口ニカ名義で参加。今回の選曲ではこの曲がいちばんシティポップスぽい。

⑧雨のパレード Shoes (2018)
 最初にこの曲を聴いたのは、深夜のテレビドラマ「下北沢ダイハード」だった。とても印象的だった。

⑨ 相対性理論 小学館 (2010)

 好きなバンド。2006年9月に真部脩一が中心となり結成。2012年6月に真部と西浦が脱退した後も続いている。主要メンバーのやくしまるえつこは、「相対性理論はソフトウェア」と語っているそうだ。マイ・ブラッディ・ヴァレンタインのライブに対バンで出ていた。素晴らしい演奏だった。

10 田島貴男&長岡亮介「SESSIONS」 接吻 のライブ(2018)
 オリジナル・ラブ「接吻」。長岡亮介さんはペトロールズというバンドのギタリスト。別名、東京事変の浮雲。


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