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インスタグラムが登場するような現代という時代設定と東京という空間設定を舞台としながら、音楽におけるクラシックとロックが暗喩する時間的広がりと恋した女子がフィンランドに旅立つ空間的広がりが主人公にとっては非現実的な観念として登場することで、まるでうたたの中での出来事であるかのように進むストーリーが大変美しい作品でした

 インスタグラムで、私の「切望ブルー、ピンクフォトグラフ、イエローラブ」の感想をいただきましたので、掲載させていただきます。
 よろしくお願いします。

king.of.king.jpn様


【最近の読書 インスタでつながった作家様の作品 その2】.
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※後半に生意気にも自分語りあり。
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今回は、私がフォローさせていただいている、
@itoguchimasaka
(緒真坂)さんの作品、『極北』を読ませていただきました。
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※いきなりどうでもいい余談ですが、私、「極北」という言葉が大好きなんです。
なので読むならこの作品!と決めていました。


物語は、主人公の男子高校生・藤本位置(「一」が本名)が経験した1つの恋の顛末。
インスタグラムが登場するような現代という時代設定と東京という空間設定を舞台としながら、音楽におけるクラシックとロックが暗喩する時間的広がりと恋した女子がフィンランドに旅立つ空間的広がりが主人公にとっては非現実的な観念として登場することで、まるでうたたの中での出来事であるかのように進むストーリーが大変美しい作品でした。
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また、「位置」というあだ名の由来やそれを巡る小エピソードが、この物語における時間・空間の中で主人公・位置がまるで非現実の中を彷徨っているような雰囲気を醸すことを支える役割も果たしており、挿話と本編が作品の美しさの結実という点において見事にシンクロされた構成の巧みさにも魅せられました。

そして何より、この作品の色彩をなすのは、主人公の恋した女子・夏目響。
非常に感受性が高く、天真爛漫ながらどこか陰のチラつく女の子。

彼女の陰は、全編を通じ音楽と詩作という芸術によって仄めかされ、そして同じく芸術によって明らかにされていきます。

このような、芸術が意味を予感させそしてそれを明示していく作り方がまた美しく、全編を通して読者は「感じる」という感覚で読んでいるような、言わば読書ならぬ「感書」体験をさせてもらえたような読後感でした。

「うたたのような現実を過ごす擬似体験」.

私が本作の魅力を一言で表すならば、こんな表現になります。



さて、ここからは作品に直接関係がないながら、本作を読んで語りたくなった私の話(←え?自分語り!?)。


まずはしょうもない話なのですが、本作には「蒙古タンメン中本」という実在するラーメン屋が登場するんです。

「蒙古タンメン中本」のロゴを見たことはございますでしょうか。

「本」という時がなんだか達筆なロゴなんですが、私、初めて見た時、「蒙古タンメン『中卒』」に見えたんですよね〜。

だから何だということを言うつもりはないのですが、割と衝撃でした(勘違いでしたけど)。


次が自分語りの本命です。

本作では「絶対音感」という能力が作品上重要な役割を果たすものとして登場するんです。

実は私、「絶対音感」の保持者なんです。

本作で「絶対音感」を持つ登場人物は、幼い頃から音楽的に徹底した訓練を受けた人物とされているのですが、私は全くそんな経験ないんです。

音楽どころか、余り裕福な家庭ではなかったので習い事すら1つもやったことがありません。
父も母も全くの音楽未経験者。
強いて言うなら母はハーモニカが軽く達者でしたが、いつも聞いて育ったような環境ではありませんでした。

小学校4年生からブラスバンド部に入部しトロンボーンを3年間やったのですが、入部の時点では既に「絶対音感」は身についていました。

私のようなただカラオケが好きなだけで音楽に全く関係しない人生を歩んでいる人間にとって、「絶対音感」を持っていることで受ける影響とは?.

それは、「カラオケがどんな曲でも原曲キーでしか歌えない!」という不自由さ。

これは私の場合に限った話なんでしょうが、「絶対音感」があるせいか「相対音感」の能力が著しく弱く、キーが変わると全く知らない別の曲のように聴こえてしまって、音程どころかテンポまで見失ってしまうのです。

あとは、飲み会とかでグラスをお箸でコンコン叩き、音階を当ててみせる芸ができるんですが、「ミのフラット!」とか言っても誰も正解がわからない、というところまでがセットの謎芸になります。

まあそもそも、本作の中でも説明されているのですが、私の「絶対音感」の音階は「平均律」が基準となっているので、グラスの音のようなアナログな音の音階を指摘するのは意外と難しいんですけどね💦。

ガチでアピールしたい時は、見えないところでピアノの鍵盤を叩いてもらい、ことごとく当てていく方法ですね。
これはガチでキモがられて、軽く快感です😏.


自分語りの方が長くなってしまいました😅.

皆様にも是非オススメしたい作品です!!.


※いつも文末に付す評価ですが、おこがましいため割愛させていただきます。
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