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アート・ガーファンクル「エンジェル・クレア」

 中学生のころの話である。

 洋楽を好きになり始めていた中学生は、夢中になってFMラジオを聴いていた。それしか情報源がなかったからである。FMラジオからはアート・ガーファンクルの「友に捧げる賛歌」がしょっちゅう流れていた。中学生はこの美しい曲が好きだった。仲違いした親友のポール・サイモンのことをうたっている気がしてならなかった。このアルバムに収録されている「ひとりぼっちのメリー」も好きだった。
 記憶の中では冬だった気がする。
 中学生は、これが洋楽で、これがポップスで、これがエバーグリーンな楽曲なんだと思ったが、後年、じつは、こういう音楽は、この時代だけの音楽なのだ、と知った。時代の音楽は、その後、パンクになり、やがてニューウエーブに変わっていった。
 アートの現在の写真を見ると、アフロヘアーはきれいに消え、頭の禿げた老人になっている。
 私の部屋に、「エンジェル・クレア」が置いてある。エバーグリーンに。

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