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まあ、その繰り返しが、今の私を作っているのだけれど

 恥の多い生涯を送ってきました、というのは、太宰治「人間失格」だが、自殺未遂を繰り返した太宰ほどじゃなくとも、たいていの人間は、恥の多い生涯を送っているものだ、と私は思う。
 実家に帰ると、本棚に収まっている本を見て、ぎゃっと小声で叫んで、赤面したくなる。こんな恥ずかしい本を読んでいたのか、と。また、逆に、現在の自分につながっている本もあって、この本があるから今の自分があるのだ、と誇らしく感じることもある。
 今から思えば、この本が今の自分の読書につながるきっかけになったのだなあ、とあらためて本を再発見することもある。
 私の恥と誇りが、私の歴史と黒歴史が、実家の書棚には、そっくり残っているのだ。
 でも、まあ、その繰り返しが今の私を作っているのだけれど。
 いずれにしろ、私にとって、実家は、そういう場所である。

* 蛇足ながら、電子書籍の場合は、どうなるのだろう? 紙の本は、書棚を眺めれば否応なしに可視化されてしまうが、電子書籍は、パソコンやスマホ等でデータを捜さなければ、そういうことは起こらない。
 それは、とりもなおさず、思い出が可視化されないということでもあり、いいような悪いような。

 なお、喪中につき、新年のご挨拶は遠慮させていただいておりますが、本年もどうぞ、よろしくお願いいたします。

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