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岩波新書ですら、あっさりと品切れにするものなのか、と唖然とする。

 大岡信さんの「折々のうた」は、発表当時、朝日新聞の人気コラムだった。「日本語(翻訳を含む)の短歌、俳句、漢詩(読み下し)、川柳、近現代詩、歌謡のなかから、毎日1つをとりあげ、それに対する解説を行うというもので」、「1979年1月25日から2007年3月31日にかけて、『朝日新聞』朝刊第1面にて連載していた」(ウィキペディア)
 そのころ、私は現代詩に強い興味を持っていた時期だったので、岩波新書から出た本をわりと熱心に読んでいた。
 そのうちに私の関心が現代詩から離れるに従って、次第に読まなくなった。ただ、「折々のうた」そのものは、現代の名著として読み継がれていくのだろう、と思っていた。
 蜂飼耳編 大岡信「『折々のうた」選」の蜂飼耳さんの解説によると、「折々のうた」も、年月が経つにつれ品切れになり、残念ながら入手困難な時代が続いていた」という。岩波新書ですら、あっさりと品切れにするもののか、と唖然とする。
 今回、蜂飼耳編大岡信「『折々のうた』選」を読んでみて感じるのは、ああ、大岡信さんがいるなあ、ということだった。選ぶという行為にも、選者の人間性が出るものなのだ。「『折々のうた』は全体として、大岡信の詩だ、ということが可能ではないかとさえ思う」と蜂飼耳さんは、解説で書いているが、そのとおりだと思う。

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