![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/96882748/rectangle_large_type_2_52f1db9f59b6e886ff346e570ed70b12.jpeg?width=1200)
国際視点でキャリアカウンセリングとリカレント教育を考える|国家資格「キャリアコンサルタント」の現状は?
昨年、ふと思いついて資格学校の養成講座に3ヶ月通学(オンライン受講)し、学科と実技試験を経て、国家資格「キャリアコンサルタント」(通称「キャリコン」)を取得しました。
今回、日本のキャリコンとリカレント教育の現状を海外との比較からまとめました。 ※ シンガポールのBrightSparks 高等教育向け奨学金プラットホーム
そもそも何をする資格?
・キャリアコンサルティングとは「労働者の職業の選択、職業生活設計又は職業能力の開発及び向上に関する相談に応じ、助言及び指導を行うこと」と定義されています。
・キャリアコンサルタントは、企業の人事・教育関連部門、大学のキャリアセンター、公的就業支援機関、人材紹介・人材派遣会社などにいる。
![](https://assets.st-note.com/img/1675129986232-BuKhiV5jh9.png?width=1200)
・ひょっとすると誰も受けた経験がない?
こちらの調査では全労働者のうち10%しか受けた者はいません。
![](https://assets.st-note.com/img/1675129986245-iEWn7aG4Fv.png?width=1200)
・その10%ほどにしても、81%が会社の上司との1on1だったりします。その結果、それって「人事面談」?、仕事の話をひとにすること自体がなんかめんどくさいとなっています。
海外でも「キャリコン」はいるの?
![](https://assets.st-note.com/img/1675129986397-Cn5Yh7y8L3.jpg)
・欧州ではドイツが資格としての整備がすすんでいますが、大学の進路指導と職業安定機関での「ガイダンス」が中心です。
・また、養成講座→試験ではなく、60単位の履修など学士号や修士号と関連づけられています。
・ドイツでは、カウンセリングやキャリア理論だけでなく、教育学、経済学、法学など社会科学を広く学び、労使の調停なども行います。
米国はどうなの?
・おそらく日本のキャリコン制度が参照した米国では、資格認定協会が複数あり、代表的なNational Career Development Association (NCDA) では、3種類の認定資格があります。
![](https://assets.st-note.com/img/1675129986404-3cLHJ0o2JZ.jpg)
1.CCSP(プロバイダー):トレーニング終了者を認定。学位と実務経験は不要。
2.CMCS(認定マスター):学士号と実務7年が必要。
3.CCC(認定カウンセラー):修士号以上の学位と600時間の実務か60時間の研修。
・日本の「キャリコン」資格に近いのは、1番目のCCSP「認定キャリアサービス・プロバイダー」だとわかります。でも修了証明書のアップロードによって登録する認定資格であり、日本のように国家試験があるわけではありません。
・コースの受講料はUSD1.100で、登録料がUSD100。3年毎の登録の更新が必要です。
・日本のキャリコンの仕事内容に相当するひとは、米国では「キャリアカウンセラー(CC)」として知られていて、教育系統の大学院でカウンセリング学などの修士号が必要です。
・ほかに心理職として、州ごとに認定(State License)されるLPCとLPAがあり臨床心理学を履修するなど、日本の公認心理師に近いと思います。
欧州と米国:
・欧州は国家基準を満たしている認定資格(Certification)、米国は州認定(Stete License)とキャリア相談の資格はどの国も一言でいえない扱いです。
では、日本のキャリコンとは?
・アメリカの学位をもったカウンセラーでもなく、欧州の幅広く知識を持つ職業ガイダンスの専門家でもない。
・日本の場合は人材アドバイザーであり、人材派遣会社とか、転職エージェントに努めているひと、大学のキャリアセンターやハローワークなどで有期雇用で働くひと。
・米国でも欧州でもない、
👉 日本型雇用社会での資格名称は「コンサルタント」となった。
2016年に民間資格から国家資格に
・非正規雇用の増加や労働需給のミスマッチの解消のため、民間資格から国家資格となった経緯もあり、欧米のような大学などのキャリアガイダンスやキャリアカウンセリングをするひとではなく、企業領域で人事労務管理に関連して働くひとが会社から勧められて取得することが多いと思います。
・そのため国家試験の試験内容も人事労務に関する知識を過度に重視する試験となっています。
![](https://assets.st-note.com/img/1675129986124-0NZMoOdWPC.png?width=1200)
・相談したいことも、日本型経営のメンバーシップ型雇用に関連した、企業内でのキャリアプランや会社から割り振られた仕事への適性、職場でのモチベーションが多い。
・欧米のジョブ型雇用の前提となるキャリアアップにむけた「適切な職業能力開発の方法」などは、正社員よりむしろ網線の「非正規雇用」のひとが相談したいこととなっています。
「教育訓練休暇制度」は定着しているのか?
・このところよく耳にするリカレント教育やリスキリングを、と思っても、「教育訓練休暇制度」を実際に利用したことがあるのは、わずか全体の2%にすぎません。
![](https://assets.st-note.com/img/1675129986164-Ue3yUbX9hn.png?width=1200)
・教育訓練休暇制度や短時間勤務制度がある企業は、特定の業種の大企業に限られ、労働者全体の10%ほどしか恩恵がありません。
・たとえ企業が実施していても制度があるのかどうかわからないひとが59%にもなります。
日本のリカレント教育の現状は?
![](https://assets.st-note.com/img/1675129986343-w00OI4Gz2t.png)
![](https://assets.st-note.com/img/1675129986298-UXuNIXb39Z.png)
👉 OECD調査で34カ国中日本は33位
・リスキリングが話題ですが、勤務時間以外で動画でコースを受講するくらいが現状だと思います。
・教育休暇制度も導入済みは10%以下、それを阻むのは企業自身(経営幹部の見識)なのかもしれません。
ここで、シンガポールのリカレント教育をみてみます。
シンガポールのスキルズ・フューチャー:
・2015年から25歳以上の国民すべてに一律5万円の学習 eクーポンを配布。
・社会人大学院希望者には、準備金50万円、年間150万円(90%補助)。
・Off-JTについてもポリテクニックでの研修中に給与20万円支給。
・研修証明からディプロマ、学位、博士号までそれぞれ資格認定(WSQ)があり給与に反映される。EU資格枠組みと相互互換。
※ 私の職場は10年ちょっと前まで雇用保険の対象外でしたが、教育訓練給付金をなんとなく知っていても、利用したのは今回が初めてでした。
・日本政府も同じような政策をやろうとしているのですが、給付額が中途半端だったり、手続きが煩雑。職場からいろいろな証明をもらわないとだったりします。
👉 日本の社会人の学び直しには、20%から50%の給付金が出ます。
それでも「キャリコン」をやってみたいというひとは?
・3ヶ月(120時間)ほどの養成講座に通い、修了証明書を取得する。
・講座の受講費用は、30万円から40万円
・学科試験と実技試験の双方に合格する。
・学科試験は、4択の問題50問(100分)で合格点は70点以上
・実技試験は論述試験(50分)面接試験(20分)相談者との面談と口頭試問で150点中90点以上 受験料は2つで38800円
※ 私の場合、受講費用は資格専門学校で小論文を書いて特待生、割引を使い実質22万円と2万円分の受講ポイントでした。
※ オンライン受講ができ、午前は東京、午後は名古屋などかなり自由に受講できる。
※ 受講者の7割以上は女性。30歳代のひとは職場のススメで、中高年のひとは雇用保険の「専門実践教育訓練給付金」を利用して、受講費の50%の補助を受けて。
※ 社会人の学び直しやリカレント教育に興味のある人は、職場のキャリコンに相談してみてください。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?