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『糸と魚と川Vol.07』イベントレポート①「ITOIGAWAポテンシャル」人や企業の進出に向けた糸魚川の本質的な魅力とは ~

2022年9月21日、駅前広場キターレにて、「外と中、関係人口とローカルプレーヤー・企業・団体との接点をどう作り広げていくか?その先の未来は?」をテーマにゲストをお招きして、第7回となるトークセッションがおこなわれました。

本記事は、そんなイベントの内容をまとめたものです。

~今回のゲスト~
・株式会社アビックシステム 佐々木和洋 氏
・株式会社DONUTS 味噌里美 氏
・地域おこし協力隊 下越幸二 氏

最初に進行役、糸魚川市山崎さんより本イベントの『糸と魚と川』についてご紹介いただきました。

詳しくは下記URLから。
↓↓↓
https://note.com/ito_sakana_kawa/n/n3f771adde3f2

まずは早速1人目のゲストである佐々木さんより自身の活動についてご紹介いただきました。

◎ITを駆使して糸魚川のポテンシャルを引き出す

■佐々木さんプロフィール

1978年生まれ、宮城県仙台市出身、学校卒業後、国内上場企業へ入社。
上場に向けたグループ基幹システム構築プロジェクトに従事。
2006年アビックシステム創業メンバーとして、官公庁や大手上場企業案件のプロジェクトマネージャーを歴任し、2021年同社代表に就任。
社員のこころとからだの健康を充実させるため、ワーケーション制度を創設し、新潟県糸魚川市を選択。
最近では、ITベンチャーと資本業務提携に取り組み、事業シナジーを発揮しながら地域課題の解決を目指す。

■株式会社アビックシステムについて

「社員の挑戦したいことを全力で応援する」をスローガンに掲げるIT技術者集団です。そんなアビックシステムは糸魚川のポテンシャルを引き出すため、3つの事業を進めています。

・ワーケーション制度
アビックシステムではコロナ禍によりリモートワークを取り入れましたが、様々な課題が浮き彫りになったといいます。たとえば、在宅で仕事をすることで運動不足になったり、仕事とプライベートの境界線が曖昧になったことで長時間労働になったりしたのだそうです。その結果、気分転換ができずに、多くの社員がストレス過多に陥ってしまいました。
そんな状況を打開すべくワーケーション制度を設けたのだそうです。

在宅で仕事ができるということは、どこでも仕事ができるということ。そうであれば緑豊かな自然の中でリフレッシュしながら仕事をしたら良いと、糸魚川視察隊を結成し、クラブハウス美山を視察しました。

そして、実際に糸魚川を訪れ、自然豊かな環境でのびのびと仕事に取り組めたのだそうです。「今後は首都圏における同じような悩みを持つ企業にワーケーション制度の事例を積極的に広め、糸魚川との繋がりを強固にしていきたい」と佐々木さんは語ります。

・テクノロジーの活用
ドローンやVR技術を駆使して、糸魚川の様々な魅力を発信していくプロジェクトです。
たとえば糸魚川は冬になると雪が降るためゴルフ場が利用できなくなります。この問題を打開すべくVRゴルフレンジというアプリを開発し、いつでもどこにいても糸魚川でゴルフができる環境を作り上げました。同様にVR技術を使って糸魚川の魅力を世界中に発信していく予定なのだそうです。また今後はドローンを使った農薬散布など、テクノロジーを利用した地域課題の解決にも取り組んでいくとのことでした。

・スポーツ教育の革命
アビックシステムではオンラインスポーツレッスン事業も手掛けており、今後は糸魚川にも還元していく仕組みを作っていくとのことです。たとえば下記のような悩みを抱える学校にオンラインを使った解決方法を提示します。

・部活動顧問の負荷が大きい
・顧問の指導力に格差があり、専門性の高い教育ができない
・生徒ひとりひとりが興味のあるスポーツを部活動として選ぶことができない

今はGIGAスクール構想により生徒に個別にタブレットが配られており、遠隔地からプロの指導を受けられるなど糸魚川の生徒の可能性を伸ばしていける事業です。

渋谷:ワーケーションを活用できている企業は多くないように感じますが、糸魚川に取り入れようとしたときにハードルは感じていますか?

佐々木:ワークとバケーションの境目が曖昧だったり、参加できる社員とできない社員が生まれる可能性があることが課題に感じていますね。

渋谷:業種によっても変わってきますし、全社員を平等に扱うとを考えると難しいかもしれませんね。もう1つ質問があるのですが、経営者目線で感じるワーケーションのメリットはどんなところにありますか?

佐々木:まず私自身が楽しいと感じることですね。自分が楽しければ社員も楽しんでくれていると思っています。また、コロナ禍が収束しても、せっかくリモートワークがしやすい環境が整ったので、働く場所を自分たちで決められますし、この取り組みを世界に広げる第一歩だと思っていますね。

渋谷:柔軟に働ける会社のほうが採用にも繋がりやすいですよね。

佐々木:面接時には「リモートワークは出来ますか?」という質問が多いですね。「私たちは、ただのリモートワークではなく、その上を行っている」と言いたいです(笑)

続いて味噌さんより、所属する株式会社DONUTSと糸魚川での展望について語っていただきました。

◎糸魚川に100人体制のオフィスを

■味噌さんプロフィール

千葉工業大学工学部プロジェクトマネジメント学科卒業。
アパレルメーカー2社、通算14年間ファッション業界に従事。
欧州ブランド商品の販売店店長としてVIP接客などを経験後、IT業界に転職
(株)サイバーエージェントの子会社である(株)タップルでCSマネージャーを経て現在の(株)DONUTSにてジョブカンCSのグループリーダー兼新潟オフィス長として従事中。
趣味はサウナとアウトドアで遊ぶこと。

■株式会社DONUTS

株式会社DONUTSはDeNAの第一期生である西村啓成氏と根岸心氏が独立し、共同代表として立ち上げた会社です。特徴としては、創業より一度も借り入れをせず、自己資本のみによる経営を続けていることで意志決定が早い点が挙げられ、また常に代表とコミュニケーションを取り続けることで自分たちがやりたい事業を叶えやすいという点が挙げられます。

2021年から日本全国各地に拠点を増やし、現在では国内7拠点、海外2拠点あり糸魚川は6拠点目に当たります。そんな株式会社DONUTSの代表事業は下記の5つです。

・クラウドサービス事業『ジョブカン』
・医療事業『クラウド型電子カルテ CLIUS』
・動画・ライブ配信事業『ミクチャ』
・ゲーム事業『DONUTS GAME』
・出版メディア事業『Ray、Zipper、mamagirl、GIRL等』

このように1つの会社に様々な分野の事業があることで、自分たちの作ったゲームをライブ配信するなど、内製化できていることが強みだと味噌さんは語ります。

そして、味噌さんは糸魚川オフィスで、バックオフィス業務の効率化を支援するクラウドサービスであるジョブカンを担当しています。

■糸魚川に進出した経緯

DONUTSが糸魚川に進出したきっかけはジョブカンの渉外営業担当が糸魚川市の職員と話をしたことが始まりでした。ジョブカンを糸魚川に導入するにあたり、まずは適性テストを実施したところ「難しすぎる」という理由で、初めは導入を断念しかけたのだそうです。
しかし、当時高知オフィスの立ち上げに携わっていた味噌さんが糸魚川に派遣されました。

その後、ジョブカンの「安定雇用をしたい」というニーズと糸魚川市の「多様な働き方を推進したい」というニーズが合致し、糸魚川オフィスの立ち上げを果たしました。

そんな糸魚川のオフィスの特徴は、ライフワークバランスと個人の成果よりもチームとしての成果を重視している点が挙げられます。たとえば新型コロナウイルスの感染拡大によって急遽学校が休みになったときに子供の面倒を見るために仕事を休むことができたりします。

1人で1つの仕事をするのではなく、3人で1人分という考え方しているのだそうです。

またオンラインで研修を実施することで遠隔で社員の技術向上を図っていることも特徴の1つです。そして、最初は18名で始まった糸魚川オフィスは、現在では56名が所属しています。
今後はより地域に根付いたオフィスとして、最終的には100名体制を目指しているとのことでした。
また「DONUTSの糸魚川オフィスがあることでUIターンにも繋げたい」とも語っておられました。

渋谷:実際に糸魚川で活動を始めて、いかがですか?

味噌:糸魚川オフィスが全社の中で1番注目度が高いですね。新しい事業を始めようとしたときに、弊社の代表が「糸魚川の人に聞いてみたら?」と言われるくらいです。

渋谷:一度、糸魚川市のほうから断れたという話ですが、その後どうやって今に至ったのでしょうか。

味噌:「テストだけで判断したのであれば待ってほしい」とお伝えしましたね。その後、糸魚川市の抱える課題に向き合い、コミュニケーションを重ねた結果、今に至りますね。

渋谷:従業員100人体制を目指しているということですが「どのように進めたい」といったビジョンはお持ちですか?

味噌:従業員ひとりひとりが自分事として、仕事や糸魚川オフィスを守っていくという意識を持ってもらうようにしています。

渋谷:3人で1人という考え方は素敵ですね。確かにそのほうがライフワークバランスが取りやすいと思います。

続いて、下越さんより糸魚川の秘めるポテンシャルについて語っていただきました。

◎住みたいと思えるまち糸魚川へ

■下越さんプロフィール

1966年7月糸魚川に生まれ、18歳で糸魚川を離れ都会ぐらしを経験し2020年11月、37年ぶりに糸魚川にUターン。
サラリーマン時代にアシストというIT企業で、エンジニア、マーケティング、営業などを経験
。営業の時代は『売らない営業』を貫く。
その後、54歳で退職し、2021年からは糸魚川の地域おこし協力隊として「多様な働き方推進」事業に参加。
糸魚川市内外の仲間達と、自転車、ランニング、スイム、サーフィン、SUP、釣り、ゴルフ、スキー、ハイキング、登山などを楽しむ生活を送る。

■糸魚川にUターンをして

Uターンをした下越さんは、精力的に働いている市役所の久保田さん、糸魚川の救世主であると讃えられる小出さん、糸魚川テレワークオフィスのワーカーの方々、DONUTSの石山さんと味噌さんと出会い多くの刺激を受けたと語ります。

そして都会時代に培ったIT技術を活かし、「『thread』なら私でも働ける!」というスローガンのもと『いといがわテレワークオフィスthread』を立ち上げ、行政支援型多様な働き方推進事業を進めています。

最後に「今後はワーカーの方々の姿を見て、憧れた人が糸魚川に住みたいと思ってもらえるようなテレワークオフィスにしていきたい」と締めくくりました。

渋谷:糸魚川には何かやりたいことがあって戻ってきたんでしょうか?

下越:実は介護難民を支援する事業をやろうと思っていました。これを自分だけではなくテレワークオフィスのワーカーさん達と一緒にやろうと思っています。

渋谷:下越さんの周りには楽しそうにしている人ばかりですよね。何か大事にされていることはあるんですか?

下越:都会は競争が激しいですが、糸魚川はそこまで競争がないので、みんな楽しく働けるようにしていけたらと思っていますね。

渋谷:どんな人が面接に来られるんですか?

下越:やる気に満ちあふれているだけではなく、何か困ったことがある人が来ますね。一度中に入るとコミュニティが出来るので、楽しくなっていくんだと思うんです。

渋谷:ありがとうございます。詳しくは次のトークセッション編で伺いたいと思います。

引き続きトークセッション編はこちら。
↓↓↓
https://note.com/ito_sakana_kawa/n/n7a40fcd122e5