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小腸がんと私⑤

セカンドオピニオンを終えて
またすぐに
元の病院に戻らなければいけませんでした

セカンドオピニオンの先生が
あまりにもお優しくベテランだったので

こちらの病院に変わることも
少し考えてしまったのですが

両親が1日でも早く抗がん剤をしないと
若いのだから進行が心配だ、と強く言うため

すぐに戻って
予定されていた日程でCVポート手術
続けて抗がん剤をすぐ受けるスケジュールで
再入院しました

病室に1人でいると
もう、泣くしかなく

どう考えたらいいのか
どうすれば今の自分の気持ちが楽になれるのか
ずっと考えていました

どうやったら受け入れられるだろう
きっと考え方があるはず
どう考えたらいいんだろう

夫や妹は
どうでもいい動画などを見て
気を紛らわせるといい、と言うのですが

全くそういう気にはなれず

ひたすらに
どうやったらこの問題が解決できるのか
その「考え方」をずっと考えていました

気持ちがまとまらないうちに
CVポート手術になりました

ポートを入れる手術は簡単だよ
と主治医は言いました

世の中にある経験者のブログなどをみても
そんなに大変なものではない
と書いてあるのですが

意識がある中で鎖骨あたりをメスで開き
プラスチックのような丸いポートを埋め込み
縫って閉じる、というものが

簡単!と思える訳はなく

鎖骨から背中に流れ落ちるもの
生温かい水分をずっと感じ

血が流れているんだな、と認識しながら
涙も一緒に流れ落ちていました

手術の前日の夜、

大学に行った息子がカラオケで
私が大好きな歌
中孝介さんの「花」を完コピして
送ってくれていて

それを脳内でずっと再生して
ずっとずっと、息子が歌うその曲を
頭の中で回しながら耐えていました

ものまね?と思えるほど
こぶしも完全にコピーしていたので
少し面白く

息子に会いたいなぁと思いながらまた泣き

そうしているうちに、終わりました

部屋に戻り鏡を見ると

着ていた服が血まみれになっていて
やっぱりあれは血だったんだな、と思い

また涙が出ました

どう考えたらいいんだろう
これからの自分、どうやって
この問題に向き合えばいいのだろう
きっと、解決策があるはず
きっと、楽になれる考え方があるはず

ずっと、そう思いながら泣き、
肩の違和感で眠れずに朝になりました

そしてその翌日から
初めての抗がん剤が始まります




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