父親としての在り方

僕には子どもが二人います。
5歳と3歳の男の子です。
そのやんちゃっぷりは半端なく、言うことは聞かない、ごはんはなかなか食べない、出した物は片付けない、といった具合です。
男の子兄弟だと、そんなものなのでしょうか。



そんな彼らですが、長男の方が戦いごっこが好きです。
戦隊シリーズに始まり、あらゆる戦うものに影響されては、謎の武器で攻撃したり、キザなセリフを言ってみたりしています。
そして当然のごとく、父親である僕にも戦いを挑んできます。


ここで一つ問題が。
僕、戦いごっこができないのです。


正確に言えば、できないことはないのですが、演じようという気に全くなれないのです。
うわーーー!
とか、
やられたーーー!
とか、
全く役になり切ることができないのです。

もちろん、頭では長男に求められていることは分かっています。彼がヒーローになり、僕が悪役になり、派手な演出でヒーローが悪役を倒すこと。戦隊モノのデフォルトです。
それを自分がしようと思っても、気持ちが全く入りません。なんなら、手加減なしで襲いかかってくる長男に、「痛いからやめて!」なんて言ってしまう始末です。

以前、子どもと妻が長男の友達の家へ遊びに行った時、友達のお父さんがそういう遊びを思い切りしてくれたようで、子ども達はとても喜んでいたと妻から聞きました。そんな話を聞いても、はいはい…という気になってしまいます。そのお父さんのようにできれば子ども達が
大喜びする、と分かっていても全く気乗りしません。これはなんなのでしょうか。

いろいろ考えてみるうちに、自分が子どもの頃はどうだったのか?と思い振り返ってみると、記憶にないだけなのか事実もないのか分かりませんが、家で父と戦いごっこをした覚えが全くないのです。父も戦いごっこをしてくれない人だったのか、それとも当時の僕も戦いごっこに興味がなかったのか。ただ、3つ下の妹とは、ごっこではなく本気の殴り合いの喧嘩をしていたことは今でもよく覚えています。笑

父はいつも仕事の帰りが21時頃と遅く、寝るか寝ないかぐらいの時間帯に帰ってきていました。当時の僕は、仕事というのはそういうものなのだろうと思っていて、友達のお父さんが18時頃には帰ってくると聞いた時には、なんでそんなに仕事してないの?と思ったほどでした。
土曜日も仕事で家にいないことがほとんど、その分日曜日はダラっとしていて、戦いごっこをしようなんて思ったことすら無かったように思います。

かと言って父が子育てにノータッチだったかと言えばそんなことはなく、たまに父の職場へ遊びに行ったこともありましたし、外遊びに着いてくるのは基本的に父で、野球ボールをグローブを使ってキャッチできるようになったのは間違いなく父のおかげです。ただ、戦いごっこだけがなかったのです。

そのことが、今の父親としての僕と関係ないとは言えないように思えてなりません。子どもの頃に戦いごっこをしてこなかった自分が、大人になって本気で戦いごっこなんてできっこない。今さら戦いごっこを心の底から楽しもうなんて気持ちになれるはずがない。子どもの頃に戦いごっこをしていれば、今の自分も少しは違ったのではないだろうか、と。

子どもが産まれて何年も経ちましたが、未だに父親になり切れていない自分がいると思いますし、それを分かっているからこそ、そんな父親で申し訳ない気持ちになりながらも、特に自分を変えようとも大して思わない自分にも嫌になるようなならないような。


父親である自分と、父親であろうとしながらなり切れていない自分を白い目で見ている自分。
そんな二人の自分を抱えながら、今日も悪役になって文字通り踏んだり蹴ったりされるのでした。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?