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アイドルタイムいとぶろ

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いとうくんの楽しい日々2
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2020年7月の記事一覧

霊、霊、書く

霊、霊、書く

「入っていいですか?」
「いいですよ」
 男が云う。
 僕は小さな声でお邪魔します、と呟いて、靴を脱ぐ。ひた、と、冷たい感触が靴下越しに伝わってくる。両隣をアパートに挟まれているせいか、家のなかは人工的なまでに薄暗かった。今どき珍しい平屋というのもあって、なんだろう、ここだけ死んだ場所みたいな、そんな感覚を覚える。
 すぐ近くにある谷中霊園の気配が、そんな雰囲気を助長させているのかもしれない。ちょ

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霊、書く

霊、書く

 25歳になったその日、僕は17歳の僕に出会った。17歳の僕は相変わらず孤独で、天才で、どこにも味方なんかいなくて、どこにも敵すらいなくて、一人戦争状態だった。自分vs世界。あの酩酊感の只中に、17歳の僕はいた。
 懐かしい、と思った。
 くらくらした。
 過去を振り返り、昔はよかったなぁ、なんて呟くのは老人の仕事だ。
 昔の杵柄を使い、自分の存在を誇示するのは終わった人間の仕事だ。
 僕は自分が

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俺はまだ子供がいい

俺はまだ子供がいい

 小五くらいまでの俺はとても人間じゃなかった。いや、もちろん、一応、生きてはいた。親がいて、帰る家があって、毎日飯食って、勉強して、たまに遊んで。そういう暮らしはあった。
 でも、価値なんて何もないような子供だった。いてもいなくても変わんないような、てきとーな存在だった。家やクラスに居場所がないわけじゃないが、別に俺じゃないといけないってわけでもなかった。誰でも変わらない。例えば、俺がある日突然転

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