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ITシステム構築のプロジェクトが建設業のプロジェクトより難しい理由

IT業界は建設業界と比較されることがよくあります。プロジェクトマネジメントにおいても、進捗管理・品質管理・原価管理といった面において建設業のノウハウを取り入れています。

しかし、建設業のプロジェクトの成功率の高さに比べると、ITシステム構築のプロジェクトの成功率は格段に低いです。
なぜ、ITシステム構築のプロジェクトの成功率が低いのか。

よく言われるものとしては

  • ソフトウェアが目に見えないものなので状況が把握しづらい

  • IT技術の進歩のスピードが速く変化に対応しづらい

  • IT業界の成熟度が低くノウハウが蓄積されていない

といったことが挙げられるでしょうか。もちろん、これらの理由も大きいと思いますが、私はこれらの理由とは別のもう一つの理由を挙げてみます。

それは、

ITシステム構築のプロジェクトは、ITシステム構築自体が目的ではなく、システム構築による得られる価値を目的としているものだから

です。

一方で、建設業のプロジェクトは建造物を構築すること自体が目的となっています。その建造物をどう活用してメリットを得られるかは構築のプロジェクトとは別のプロジェクト(チーム・組織)で検討されることが多いのではないでしょうか。

ITシステムの構築化の目的は、「業務の効率化」「状況の見える化」などがあり、どのようなITシステムを構築すればその目的を実現できるかは簡単な問いではありません。人によって意見が異なることも多いです。構築するシステムを明確にすることが難しいため、結果的にプロジェクトとしても失敗に終わる可能性が高くなります。

また、「システム構築による得られる価値」が人によって異なっていることもプロジェクトが難しい理由になります。経営者が「全社の業務効率を上げる」「全社の状況をリアルタイムに把握して的確な経営判断をしたい」などと思っていても、業務の担当者は「(自分の)業務が楽になってほしい(逆に言えば負荷を増やさないでほしい)」と思っていたりします。関係者の思惑が違うままプロジェクトが進んでしまうと当然うまくいかないことが多くなります。

このように、ITシステム構築のプロジェクトは単に「(ITシステムといった)ものを作るプロジェクト」ではなく、「何かを変革して価値を得るプロジェクト」と言えます。

会社で組織を変革していくことが簡単でないように、ITシステムの構築のプロジェクトも簡単ではないということです。

また、そのようなプロジェクトであるため、ITシステムの構築のプロジェクトには経営者の参画が必須になるというわけです。

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