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プロジェクトマネジメントの「超絶なる心得」は?

日経クロステックの谷島さんの記事がとても興味深かったので、自分の感想を書きます

まずは、こちらをお読みください(以降の記述はこの記事を読まれている前提で書いています)

記事中にも「プロジェクトマネジメント(プロジェクトマネージャー)」という言葉が出てきている通り、記事で紹介されている「五輪書」および「超絶なる心得」には「プロジェクトマネジメント」におけるヒントが詰まっていると感じました

大きい所から小さい所を知る

「大きなる所よりちいさき所を知り、浅きより深きに至る。」という宮本武蔵の言葉に関連して、記事では以下の考察があります

プロジェクトマネジメント知識体系ガイド(PMBOKガイド)の指導の順序に関する話を思い出した。PMBOKガイドは第6版まで、最も重要なプロジェクトチャーター作成を含む統合マネジメントが先頭に置かれ、続いてスコープ、スケジュール、コスト、品質などのマネジメントが記述されていた。だが、この順は分かりにくいとして、各論を先に教え、最後に統合マネジメントを教えたところがあった。

https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00166/012300117/

私はPMBOKガイドの第6版より前の版を知らないのですが、妙に納得してしまいました

本来であれば、大きい所(統合マネジメント)を知った上で、小さい所を知っていくべきなのかもしれないですが、小さい所を知らないと逆に大きい所の理解がしにくいかなと思います(小さい所のほうがとっつきやすいというのもあります)
その後、大きい所を理解した上で、改めて小さい所を見ていけば最初に見ていた小さい所の見え方も変わってくるのではないでしょうか?

これに関連して、PMBOKガイドの 第6版 と 第7版 の関係も興味深いです

第7版は、「五輪書」で言えば「空之巻」つまり「大きい所」にあたるものと考えられます
PMBOKの意図としては、大きい所からプロジェクトマネジメントを見ていくべきと考えて、この第7版の内容になっていると思われます

ただ、上記の通り初学者がいきなり第7版を読んでプロジェクトマネジメントを理解するのは少々難しいものになってしまっていると感じます

ちなみにPMBOKガイド第7版と共に用いる、プロジェクトマネジメントの新しい実務ガイド「Process Groups: A Practice Guide」というものがあります(本年度中に日本語化される予定)

これと「アジャイル実務ガイド」が「五輪書」で言うところの「水之巻」や「火之巻」にあたるのでしょう

なので、記事にあるように初学者用に「Process Groups: A Practice Guide」と「アジャイル実務ガイド」を先に与えて、後にPMBOK第7版を与えて免許皆伝にしていくという流れが出てきそうです

具体的な「ちいさき所」から学びたい人は多い。岩波文庫の五輪書の解説によると、二刀流の正式相伝者、寺尾孫之丞の流れをくむところでは、五輪書とは別の平易な一巻をまず与え、次に水之巻、火之巻を授け、術を習得した者に地之巻、風之巻、空之巻を与え、免許皆伝にしていたそうだ。

https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00166/012300117/

目に見えぬ所を悟って知る

これはまさにプロジェクトマネジメントに必要なことだと思います

実践的な水之巻には「観見(かんけん)二つの事、観の目つよく、見の目よはく、遠き所を近く見、ちかき所を遠く見る事、兵法の専也」と書かれている。観とは心で感じること、見は目で見ることをいう。

https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00166/012300117/?P=2

これをプロジェクトマネジメントに当てはめれば

  • 遠くのステークホルダー(現場の人や普段の会議には出てこない声の強い人)のことを想像する必要がある
    さらに言えば、社会や業界の情勢なども把握する必要がある

  • 近くのステークホルダー(チームメンバーや顧客の窓口)が発している言動だけ(表に出てきているものだけでなく)、なぜその言動をしているのはいった意図や感情をくみ取る必要がある

となりますね

万事にある「拍子」をいかにしてつかむか

これはプロジェクトマネジメントのみならず、普段のコミュニケーションにも必要なことだと感じました

宮本武蔵は「空なる事におゐても拍子はあり」と書いている。ここでいう空は「目に見えない、無形のこと」を指し、立身出世、人と人のやり取りの呼吸、物事の栄枯盛衰、といったことにも拍子があると説いている。宮本武蔵が重視する拍子は物事の動きの強弱(リズムやビート)であり、さらに物事と物事の合間(タイミング)でもある。

https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00166/012300117/?P=2

過去に「KY(空気読まない)」なる言葉が流行りましたが、この「空気」にも通じるものがあると思いました
記事にあるタイミングもそうだし、バランスということも当てはまるかと思います

コミュニケーションはキャッチボールとよく言われますが、相手が咀嚼できていないのに、自分の思いを一方的に伝えているのはまさに拍子がとれていないということでしょう

仕事を進めるうえで報連相は大事なことですが、その内容のボリュームだったり情報を伝えるタイミングを考慮せずに自分のペースだけでやってしまうと、チームがうまく回らなくなってしまいます

究極の境地は「空」

プロジェクトマネジメントにおける「空」はなんでしょう?記事では言及されていませんが、私なりに考察してみます

まず、一つ言えるのは前述したとおりPMBOK 第7版 は「空」にあたると考えます
特に、12の原理原則はまさに「空」にあたるものを目指してまとめられたものでしょう

私の考えを書きます
正直に言えば、この「空」にあたることを一冊の本などにまとめることは不可能と考えています

とは言え、それでは元も子もないので補足します

こういった「空」にあたる部分を一朝一夕に習得するのは不可能ですが、「PMBOKガイド第7版」 や「7つの習慣」といった様々な書籍を読み、かついろいろな現場での体験を通じて習得できるものと考えます
いや、それでしか習得できないでしょう

コピーライターとして著名な糸井重里さんが言っていた言葉がずっと心に残っていて、ことあるたびに引用させていただいています

すぐに習得できるスキルはすぐに廃れてしまう
時間をかけて習得したスキルはどこでも通用する万能スキルとなる

正確な言葉は不明ですがこのような意図のことを仰られてました
出典が見つけられないので、もしご存じの方がいらっしゃったら教えてください

後者がまさに「空」のことでしょう

「自分しかおらんわ!」

元記事に見習って、このブログを締めようと思います

超絶なる心得にせよ、五輪書にせよ、「やらない」「やれない」と受け止めた人には無価値である。ケリーサイモン氏の2022年の決め台詞(せりふ)は「お前がやれや。」だった。2023年は勝負の年だそうで、決め台詞を「オレしかおらんわ!」に変えた。

https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00166/012300117/?P=2

例えば、私が誰かに自分の知らない何かに誘われた場合にも「明らかに自分が嫌と感じるもの」以外は(もちろん自分の都合のつく範囲内で)受けるようにしています

前のブログに2023年の抱負を書いているので、決め台詞は「楽しむためにオレがやるわ」にしますかね笑


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