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壱宍 (若槻きいろ)
2021年2月6日 22:48
夕顔を見よう、と貴方は言った。 八月最後の週末だった。 なんで、そんな顔見せますか。 新しい品種を手に入れたと年甲斐もなくはしゃぐ貴方に、私は呆れた声で呟く。 茜が落ちてゆく時間に、私たちは一つの鉢を囲んでいた。陰って久しい庭先は案外涼しくて、夏夜と言えど外気は私達の体温を少しずつ奪っていく。 明日の朝には枯れ行くこの花が、どうしてそんなに気を引くのかわからない。 なんで、と漏れた声