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小説

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2021年2月の記事一覧

夕顔

夕顔

 夕顔を見よう、と貴方は言った。
 八月最後の週末だった。
 なんで、そんな顔見せますか。
 新しい品種を手に入れたと年甲斐もなくはしゃぐ貴方に、私は呆れた声で呟く。
 茜が落ちてゆく時間に、私たちは一つの鉢を囲んでいた。陰って久しい庭先は案外涼しくて、夏夜と言えど外気は私達の体温を少しずつ奪っていく。
 明日の朝には枯れ行くこの花が、どうしてそんなに気を引くのかわからない。
 なんで、と漏れた声

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