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ロシアがウクライナに侵攻 落としどころは、”ウクライナのフィンランド化”か?

 ロシアがついにウクライナに対し、軍事侵攻に踏み切った。ロシアもウクライナも、冷戦後の世界に適応してきた。その構図が一変する形となる。


 ロシアがウクライナに侵攻した背景には、とくにこの20年間でロシアがウクライナに取るべきオプションが少なくなり、ついには最悪のシナリオパターンである、”軍事侵攻”という選択肢しか残っていなかったとことがある。


 かつては、ウクライナが西側に接近すると、ロシアが天然ガスの価格を引き下げるなどし、経済的手段を用いて、ウクライナをその都度、引き戻してきた。


 しかしながら、2014年のクリミア併合に伴うウクライナ危機後にロシアとウクライナの経済的な関係は完全に途切れた。さらに親ロシアのヤヌコビッチ政権が崩壊して以降、親ロシア政権が生まれる可能性も低くなった。クリミアが併合されたことにより、親ロシアを訴える政党も支持を失った。


 またウクライナは北大西洋条約機構(NATO)と欧州連合(EU)に加盟する方針を憲法にまで明記したために、それに意義を唱えると憲法に違反する行為となる。 結果的に、ロシアがウクライナに影響力を及ぼす手段が軍事力しか残らなかった。


ウクライナ情勢の概要


 先週、バイデン大統領が、「今日、明日にでも」ロシアがウクライナに軍事侵攻すると発言。大統領だけでなく、オースティン国防長官は20日に放送されたABCのインタビューの中で、ウクライナの国境周辺に集結するロシア軍が、「首都キエフを制圧するためにかなりの戦力が速やかに移動できる」と指摘。


 そのうえで、「大量の戦車や装甲車、大砲などが確認されている。こうした兵器が使用されれば、市民を含む多くの人たちが被害を受け、住まいを失い、避難民となるなど悲劇を作り出す」と語る。


 しかしながら、ロシアの軍事侵攻の可能性については、専門家の意見は大きく分かれていた。

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