解れ

貴方といると私は解れていく。
頭ではなく、足の先から。それも必ず右足の親指から解れていく。
ぐちゃぐちゃにではなく、丁寧に。か弱い白い糸が螺旋状に舞って、徐々に私を無くしていく。
そうすると貴方は「危ないよ」と言って丁寧に折り合わせて、私を作り直す。
裁縫で玉結びをするように、雑に、それでいて忘れないように作り直した後に貴方は、ひと撫で。ひらり。
わたしはたまらなく火照り、貴方を求める。
1人では解れられないし、結べもしない私を、さらりと愛してくれる貴方へ。

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