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特許事務所の未来

とあるツイートをきっかけに、
豪華メンバーのご意見を頂く機会がありましたので、
その内容を踏まえ、私の考えを少し。

クローズの場での意見交換のため、意見交換の内容紹介ではなく、その内容を踏まえての、私の考えです。使用者と従業員とは利害が対立する部分もあるかとは思いますが、少しでもよい事務所の形態を考える材料になれば嬉しいです。

さて、事務所は、どういうものが好ましいかという命題に対し

  1. 事務所の器という観点

  2. 依頼者へ提供するサービスという観点

  3. 従業員の職場という観点

から考えてみました。

事務所の器という観点

 特許事務所は相対的に規模が小さな組織であるため、事務所のカラーにトップ(又は部門長)の影響が色濃く現れます。この現れるカラーが事務所のトップのキャラクターにあったものが好ましいのではないかとの考えです。

 世の中には、数々の「最適例」が存在しますが、トップのキャラクターに合わない場合には、どこかで歪が生じることが予想されるため、キャラクターに沿った事務所にすることが自然で良い事務所につながるのではないかと。トップは事務所の象徴とも言える立場ですので、本人のキャラクターにあった依頼者・スタッフが集まることが予想されることを考えると、トップのキャラクターに合わせた事務所スタイルが、無理のない事務所につながるポイントの一つかと。

依頼者へ提供するサービスという観点

 特許事務所は、依頼者からの依頼に基づいて業務を行う場所であり、少し前までは「事務所」に依頼をする形が日本では主流でした。特に日本の場合、「事務所」に依頼するため、担当者が資格者であろうと無資格であろうと、「事務所品質」が重視される時代であったと思います。
 一方、昨今では、欧米のように、日本でも「弁理士個人」に依頼をする形が増えてきていることから、「事務所」としての均一な品質よりも、属人化していく流れになるのではないかと考えます。少し乱暴な言い方ですが、「均一品質」とは、低いレベルに合わせることになるため、属人化してレベルを上げないと、生き残れなさそうというのも、理由の一つです。とすると、属人化した弁理士が事務所に長く努めようと思える事務所とすることも、一つの課題となるわけです。

 事務所としての均一な品質の担保と属人化のいいとこ取りをしようと、弊所では「企業担当制度」を採用しているのですが、もう少し改良することで、新しい時代に対応できないかと考えております。

従業員との観点

 現時点において、特許事務所に来る方は転職組が多く、多くがJTCである程度のポジションをつかむ方です。つまり、転職というリスクと試験合格のハードルを超える価値を提供できることが、事務所側の最低限の役割ではないかと。

 例えば、JTCから転職され特許事務所で活躍される弁理士の多くは、
JCTでそのまま務めていても年収1000万程度には到達するレベルの方が多いと考えられます。とすると、事務所に転職した場合、最低でも同程度の待遇を見える形で示さないと、転職メリットがありません。本人次第で、それ以上の待遇が望める可能性を見せることが、一つの方法かなと。

 この点に関して、少し前までの事務所は、上限のない成果報酬体制で答えてきたように思います。しかしながら、昨今はこのようなガリガリの成果主義を好まれない方も増えていることから、年功給を含む報酬体制が求められているように感じます。

 一方で、経営的には従業員の報酬の原資は依頼者からの報酬であり、報酬体系の変更はパイの切り方の変更に他なりません。パイの切り方一つで皆が幸せに慣れれば幸せではありますが、パイそのものの大きさを大きくしたり、パイの過食部分を増やす努力が必要かなと。

個人的には、このあたりの方法を一つ考えて事務所に適用しつつあるのですが、まだ一般化できているレベルでは無いので、この話はまたの機会に。

依頼者に満足していただくための方法の一つは、長く働いていただくことだお思っています。どんな事務所なら働きやすく、依頼者に満足してもらえるのでしょうね。

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