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インプットとアウトプット - 外国語能力をトコロテン突き(フィルター)で説明する

トコロテン突きの話はこちらに

外国語を学習し始めると、その言語用のフィルタを作り始めるわけです。
トコロテンを押し出す先の網のところの針金が十分に細ければ、網を通る前のイメージがほぼそのままの形で保持されて取り込まれて、頭の中でモヤモヤと再生されます。

このアミアミの仕切りが太いと、そこにぶつかって取り込まめない情報ができてしまいます。
外国語学習は、このアミアミを洗練していく作業で、より多くの情報を取り込むようにしていくのです。

母語にない要素は、取り込まなくても構わないと判断してしまうことがあります。
例えば英語の冠詞(aとかthe)とか。
日本語では必要とされないものなので、インプットの際に意識しないことから、次にアウトプットで使おうとすると使えないということになります。

ここではインプットのフィルターとアウトプットのフィルターを分けて考えると分かりやすいでしょう。

語彙のレベルでもパッシブ語彙、アクティブ語彙と呼ばれるように、「読み聞きした時は分かるけれども、自分では使いこなせない」単語があります。
漢字で「薔薇」は読めるけど書けないというようなものでしょうか。

となると、語彙でもなんでも、アウトプット能力はインプット能力より低くなります。

読み聞きして分かる単語は全て自分で使いこなせる。読んでわかる感じは全て書ける。という状況は、y = x の線上にあるわけですが、実際のところはそこより低い赤い線のところに止まってしまいます。

完璧ネイティブ話者という想定が可能であるとして、アウトプット能力、インプット能力、いずれも100%だとしても、実際にはそこまでたどり着けず、ネイティブ話者であっても赤い線の上のどこかに位置するということになります。

では外国語学習者の私たちはどうしたらよいでしょうか。
現在青い✖印にいる私は、知っている単語を全て自分で使いこなせるようにするのが良いでしょうか。それとも(いずれにせよアウトプット能力がインプット能力の数割に留まるというのであれば)インプット能力を増やすことに注力して、それにつられてアウトプット能力が(自然に)増えていくのを待つのが良いでしょうか。

昔、単語カードを作って英単語を覚えましたね。英語・日本語、裏表になっているカード。
英語から日本語はできるけれども逆が覚えられない。
母語の方が圧倒的に語彙が多いので当たり前の部分もありますが、逆はできなくても良いという語彙もたくさんあります。
そもそも y = x まで持って行けないのですけれども、アウトプットにおいては、自分の知っている単語、言い回しに言い換えるという回避方略が取れます。
ピッタリとした一単語で説明できなくても、「四本足でペットで目の見えない人のサポートもできる」などと言えば伝わるのです。

日本人は読めるけれども話せないとよく言われます。
「読める」というのが、上のグラフのX軸の50なのか20なのか分かりませんが、今が 40ならば、話す力も最高で40までしか行きません。
インプット能力を80まで増やす方向で頑張って、たまにはアウトプットも頑張って、40のアウトプット能力を目指す方が楽なような気がしています。


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