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帰国子女・帰国オヤジあるある - 日本語の人称代名詞

会社の行き帰りにAudibleで聴いているのが、「日本語に主語はいらない (講談社選書メチエ) 金谷 武洋著」

多分内容は素晴らしいのですが、Audibleバージョンはオススメしません。
カナダのモントリオール(フランス語圏)で日本語を教えていたという著者は、英語・フランス語の例文をたくさんちりばめています。

しかしながら、朗読の方の発音は完璧なカタカナ発音。フランス語はアクセント符号を無視してのローマ字読み。(後でKindle版を見てみたら、カタカナルビも振ってなくて、これは朗読者泣かせ)

カタカナ英語はある程度市民権を得ているので、カタカナ英語を聞いても原文を再構築できますが、フランス語はムリでした。
まあ、英語とフランス語をきれいな発音で吹き込むというのも、英仏語学習書ではないので、需要もないかもしれませんね。(どういう読者を想定しているのだろう)

ということで、運転途中は早送りもできずに、無駄な時間がしばらく続くのでした。

まだ第一章の「日本語に人称代名詞という品詞はいらない」ですが、なかなか面白いです。

英語(や、他の外国語)に人称代名詞があるから、日本語にもあるはずだという前提で日本語文法を作ってしまったのが間違いという主張です。
英語の I や You に当たるものが、日本語の「私」や「あなた」であるとし、日本語を学ぶ外国人にもそのように教える。
しかし、日本語の「私」は、他の名詞と何ら変わるところが無く、例えば父親が子どもに対して「パパはね」と話しかけるのを見れば、そのことは分かりやすいです。

よく言われるのが、英語の I に対して、日本語は僕、私、おれ、あたい、うち、などたくさんあって、難しいということですが、そうなのではない。

この辺りを(カタカナフランス語読みに気が散りながらも)聞いていて、思い当たったことがあります。

米国の大学出身の女性の部下から「あなたはどうお考えですか?」と聞かれてドキドキしたのはそういうことだったのか。
日本で「あなた」と呼びかけるのは、マスオさんに呼びかけるサザエさんのように、奥さんが旦那さんに呼びかけるような感じで、ドキドキしたのでした。
英語では二人称はYouしかないので(独仏伊語などでは、二人称に親称と敬称があるので、親しい相手とそうでない相手の使い分けがある)、彼女は私にはYouで呼びかけるし、それが「あなた」になってしまった。

また、会社で社長の話をしているときに、
A「社長って、△△ですよね」
私「彼は□□ですから」
などと私は言ってしまうのですが、これをやると周りはギョッとします。
外国語の癖で、2回目に登場するときには代名詞で受けることから、社長を彼と言ってしまう。
日本では2回目以降も「社長は」と言わなければいけないところ。

帰国子女・帰国オヤジあるあるです。

Kindle版もダウンロードしたので、しっかり読もうと思います。

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