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第8章:新たなサービス開発と二次収益の追求


8-1 オリジナル商品とギフトセットの開発

 夜も更け、【サトコのお弁当】は閉店時間を迎えた。店内は一時的に静まり返った。今夜は特別、ユウキは従業員たちとのミーティングを企画していた。話し合いたいことは「新たなサービスと商品開発」だった。

「皆さん、お疲れ様でした。今日も一日頑張ってくれてありがとうございます。サトコのお弁当は、皆さんの力とお客様の愛で大きくなってきました。でも、まだまだこれからもっと良くしていきたいんです」

 ユウキは笑顔でみんなを見回した。

 柔らかい照明の下、美味しそうなお弁当の写真がディスプレイされている中、新入りの女性従業員、ミキさんが手を挙げた。

「私、健康志向のお客様にピッタリなお弁当を考えたんです。スーパーフード入りのお弁当なんてどうでしょう?」

 それに触発された他の従業員も次々とアイディアを出し始めた。

「季節限定のお弁当もいいかも!」「キャラ弁も人気出そう!」

 ユウキはうれしそうにみんなの提案を聞いていた。そして、話題がギフトセットに移った。毎年のギフト需要の高まりや、お祝い事での需要に応えるための特別セットの提案が持ち上がった。従業員からは、美しい包装やオリジナルのメッセージカードのアイディアなど、魅力的な提案が続々と出された。

「それなら、地域の特産品やコラボレーション商品と組み合わせて、限定ギフトセットも考えられますね」

と、タケオが提案した。

 ユウキはミーティングで出た考えをまとめ、試作品の作成を提案した。
それに賛成する声は多く、サトコの判断で、熱意に満ちた試作チームが結成されることとなった。

 数週間後、店頭には新しいラインナップのお弁当と、粋なデザインのギフトセットが並ぶようになった。特に、スーパーフードを取り入れた健康志向のお弁当は大変な人気となり、SNSでも多くのシェアを獲得。キャラ弁は子供たちからのリクエストが殺到し、母親たちからも感謝の声が多く寄せられた。

 ギフトセットは、洗練されたデザインと地域の特産品を組み合わせた内容で、多くのお客様から高い評価を得ることになった。
嬉しいことに、地元では、ちょっとしたプレゼントや記念日のギフトとして人気を博していた。

 ユウキは従業員たちと共に、【サトコのお弁当】の更なる進化を実感した。彼らのチームワークと創造力、そして顧客のニーズを捉える力が、新しいサービスと商品開発の成功に繋がったのだった。

「次はどんなアイディアが浮かぶかな?」

 ユウキは新たな挑戦への期待感を胸に、店のシャッターを閉じた。

8-2 外部イベント出店のチャレンジ

 朝の【サトコのお弁当】は、従業員たちの活気に満ちていた。新しい商品の人気に乗じて、ユウキはさらに大胆な提案を持ちかけることにした。

「皆さん、聞いて欲しいことがあります」

 ユウキは店内のBGMを下げ、真剣な表情でスタッフたちに話しかけた。

「来月、市内で大きな地域フェスティバルが開催されるそうです。僕は、そこに【サトコのお弁当】のブースを出したいと考えています」

 一瞬の沈黙の後、驚きや期待の声が広がる。多くの従業員が賛成し、ブース出店の成功に向けて改めてアイディアを出し合うことになった。

 閉店後、スタッフがミーティングのために集まって話し合いを始める。
一人の従業員が少し不安そうな声で呟く。

「本当にできるのかな…?」

 それに対してタケオが応える。

「私は、以前、ホテルに勤めていた時にそういうイベントに出店したことがありますので、少しは役に立てると思いますよ」

 それを聞いたスタッフたちの気持ちは、一気に盛り上がった。

「出店するなら、新商品や季節限定のお弁当を売りにしましょうよ」

とマユミが提案。さらに、

「イベント特別価格や、イベント限定の商品でお客様を引きつけたらどうだろう?」

とタケオが意見を出した。

 プロモーション方法も熱く話し合われた。SNSで情報を拡散したり、リアルタイムでイベントの様子をライブ配信したり、来場者だけに特典をあげたりすることなどが提案される。

 出店準備は急ピッチで進められ、ユウキたちはブースデザインや商品選び、プロモーションなどに日夜励んだ。

 いよいよ、イベント当日。

 広い会場には多くのブースが並び、多くの来場者で賑わっていた。【サトコのお弁当】のブースも、赤と白を基調とした鮮やかなデザインと、美味しそうなお弁当の写真で注目を集めていた。

 開始からわずかな時間で、ブースの前には長蛇の列ができた。特に、新商品やイベント限定のお弁当は、あっという間に売り切れるほどの人気だった。

 夕方になると、ブースの商品はほぼ完売。ユウキとスタッフたちは、疲れ果てながらも、大成功を収めた喜びでいっぱいだった。

 イベントが終了した後、ユウキはスタッフたちと反省会を開いた。

「今回の成功は、本当に皆さんの努力のおかげです。これを機に、今後も地域の様々なイベントに参加し、【サトコのお弁当】の名前をもっと広めていきましょう」

と、彼はスタッフたちに呼びかけた。

 多くのスタッフがその意見に賛同。このイベントを皮切りに、サトコのお弁当はさらなる高みを目指して、新しい挑戦を続けることとなった。

8-3 リマーケティングとオムニチャネルマーケティングの活用

 【サトコのお弁当】は、日々の営業を通じて数多くの顧客データを蓄積していた。購買履歴や来店頻度、SNSでの反応など、これらの情報は店の成長のための大きな宝となるはずだ。ユウキは、これらの情報を駆使して、新たなマーケティングの方法をスタッフたちに提案することを決意した。

「最近、オンラインショップや他のサービスで、自分が見た商品や気になった商品の広告を他のサイトで見た経験はありませんか?」

ユウキは、ある日の朝礼で、そう質問した。

「あるある! ちょっと気になった商品を見ただけなのに、後で他のサイトやSNSでその広告を見かけることがよくある!」

と、ミキが答えると、他のスタッフからも頷きの声が上がった。

「それ、リマーケティングっていう手法なんです。訪問者や顧客の行動に基づいて、後からターゲティング広告を表示させることで、再びそのサービスや商品に興味を持ってもらう狙いがあるんです」

 ユウキが解説すると、スタッフたちは興味津々で話を聞いていた。

 さらに、ユウキは「オムニチャネルマーケティング」についても紹介した。

「お客さんがどこで、どのデバイスを使って接触しても、一貫した体験を提供すること。店舗とオンライン、SNSとの連携を強化し、顧客の経験をより良いものにするのが狙いです」

 スタッフたちは、自分たちの仕事が今後、更にお客様に喜んでもらえるのでは…と期待に膨らむ。

 閉店後、サトコとマユミ、そしてユウキはスタッフルームで打ち合わせを行った。

 三人の間で、【サトコのお弁当】のSNSやホームページ、店頭との連携を強化するための様々な提案や質問が飛び交った。顧客の購買データを活用して、過去に購入した商品に関連する新商品の情報をSNSやメールでお知らせする戦略や、オンラインでの予約客に店頭での特典を提供する方法など、新しい試みに対するアイディアが次々と生まれた。

 これらの取り組みの結果、【サトコのお弁当】の再来店率は大幅にアップ。さらに、新しい顧客層を獲得することにも成功した。ユウキたちは、これらの取り組みを通じて得られたデータや結果を元に、次なるステップを模索する日々を送っていた。

 ある夜、店の閉店後に行われたスタッフミーティングで、ユウキは深く深呼吸をしてから言った。

「本当に、皆さんの協力があってこそです。これだけの結果を出せるなんて…。」

 彼の目にはスタッフへの感謝とともに、新たな挑戦への意気込みが宿っていた。

 ミーティングの後、ユウキはサトコとマユミに向かって言った。

「次はどんなチャレンジをしましょうか?」

 彼の問いかけに対して、サトコは自信に満ちた笑顔で「私たちなら、きっと何でもやれるわ」と笑いかけた。

 この成功体験は、サトコのお弁当のチーム全員の絆をさらに深め、未来への大きな期待感を胸に秘めることとなった。

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