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第7章:業務効率化とコスト削減


7-1 目覚める効率化の波 - 一歩ずつの改革

「ユウキ君、次のステップは全体的な効率化とコスト削減を図ることよ。それが顧客に対する価値提供にも繋がるように進めていきましょ。」

 サトコの言葉はユウキの心に深く刻まれた。確かに売上が伸びている一方で、その利益がそれに伴って上がっていない現実。その原因は明らかだった。コストの問題だ。
 特に材料費や人件費が増大し、結果としてROIが改善していなかったのだ。

 ユウキはこの問題を解決するために、何から手をつければ良いのか、頭を悩ませた。そして、自分が以前学んだデジタルマーケティングの知識を活用して、業務の効率化とコスト削減を図ることを決意した。

 まずは、各業務の現状の課題を把握するために、スタッフ一人ひとりと話をすることにした。サトコのお弁当は大きな組織ではないので、部門というよりも各業務担当がいる。各業務担当と話をしていくうちに、ユウキは各業務の効率化が必要であること、そしてそれによってコスト削減が図れる可能性があることを認識した。

 このとき、ユウキは特に「会計」の効率化の必要性を感じた。
 これまでの経理業務はすべて手作業で、時間も人手も大幅にかかっていた。それに対する改善策をサトコと一緒に考えていく中で、ユウキはデジタル化の可能性を見つけた。デジタルツールを活用すれば、時間の節約と人件費の削減が図れるだろう。

 そこでユウキは、クラウド型の会計ソフトを導入することにした。
 単なる時間の節約と人件費の削減だけではなく、データをリアルタイムに把握することで次のステップにも繋げようと考えたのだ。
 ユウキの目論見通り、これにより時間の節約を図ることができた。この結果、経理業務が効率化され、業務全体のコスト削減につながった。

 ユウキはこの成功体験を元に、他の業務の効率化も検討し始めた。
 そして、その一環として、次は在庫管理の効率化に取り組むことを決め、サトコに相談した。この時点で、ユウキの頭にはすでにデジタル化を利用した効率化のアイデアが浮かんでいた。

 このように、ユウキは業務の改善と効率化を進めていくことで、【サトコのお弁当】のコスト削減を図っていった。そして、それは同時に、お弁当の品質を維持しつつ価格を抑えることができ、顧客に対する価値提供にも繋がっていくのを感じたのだった。

7-2 デジタルツールと自動化 - 革新への一歩

 クラウド型会計ソフトで業務改善の成功体験を得たユウキは、次に在庫管理の効率化を検討し始めた。
 サトコのお弁当では、毎日多数のお弁当を作るため、それに応じた食材の在庫が必要だった。そのため、適切な在庫管理が行われないと、食材の廃棄や急遽の発注が発生し、コストアップの原因となっていたのだ。

 ユウキは、在庫管理のデジタル化により、これらの問題を解決できるのではないかと考えた。そして、それに関連してクラウドPOSシステムも活用することを提案した。このシステムは、お弁当の販売数や食材の消費量をリアルタイムで管理し、必要な食材の発注量を自動で計算してくれるものだった。

 さらに、クラウドPOSシステムは、キャッシュレス決済もサポートしているものが多くあり、これを活用することによってお釣りを用意するための両替手数料の削減や、銀行で両替をしてくるための手間の削減も期待できた。
 最近では、キャッシュレスの支払いができないためにお客様から選ばれないことも多くなっている。ユウキはこのシステムを導入することで、お客様により便利な支払い方法を提供できると同時に、コスト削減も図れると考えた。

 サトコやマユミと一緒に、いくつかのクラウドPOSシステムの提供サービスを調べ、最も適したシステムを導入することを決定した。システム導入後、サトコのお弁当の在庫管理は劇的に効率化され、食材の廃棄も大幅に減少した。また、キャッシュレス決済の導入は、お客様からも好評価が得られた。

 ユウキは、このようなデジタルツールの活用を通じて、従来の業務を大きく革新することができると実感した。次に、注文や配送の管理、さらにはスタッフのシフト管理など、さまざまな業務の効率化に取り組もうと考えていた。

 サトコも、ユウキの提案に賛成し、従来の手作業で行っていた業務をデジタル化する方針を決定した。デジタルツールと自動化の導入は、初期投資や導入の手間はあるものの、長期的な利益を考えると、その価値は計り知れないものだと感じていた。

 ユウキとサトコは、これからもデジタル化と自動化の導入を進めていくことを誓い合った。この取り組みは、【サトコのお弁当】のビジネスをさらなる高みへと導くものとなるのだった。

7-3 マーケティングオートメーションとバイラルマーケティング

 「サトコのお弁当」の後ろのスタッフルームで、マユミはSNSの画面を前に疲れた表情を浮かべながら言った。

「SNSって、本当に大変なんだよね…。」

 彼女の声には疲労感が滲んでいた。

 ユウキは隣でマユミの様子を心配そうに見ていた。マユミはSNS担当者として、毎日新鮮なお弁当の写真や動画、キャッチーなキャプションを考えている。それに、フォロワーやお客さんからのコメントへのレスポンスも忘れてはいけない。

「今は、具体的にどんなことが大変なの?」

ユウキはマユミの目を見ながら尋ねた。

「投稿するお弁当の種類を考えたり、どんなキャプションが反響を呼ぶかを試したり…。でも、一番は時間だよ。特にピークのランチタイム前後には、何を先に手を付けるべきか迷ってしまうの」

とマユミはユウキに答える。

「そうか…。でも、ひょっとするとマーケティングオートメーションっていうのを導入したら、少しは楽になるかもしれないよ」

ユウキはマユミに向かって提案してみる。

「マーケティングオートメーション?聞いたこと無いけど、具体的にどういうもの?」

 興味津々といった顔でマユミがユウキを見つめた。

 ユウキは彼女の目の前でスマホを取り出し、いくつかのアプリやサイトを紹介しながら説明を始めた。マーケティングオートメーションとは、簡単に言えば、マーケティング活動を効率化・自動化するためのシステムやツールのことだ。例えば、SNSの投稿スケジュールの自動設定や、反響に応じた自動フォローアップなどが可能であるということを説明した。

「そして、バイラルマーケティングというのもあるんだ。これは、フォロワーやお客さんが自分たちの情報を自然と拡散してくれるようなキャンペーンを考える方法。例えば、限定の割引キャンペーンやSNSでのシェアを奨励する企画などが考えられるよ」

とユウキは続けた。

 その説明を聞き、マユミは目を輝かせていた。

「それ、すごく役に立ちそう!」

 早速ユウキは、サトコに対してマーケティングオートメーションの導入について相談し、試験的に試してみることにした。

 数週間後、サトコのお弁当のSNSアカウントは驚異的なスピードでフォロワーを増やし始めた。新たに考案されたキャンペーンや、マーケティングオートメーションによるタイムリーな投稿が功を奏したのだ。

「ユウキさん、マーケティングオートメーションを導入してから、すごくSNSの運用が効果的にできるようになった気がするわ。特に、個人のお客様というよりも会社なんかからの問い合わせに対して迅速に対応できるようになった気がする。見込み客に対するアプローチの仕方が今までと違って、しっかりできるようになったんじゃないかって気がする。私の仕事もだいぶ楽になったしね」

と、マユミがユウキに対して感想を伝えた。

ユウキもマーケティングオートメーションとバイラルマーケティングの効果を実感していた。これらの効果により、利益の増加だけでなく、マーケティングの業務効率化も実現することができたのだ。

サトコからの当初のオーダーであったROIの改善も少しずつ道筋が見えてきた。次は、新しいサービスの開発や二次収益の追求にも取り組んでいくことができるだろうか…と、ユウキは心密かに考えていた。

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