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聞いてもらえる「伝え方」を考えてみた

たとえ正しいことであったとしても、相手への伝え方によっては相手からは拒絶されたり、受け入れてもらえない時ってありますよね。
そういうときって、コミュニケーションって難しいよなぁ、ってため息が出てしまうような場面ではないでしょうか。

相手が受け取って納得してくれるような伝え方を知りたいからコミュニケーション・スキルを学ぶ人は多いと思います。
それはプレゼンテーションであったり、交渉術であったりというテクニカルなコミュニケーションスキルであり、伝える内容(コンテンツ)やその順番や構造(ロジック)などのWhatの部分、伝える方法(デリバリー)のHowの部分を中心に研修やトレーニングが組まれています。

コンテンツやロジックをプレゼンテーションの中でどのように作って説得力を出すのかのテクニカルなスキルについては以前に以下の有料noteで触れさせていただきました。テクニカルスキルの一例としてはご参考になるかもです。

しかし、コミュニケーションは決してOne size fits all、つまりどんな状況でもどんな相手でも通用する万能なスキルがあってそれさえ身につけていれば大丈夫というものではなく、状況に応じて使い分けることができないといけないからこそ難しいものなのだと私は思います。

特に相手との関係性によっては、同じ内容、同じ方法で伝えても受け取ってもらえない、伝わらないことはよくありますね。
言い方を変えると、相手との関係性によって伝え方を変えることができればちゃんと聞いてもらえるということでもあります。

伝え方によって、相手の関係性がどうなっていると聞いてもらえるのか、受け取ってもらえるかもしれないのかを考えてみましょう。

一般論として伝える

正しいと思っていることを伝える時に、自分の考えとしてではなく一般論として伝えることは結構多いと思います。
その理由は、自分の考えに自信がなかったり、あるいは自分の考え方の根拠や拠り所となるような「聞いたことがある」話を使って話そうとするからではないでしょうか。

「よく言わない?石の上にも三年ってさ」
「一般論かもしれないけれど、ノート取るのって基本だと思うよ」
みたいな。

比較的素直な人はそれでもちゃんと受け取って聞いてくれるでしょう。
「そういうもんかな」
ぐらいに感じながら。

あるいは、自分が知らないことに自覚的な人やあなたのことを物知りだと思っている人であれば、ちゃんと聞くでしょう。
そうですね、先生と生徒の関係はこれかもしれません。

ただ注意しないといけないのは、説教っぽくなったり、押し付けがましくなりやすいところでしょうか。
気をつけないと相手の思いや考えを一般論という常識で押し潰そうとしているように感じられてしまうかもしれないですし、相手が聞きたいのは一般論ではなくてあなたの考え方なのかもしれませんので。

自分の考えとして伝える

相手との関係性が良く、相手から信頼されている場合は自分の考えとして伝えることができますよね。相手があなたがどのように思うのかを知りたい時、興味を持たれている場合もあると思います。
そういう時は最もらしいことや一般的に言われていることを言うよりも、率直にあなたの思うところを伝えた方が好感を持たれるはずです。

「よく分からないけれど、私はなんか順番が違うと思うなぁ」
「私ね、思うんだけど、清潔さって第一印象のキモなんじゃないかなぁ」
みたいに、I(アイ)メッセージとしてはっきりさせます。

一般的な考え方とは違うかもしれないけれど、間違っているかもしれないけれど、自分の考え方や思いとしてはこうなのだと言うことを率直に伝え、なぜそう思うのかの理由や、そう思うようになったエピソードを織り交ぜながら話す…
「って言うのもさ、私、この間こんなことがあって…」
と言うように、自分の思考の世界に誘い、共にその中を歩き回ってもらうようなイメージを持ってもらえると良いかもしれません。

そして大事なのは、自分の考えを聞いたら、相手の考え方も聞くこと。
相手の思考の世界の中にも入っていく許可をもらって、一緒に考えようとすることで対話が起こり、その対話の過程で相手もこちらの考え方の理解が進むかもしれませんよね。

共通の知人のエピソードとして伝える

逆に相手と初対面であったり、知り合ってそれほど日が経っておらず、それほど関係性も信頼関係とまで行っていない場合は、相手と自分との共通の知人の話として伝えることで相手が受け入れやすくなると言うのはあると思います。
相手が尊敬している人の言葉であれば効果はなお高いでしょう。

「スティーブ・ジョブズが言ってたらしいんだけどさ」
「この間一緒に会った山田先生が仰ってたんですけれど」
みたいに著名人やその分野の権威(オーソリティ)の言葉として引用することで、相手にとっての説得力は爆上がりします。

を使う手もありますね。
「この間『ティール組織』って本読んだら書いてあったんだけど」
「心理学者の河合隼雄先生の本の一節にこんなのがあってさ」
その本のことを相手が知っていれば、「あ、その本読んだよ。いい本だよね。」みたいに本の中身に会話が広がり、そこから相手の内面や価値観を理解できて良い関係を築くきっかけにもなるかもしれませんね。

全く関係ない人の極端な例として伝える

伝えたいことを受け取ってもらうための逆説的なアプローチとして、二人と全く関係ない人の話を持ち出す裏技的な方法もあります。
これは、伝えたいこととは逆の事例を敢えて持ち出してきて「こういう話じゃないよね」的なところから本来伝えたいことを「だからさ…」と提示するものです。

「いやちょっと酷い話があってさ、この間ね…」
「そう言えばこの間警察に捕まってたアイツ、いたじゃん」
のように、分かりやすい反対事例を話して、それは間違っているよね、求めてることじゃないよね、と言うところの合意を取ってから、その逆が求めていることだとしたら…と話を自分の伝えたいことに繋げてゆくのです。

これは、ある程度の創作や作り話もアリだと私は考えています。
「ねぇ、こんな人がいたとしたらどう思う?」
みたいに架空の話をして
「いや、それあり得ないでしょ」
みたいになったら、
「だよねぇ、じゃどうしたらいいんだろうね…、こんなのはどう?」
相手の中に作った問いに一つの答えを渡し、そこから共に考えてゆく流れができてゆくようにもなります。


こちらが伝えようとしていることが正しいことであっても、相手がそれを受け取れないのは、自分の考えが正しいと言う思い込みがありそれに固執している場合もありますが、たとえ正しいことであってもあなたから言われたくはないと言うのがあると私は思います。

あなたから言われなくない、は相手が決めています。残念ながら。
だから、相手が自分との関係性をどのように感じているのか、親しみを感じているのか、胡散臭いやつだと思っているのかを知ることがまず最初に必要でしょう。

その上で伝え方を選ぶのが、関係性に応じて伝え方を変えることだと思います。
胡散臭いと思われてるだろうなと思ったらその人が信頼している誰かの言葉の引用をしたら良いでしょうし、親しみを感じてくれてるなと思ったら相手がこちらのことを知りたいと思っている気持ちに応えるように自分の考えを率直に伝えて良いと思います。

そして最後に大切なこと。
あなたが伝えたい想いや考えを伝えたら、相手のも必ず聴きましょうね。
それが、関係を作ってゆくってことではないかな、って私は思いますよ。

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