チョークを食べる話

子どものころに見た、童話のはなし。

「おおかみと7ひきのこやぎ」

ある村に、かあさんやぎと7ひきのこやぎが住んでいた。

ある時かあさんやぎがひとりでお出かけをすることになって、
こやぎたちだけでお留守ばんをすることに。

おおかみが来るかもしれないから、
絶対に家のドアを開けてはだめよ、
とおかあさん。

おかあさんが出かけると、待ってましたとばかりに、おおかみがやってくる。

ガラガラ声でドアをあけてもらおうとしたって、もちろん開けてもらえない。

おおかみは、チョークをまるまる一本食べて、手もおかあさんやぎのように白くして、

その甲斐あって、こやぎたちの家に入り、
こやぎたち6ひきを飲み込むことに成功したが、

用心深いすえっ子のやぎだけは、大きな時計の中にかくれていて、食べられずにすんだ。

6ひきも食べてお腹いっぱいのおおかみは、
その場でぐうぐう寝てしまう。

そのうちかあさんやぎが帰ってきて、
お腹パンパンで寝ているおおかみを見て
びっくり。


ずっと時計にかくれていた、すえっこが
ことの一部始終を、
おかあさんやぎに話すと、

かあさんやぎは、大きな布バサミで
おおかみのお腹を切りさき、
子ヤギたちを救出。
代わりに、
大きな石を、詰められるだけ詰めて、
糸でおおかみのお腹をぬい合わせる。

何も知らないおおかみ。

のんきに
のどがかわいたなぁと、
川へ行って水を飲もうと、かがんだところ
お腹の重みでそのまま川に落ちてしまい、
そのままブクブクとしずんでしまった。


と、いうお話。

気になったのが、
おおかみが食べたチョーク。

声がきれいになるのだという。

チョーク、白墨(はくぼく)、炭酸カルシウム

私は試してみたことはないが、あの粉っぽいチョークに、声をきれいにする効果などあったのだろうか。

その謎が、35年ほど経ってやっと解けた。

この話はグリム童話。
グリム童話とは、ドイツのグリム兄弟(兄の言語学者と弟の文学者)がドイツ国内にあった昔話を集めたもので、初版が出版されたのは1812年だそうだ。
そしてその当時にあった民間療法の中に、

チョーク(石灰岩や貝がら)を食べるとのどにいいというのがあったらしい。

まねしなくてよかった!

けれど、このおおかみの
こやぎたちに近づこうとする努力、
演劇ではすごくキャラがたっていて好き。

赤ずきんに出てくるおおかみも、
(これもグリム童話)
食べて、ハラ切られて、石いれられてる。

欧州には、
「おおかみ=ワルモノ」な話がけっこうある。




教訓を探しつつ、文化や歴史を知ると、よりストーリーに深い味わいがある、童話。

次もまた、不思議な話へと誘おう。

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