鏡の中のU

お前は真夏の燦然とした太陽であれ
と、言われ

四六時中 鏡を覗き込んだ

名付けられてもらっておいて
云うのもなんだが

俺は俺だと 誰が言い切れる?

その日暮らしの俺では
余りに名前がありすぎる

自分で自分を傷だらけにした
己の罪か

「あぁ、なんてお前らしいのだろう」
俺は鏡を殴る
「嫌だね、俺の何が解る」

太陽は月を抱きたい
しかし太陽は真夜中を知らない


貴女は全てを明るく照らす太陽であれ
と、言われ

四六時中 鏡を覗き込んだ

名付けられてもらっておいて
贅沢だけれど

私は私と 誰が言い切れる?

その日暮らしの私では
余りに何も無さすぎる

自分で自分を着飾った
己の罪か

「あぁ、なんて貴女らしいのでしょう」
私は鏡を殴る
「いやね、私の何が解るの」

太陽は月になりたい
しかし太陽は真夜中を知らない

太陽は眠れない
太陽は眠らない

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?