リトル・シュガー・メイト

お互いのことは 知っていた
コーヒーを飲みながら
ノートを広げていると
いつも勝手に 相席してくる人

私をひたすら笑わせて
先に帰ってしまう

午後三時頃になると
店先では
貴方を待つ人影が
早く出てこいと急かしていたから

愛嬌のある人気者
クセのないブレンドコーヒー

笑うと片頬が上がるの
クールだと思ってた
どんな冗談を言っても
おどけて笑ってみせる いなせな人

甘くて優しい人気者
まろやかな カフェ・オ・レ

午後三時頃に
いつもの人影は 現れなくて
出ましょうか と誘ってみたの

傘なんて持つはずのない貴方に
差し出した時
はっきりと目が合って

コーヒーは全て飲み干されてしまい
誰にも優しい人気者
空っぽのコーヒーカップ

笑顔の世界に逃げないで
今だけは 困らせてよ

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