栄養士(専門職)が栄養士として働くことの意味について思うこと

栄養士という資格を取ってもやめてしまう現状

 栄養士界隈のつぶやきを眺めていると、「栄養士になってもやめてしまう」「栄養士という職業を諦めないで欲しい」という声を耳にすることがあります。それを聞いて「栄養士っていう肩書にこだわらなくてもいいじゃん」と思ったのですが、これを機に気持ちをまとめてみたいと思います。

栄養士ではない専門職の方も、「栄養士」の部分をご自身に置き換えてみてください。どんな専門職にも当てはまることです。

給料が安いという現実に疑いを持つ

そもそもなぜ「やめる」というワードが頻発するのか考えたときに、栄養士=「激務な割に給料が低い」というのが一番の理由でしょうか?
栄養士の中でも給料が低いという噂はよく耳にしますが、本当にそうなのでしょうか?どんな仕事にも低賃金な採用条件のものは存在します。しかし、「栄養士=低賃金」と言ってしまうのは少し強引な気がします。
私の知る限りでも好条件の採用はあります。

低賃金と訴えることの意味

「こんなに働いているのに賃金が低すぎる!」という訴えは誰に響くのでしょうか?それを聞いた人は同情してくれるかもしれませんが私たちのために具体的な行動に移してくれるでしょうか。せいぜい拡散して終わりではないでしょうか。
愚痴るだけでは何も変わらないどころか、これから栄養士を目指す人へのネガティブイメージの植え付けになってしまうのは残念です。

低所得で働くことの意味

低所得で働くことが悪いと言っているのではありません。どんな仕事でも誰かの役に立っているし「働く」と行くこと自体が立派な社会活動です。どんな仕事でも学べることは大いにあります。たとえ最初に就職した企業が満足のいく給料を与えてくれなくても、選んだのは自分なのだから働く義務があります。
「こんなはずではなかった」という状況に陥ることもあるかもしれません。
その時は慎重に転職に踏み切るのも一つの選択だと思います。

栄養士として働き続けるべきなのか?

栄養士として働くことでのメリットは、栄養士のスキルを生かせる、資格手当がつくことなどです。
「栄養士として働くかどうか」は誰が決めることでもない自分で決めることであり「栄養士の資格を取っても栄養士として働かないこと」を非難する権利など誰にもありません。自分の気持ちが一番大切です。

「大切なのは栄養士として働く」という根底にある気持ちを大切に

「栄養士」という肩書は資格であり、手段に過ぎません。本当に大切なのは「どんな仕事を成し遂げるか」ではないでしょうか?例えば、「美味しい給食を提供することで、病院での患者さんの心を幸せにすること」かもしれませんし、「健康に導くこと」かもしれません。
もし、「少しでも待遇のいい職場で働くこと」しか考えなければ栄養士である必要はなくなります。
このような「仕事をする上での根底に持つ気持ち(志)」は栄養士を目指す段階で持つこともあるでしょう。「なぜ栄養士になろうとしたのか」という原点に帰ることはとても意味のあることだと思います。一方で、ただ何となくなってしまった人は、後付けでも持った方がいいと思います。
そして、その志は仕事を通し進化していくことでしょう。

「栄養士」は資格であり手段

「栄養士」として働くことに意味はあるのでしょうか?
前段でお伝えした「働く上での志」をしっかりと持つことができれは、栄養士は後付けでもいいと思いますし、必ずしも栄養士の求人である必要はないでしょう。
例えば、「子どもたちに食の大切さを伝えたい」という志を持つ人は保育園の栄養士、学校栄養教諭にならなくてはそれを成し遂げることができないか?というとそうでもなくて、子ども食堂を切り盛りしたり、絵本作家として絵本を描いたりすることもできるでしょう。
志を明確に持っていれば「栄養士」という求人にとらわれずそこから一歩飛び出して自己実現することができるかもしれません。
「栄養士として働くこと」は手段に過ぎません。その根底にある志を忘れないことが大切です。

「栄養士として転職し続ける」ひとのゴール

栄養士の仕事も給食、病院、学校、研究など多岐にわたります。「自分の根底に「働く上での志」が具体的にしっかりとあれば、それに必要なスキルを身に着けるために必要に応じて転職をすることでしょう。
「栄養士として働くこと」が目的になると、転職を繰り返して何となく栄養士のスキルを極めることで満足します。スキルを極めて新たなスキルを身に着けることは素晴らしいですが、それが目的になると、ゴールがどこなのか分からず何となく不安になることもあるでしょう。栄養士という肩書に頼って仕事をしているので栄養士でなければ自分のスキルを発揮できないという呪縛にとらわれているかもしれません。

志を持つことは簡単なことではない

とはいえ、そんなに簡単な事ではないと思います。かくいう私も志を明確に持てているわけではありません。
私が栄養士を志したきっかけは、自分が食事で悩んだ経験から「自分のような人が少しでも楽になって欲しい」という思いが根底にあったからでした。
栄養士になっていくつか転職しましたが初めはただただがむしゃらに業務をこなすのが精いっぱいでそんな事考える余裕などありませんでした。未だに満足な仕事が出来ているとはい言えません。最近やっとこんな風に自己分析できるようになり自分の志が明確になってきました。
その志ついてはまた別のノートに綴りたいと思います。

ここまで読んでくださった方、ありがとうございました。


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