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「嵐の前の静けさ。一番穏やかな時期だった」 関由佳さん

「みんなの35歳」という企画を思いついたときに真っ先に頭の中に浮かんだ顔が、今回取材にご協力いただいたライターで筆跡アナリストの関由佳さんでした。(企画趣旨はこちらから)
関さんは私の知り合いの中でも激動な人生を歩んでいる人。いつもドラマチックで、どんな出来事も最後は愛で包み込み笑顔にしてくれる、まるで山田洋次監督の映画を見ているような気分にさせてくれます。そんな彼女が35歳の時はどう過ごしていたのか。関さんが行ってみたかったという阿佐ヶ谷のフランス料理店「山猫軒」でランチをしながら話を聞きました。

フリーライターになって2年目。バリバリ働いていた時期

マギー:この度は私の思いつきな企画にご協力いただきありがとうございます!今日はよろしくお願いします。

関由佳さん(以下関さん):こちらこそお声掛けありがとうございます~!企画を聞いて、35歳の時を思い返していたら5年前ことでした。ちょうどマギーさんに出会ったのもそのくらいの時期。

マギー:え~!出会って5年経つんですね。その頃というと、関さんはライターとして活躍されてましたよね?

関さん:はい、独立してに1年弱くらい。すでにライター1本でお金に困らないくらい稼いでました。

マギー:1年弱ですごいですね!

関さん:いや、どんな仕事も受けてたんです。ギャラが安くても「今は修行の時期だから」と思ってやってみる。それで2年目に入るときに「年収を1年目の倍にする」という目標を立てました。
これを達成するにはどうすればいいか考えた結果、1記事3000円くらいの安価な仕事は断って、大体1時間5000円の計算で仕事を受けるようにギャラ交渉をしました。下請けという意識から、“自分の実力を買ってもらう”という対等に見てもらう意識に切り替えたんです。「自分のクオリティを上げる+単価を上げる」という戦略で1年間働きました。結果年収は倍以上になって、今でも2年目が一番稼ぎました。

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マギー:確かに、自分の価値を自分で設定するってフリーランスには大切ですよね。

関さん:はい。私に依頼するんだったらこのくらい出してくださいって強気で交渉してます(笑)。自ら自分の商品価値を下げるのを辞めたら、自然と自信もついたし、いいことだらけでした。

マギー:わかります。モチベ―ションも下がるしいいことないですよね。私も1記事1000円の仕事するなら寝てた方がマシです(笑)。売り込みや営業はしてたんですか?

関さん:営業は1度しかしたことないです。AVのシナリオを書きたくて制作会社に売り込みに行きました。前職が女性向けラブグッズの会社なので、女性目線の作品もあっていいんじゃないかとずっと思っていて。結局依頼は来なくてそれっきりなんですけど。
なので、仕事はほぼ人脈。今までの会社が円満退社だったので依頼側も知ってる人の方が仕事しやすいってのもあると思います。

誰のために何を書いていきたいか

関さん:筆跡アナリスト、カウンセラー、カラーセラピストの資格をとったのも35歳くらいのときでした。

マギー:どうして取ったんですか?

関さん:ライターとしての肩書が欲しかったんです。ネタ探しが大変だったのと、自分が有識者になった方が仕事しやすいのが理由。筆跡分析で初めてテレビに出たのが36歳だったので仕事も増えました。
フリーランスになった当初はエロ系のライターを目指していて、名刺に「セクシャルコンシェルジュ」って訳わかんない肩書つけてたんです(笑)。何屋かわかんないっていう(笑)。

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マギー:あはは!何モノか全然わかんない(笑)。

関さん:恋人や夫婦間の性の悩みを抱えている人が少しでもラクになってくれたらいいなという動機からなんですけど。すべての仕事にも言えるけど、私は自分の記事を読んだ女性に元気に前向きになるきっかけを与えないと意味がないと思って仕事してます。
ライターって、クライアントワークが得意でフラットに書ける人、自分の思想や主張を伝えたい人、読者の手助けしたい人の3路線あるのかな思ってるんです。私は完全に3番目の人。

マギー:あ~すごくわかります。私は1番目で、自分のことをわかりやすく言語化するツールと思ってます。だから関さんのこといつも立派だなって感じるんだな。
関さんって仕事に対してやさぐれたりしないですよね。「もう書きたくない!」って聞いたことない。その理由が“自分が、自分が”じゃなくて、常に人のためだからなんですね。

関さん:そうかも知れないですね。元々ドMってのもあるけど(笑)。

実体験を通して同じ境遇の人たちを癒したい

マギー:35歳の自分に伝えたいことがあるとしたら何を伝えますか?

関さん:やっぱり旦那のことですね。36歳の3月に旦那が脳梗塞になりました。調べると肺癌が原因だと発覚し、すでにステージ3。あの時調べていなかったらもっと早くに亡くなっていたのかもしれないので今思えば良かったのかな?それから旦那が亡くなる38歳までは仕事と旦那の看護に追われた日々。
なので私にとって35歳って嵐の前の静けさといったイメージかな。「旦那のお金だけで暮らしていけるじゃん!」って調子に乗ってたし、月に3回旅行行って遊びまくってました。翌年から3年間全く遊べなくなるので、その時期に遊んでいてよかったなと思います。

画像4旦那さんの遺骨が入ったメモリアルリング

関さん:女子SPA!で旦那との看護生活から亡くなるまでの話を連載していますが(記事はコチラ)、コメント欄に「自分のことを言っているようで驚きました。誰にも話せなかったのでラクになりました」と書き込まれていて、その時に「やっていて良かったな~」としみじみ思いました。
旦那の看護をしていて一番辛かったのは、誰にも相談ができなかったこと。家族が癌になって死に近づいていくのを間近で見ている人の気持ちを本当に理解できるのは、やっぱり経験者しかいないんです。私は、自分の体験を書くことで今辛い思いをしている人の気持ちに寄り添えたら嬉しいし、自分が癒えることに繋がります。旦那は大切なものを私に残してくれたなと感謝しています。

マギー:ただでさえ辛い出来事なのに悲しむだけではなくて、誰かを救えればと思って伝える選択をした関さんの強さと優しさはいつも尊敬しています。ほんとに面倒見がいいですよね。こんな優しい人に会ったことないです。

関さん:以前、知り合いに「面倒見の鬼」って言われたことあります(笑)。今やりたいことは、病気で配偶者と死別した方に対してのグリーフケアをしていきたいなと考えて勉強しています。

マギー:関さんと話すだけいつも元気をもらうので、勇気づけられる人はたくさんいると思います。これからも関さんの人生を追っていくつもりなのでよろしくお願いします!

関さん:はい。令和の瀬戸内寂聴を目指して頑張ります(笑)!

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終始笑顔で(時には爆笑しながら)自身の35歳を話してくれた関さん。ヘビーな話題も、関さんにかかれば全然ジメっとしない。いつも不思議だったんですが、今回の取材を通してそれは関さんが生きながらにして自分の人生を世に説いていく宿命なのかな、と思いました。

【今回お話しを聞いた人】

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関 由佳さん 
ライター・筆跡アナリスト・カラーセラピスト・心理カウンセラー。芸能人の筆跡分析のコラムを執筆し、『村上マヨネーズのツッコませて頂きます!』(関西テレビ)などのテレビ出演も。夫との死別経験から、現在グリーフ専門士の資格を習得中。
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