"頂で使用する全ての電気をバイオディーゼル(BDF)でまかなう〜BDF100%を実現した石田さんと頂の出会い〜"
「9社目でやっと話ができました。」
2009年春 日本平ホテルのラウンジで初めて打合せたBOSSの一言でした。
2008年に初回を開催し、よりメイドイン静岡を目指すために、発電機もバイオディーゼルも県内で調達したいと言う思いから、県内レンタル会社へ相談を持ちかけた最後の会社がAKTIOだった。
当時はまだ、バイオディーゼル燃料の認識も浅く、エンジンメーカーも、軽油使用で設計製造しているので、バイオディーゼル燃料を使用した場合はどんな問題、故障が起こるかわからないので全て自己責任でお願いします。との回答しかいただけない状態でした。そのためレンタル会社ではバイオディーゼルを100%使用で使いたいとの依頼に拒否をせざるを得ない環境でした。
バイオディーゼル(BDF)を100%使用した発電機で頂で使用する全ての電気を賄いたい。ステージ音響、照明、装飾デザイン、出展ブース、・・・
静岡から未来の環境を守る声を上げる野外フェスだから。
コンセプト、心意気はBOSSの声、眼光から十分に理解できました。
発電機をこの期間だけ運転させる方法を準備したらできるんじゃないか?元の軽油の仕様に復旧したら問題ないのでは??
仕事と言うより自分の気持ちで参加したいという想いのほうが勝った感じでした。
でも、でも
軽油仕様のエンジン発電機で大丈夫??
過去、BDF使用で発電機を運転して給電の経験はありましたが、トラブルが無かったとは言えませんでした。 燃料が詰まってエンジンが止まる。マフラーから火の粉が出るなどなど・・・。
数千人のオーディエンスの盛上がりの中、発電機が止まってしまったら、会場は真っ暗、アーティストの声が届かない、ステージスタッフの混乱、怒りの矛先が僕らに向かってきたら・・・など考えたくないシチュエーションも想像しただけで背筋が寒くなる思いを感じました。
じゃ、どうしたらいいの? 何を準備して、どう動いたらいいの?
BDFについて供給者との打合せ確認をして特性を調べ、機械は燃料系を中心としたメンテナンス、発電能力の確認試験を負荷試験機にかけ1台1台全て行い、万全を期して用意周到な準備。
当日は協力者、来場の方からいただいた食用廃油、てんぷら油の量だけで発電させるコンセプトから、使う量も無駄にできないので、予定の終わった発電機から燃料を抜いて必要な発電機に給油して回る。
トイレなどの充電電池も事前にBDF発電機から充電しなければ意に反すると念を入れての準備。
手探りで挑んだ頂2009は、おおとりのエキサイティングなステージで予想以上の電気要求から発電機が容量オーバー気味になった時は生きた心地がしなかった事が忘れられません。。
そこから、回を重ねるごとに、より安定した状態を模索して、毎年このときに集まる会場設営、PA、照明のスタッフから「今年もよろしくね。。」って再会を笑顔で握手しながら、ついに10回目が迎えられる様になりました。(編集注:執筆当時)
2009年から参加して、日本平から、吉田公園へ会場が変り、知名度が上がって来場者も年々増えてスタッフも大勢かかわるようになってきても、僕らは変らず安定的に電気を送り、当然の様にステージを作り上げるアーティスト、スタッフにスピーカーからいい音を奏で、スポットライトを照らしてもらう。
飲食のお店ではおいしい食べ物を提供してもらう。各ブースでは楽しい催し物を体験してもらう。そしてみんながハッピーに…。
そんな笑顔のために今年も僕らは電気を送っていきます。
普段の生活では当たり前の様にスイッチを入れたら電気がつき
スピーカーから音楽が聞ける。何不自由ない生活も屋外ではそんな訳には行かない。
電気のありがたさ、それを生む燃料の事、当然CO2もたくさん吐き出してる。今一度こんな環境を考えてみよう…。
キャンドルの炎を見ながらみんなで。
化石燃料を使わないで、美味しくいただいた揚げ物のてんぷら油にもう一度活躍してもらい今度はエネルギーとして…。