Itaya Mitsuru

高齢者の仲間入りした元役人です。少しずつ、経験の中で感じたことを綴っていきます。よろし…

Itaya Mitsuru

高齢者の仲間入りした元役人です。少しずつ、経験の中で感じたことを綴っていきます。よろしく。

最近の記事

仮釈放について思う

 日本の刑罰は、罰金のほか懲役又は禁錮刑(「拘禁刑」に一本化される。)という身体の拘束によって自由を奪う自由刑を原則(死刑は別途)としていて、刑期を定めない無期刑と、1か月以上20年以下の期間を定める有期刑(併合罪の場合最長30年)があります。裁判を経て、この刑の重さ(期間の長さ)が言い渡され、確定すれば刑事施設に収容されて刑が執行されます。受刑者は、満期釈放(刑期満了による釈放)、仮釈放、一部執行猶予の実刑期間の終了などによって身体の拘束が解かれ、社会に復帰することになりま

    • 自傷行為について

       少年院に送致された子どもの身上調査書を読むと、よく「根性焼き」とか「リストカット」が何か所あるといった記載を見かけます。これは「自傷行為」と呼ばれる、自殺を目的としない自身の健康を害する行為の一つです。  少し古いですが国立精神・神経センターの調査では、一般の中・高生で自傷行為経験者は9.9%であったところ、少年鑑別所及び少年院(少年施設)の入所者では21.1%になり、そのうち女性はなんと54.8%に上っていたのです。つまり非行のある少年たちは、いわば自傷行為のハイリスクグ

      • 更生保護における「見守り」を巡って

         対人援助や教育の現場において、その対象者、利用者に対する関わり方として「見守る」という概念が「寄り添い」などとともに重要な位置を占めています。「子どもの成長を見守る」「地域で高齢者を見守る」などと使われますが、この対人関係における「見守る」という言葉には、間違いや事故がないように注意して、事の成り行きを注視する、注意深く見るといった意味があります。すなわち、その対象となる人から少し距離をおいて注意を払うことを意味し、さらに対象に対する「心配」や「気遣い」の気持ちが含まれてい

        • 無期刑という刑罰

           昨年(令和元年)末、控訴審で死刑判決が無期懲役に減軽されたことが話題になりました。また、死刑廃止の議論でも、死刑に代わって無期刑の終身刑化といったことが取り上げられたりします。  無期刑というのは、字義通りに読めば、期間の定めがない自由刑(自由を制限する刑)であり、人の生命を奪うような重大犯罪を犯した者に科される刑罰です。  よく、「日本の無期刑は、終身刑と異なり、一生刑務所ではなく、仮出所してくるのが通例」と言われます。平成30年末で無期刑受刑者は1789人でした。14年

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