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2020みちのく旅行記3

グーグルマップ先生に尋ねてみると、宿までの所要時間は約九時間。宿へ行く前に二つ寄りたいところがあったので、午後三時から四時頃に宿につこうと思って逆算していくと…家を出なきゃいけないのは深夜十二時だということが判明した。
ほぼ車中一泊である。

全ての用事を段取りよく済ませ、早めに就寝し、十二時に起きて出発。現地は雪という情報もあったので、極寒→普通寒→小寒の全てに対応出来るような用意をした。
ここが車旅のいいところで、こんなに持てないから荷物の量を減らさなきゃとか考えなくてもいいのだ。

今回は三泊だったので、三泊分の衣類をそれぞれパッキングし、一泊ごとにそれだけ旅館に持ち込むスタイルにした。その日使わない衣類をわざわざ持ち運ぶ必要はない。
更に軽量化策としてイケアのショッピングバッグを利用。これならいざという時でも心置きなく処分出来る。

帰りは日本海側を抜けて来る予定なので、往路は福島を抜けて山形へ入るルートを選んだ。我が家からは東名→中央道→関越道とかその辺りから→東北道へ向かう感じだ。

クマと交替で運転し、まずは有名な山寺を目指す。
そう。
松尾芭蕉が有名なあの句

閑かさや岩にしみ入る蝉の声

を詠んだ場所である。

深夜の中央道はトラックが多い。とにかくトラックだらけだ。中央道は高低差とカーブが多いので慣れていないとかなり走りにくい。
そこに大型トラックが大量にいるわけだが、運転のプロばかりなので流れはスムースだった。大きな動物が集団で移動してるみたいだ。変則的な動きをする車が多い昼間よりも実は走りやすいのかもしれない。

標高が高いところにある道路を走ると月が近くに見える。普段全くの平地に住んでいるから常に高くにある月がすごく近くて不思議だった。月が見える間、ずっと追いかけていた。

長野を抜け、関東圏に入ると、SAやPAは何処もトラックでいっぱいだった。明け方も近くなっていたので、時間を調節して、目的地へ向かって動き出すのだろうと思われた。
大変なことも多いだろうけど、自分には向いてるに違いないから、やってみたかったとクマがぽつりと言った。

東北道に入ると時間帯もあるのかトラックの姿は消えた(深夜帯の割引とかも関係してるんだと思う)。今回、福島は通り過ぎるだけなので、途中SAに寄って福島でしか買えないものを買い込む。ままどおるとかイカにんじんとか。
長い福島を抜けて山形へ入ると明るくなって来たのもあって、山が色づいているのが分かり始めた。でも曇り空で雨が降っていたので紅葉を満喫出来たというほどでもなかった。

雨は次第に霙になり、蔵王の近くを通りかかる頃には雪に。山形では十一月上旬でも降雪の可能性があると聞いていたので、スタッドレスにしていたからさほど慌てずひたすら山寺を目指す。
グーグル先生の予測通り、おおよそ九時間で到着した。

駐車場近くの登山口から階段を上がり、根本中堂や山門なんかを経て、奥の院まで。石段は全部で1015段あったらしい。

あちこち拝観している私がもっともきつかったのは金比羅山だ。気温や疲労度、人の多さも影響してるかもしれないが、きつかった記憶しかない。

山寺はそれに比べると全然大丈夫だった。寒いくらいの気温だったせいもあるかと思う(私は寒いほど元気になる)。さくさく登り奥の院を参拝して、五大堂の方も巡って、曇り空ながらも秋の山々を満喫した。


山形は山の形が可愛かった。ぽこぽこしてて、まんが日本昔話を思い出した。私にとって山と言えば、岐阜や長野のたっかい山が標準だからなのだというのは、帰り道で風景がどんどん変わっていくのを見ていて気付いた。

この頃は感染者数が落ち着いていたせいもあって、観光バスも来ていた。下り際にツアーの方を大勢見かけたが、ご老人が多く、大変なようだった。
ぜいぜい喘ぐおじいさんおばあさんにあとどれくらいあるのか聞かれ、山慣れしたクマが「すぐですよ」と気軽に答えるので「お前基準で答えるな」と叱った。
引き返して行かれる方も見かけたので、たぶん、ある程度若い時に行った方がいい場所なのかもしれない…。

参拝を終えると、折角だから芋煮を食べて行こうという話になった。人生初、ご当地で食べる本物の芋煮である。
何気なく入った、山門前の店で食べたこの芋煮が、一番美味かった。近所にあったら通うレベルに美味かった。
菊の花のおひたしみたいなのも美味しくて玉こんにゃくも最高で、何これ、山形めちゃめちゃご飯美味しくない?となったのだった。

山寺をあとにし、次に向かったのはニッカウヰスキー仙台工場宮城峡蒸留所である。

ここはクマが行きたいというので事前に予約していた。山寺からは車で一時間ほど。位置関係がよく分かっていなかったが、ここは宮城県仙台市なのだそうだ。意外に近いんですね。
初宮城、初仙台であるが、山の中だったし、仙台の気配は全くしなかった。

以前、白州の工場近くを通りかかりちょっと寄って行こうぜくらいの気分で行ったら、予約しないと見学出来なかったので、学習したクマは予約したらしいが、コロナであるから、やはり空いていた。

予定よりも早く着いたが、前の枠に入れて貰えて、ソーシャルディスタンスで見学。大変空気が綺麗で澄んでいて、お勧めである。
ウイスキーが好きなクマはご機嫌で試飲し、お土産を買い込み、有料試飲もしていて楽しそうであった。ウイスキー好きな方は楽しめると思う。

クマは飲んでしまったので私の運転で銀山温泉へ。何となくとった宿だったがグーグルマップのクチコミで散々に書かれているのを見てしまい、如何なものか…と心配していた。
結果的に私には全く問題なく、何よりお風呂が素晴らしく、ご飯もお酒も美味しかった。
接客面でマイナスな批評をされている理由は何となく分かったけど、あんなものではないかと思うのだ。クチコミには少なからずこういうことがあり、マイナスとプラスの評価が混在している場合、大抵マイナスじゃないことが多いように思う(マイナスばかりだと、さすがに何かあるんだろうけど)。


温泉街としては本当に小さくて(有名なあの写真の、本当にあの一角だけしかない)建築物はそろそろ全部新しくなってしまうんだろうなという感じがしたけど、とにかくお湯がよかったのでまた行きたい。けど、気軽に行ける距離ではないなあ。

つづく。

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