見出し画像

2020みちのく旅行記4

二日目。

銀山温泉の旅館でローカルニュースの天気予報を見ていたら濃霧予報というのがあった。中部地方では見かけない予報である。
こんな予報が出るほど濃霧が出るのかなと不思議に思いつつ、宿を出たが、前日の曇り空が嘘のように晴れていて、真っ青な空に心踊った。
こんなに天気がよかったら紅葉も楽しめるねとうきうきしながら車を走らせて間もなく、あっという間に前が見えなくなった。
マジ濃霧。そりゃ予報もいるわなという濃霧ぶりであった。

(先が見えない…)

そんな濃霧を抜け、羽黒山を目指す。出羽三山巡りもしてみたかったのだが、さすがに時間がないので、有名な羽黒山の五重塔だけ見に行くという計画を立てていた。

こんなところによく建てたなあ、よく今までもあるもんだなあと感心しつつ、やはりここまで来たのだから登りたいと思ったものの、その日のメインは加茂水族館であったので諦めた。途中修学旅行生と一緒になり、さくさく登って行く若者をうらやましいく眺めていた。

しかし、後で調べてみて諦めて正解だった。
神社の石段数としては2446段の羽黒山が一位らしい。私がひーひー言った金比羅山は1368段で二位。ちなみに三位は京都の伏見稲荷ですって。なるほど。

元気な内にリベンジするぜ出羽三山…と再訪を誓い、鶴岡市の加茂水族館へ。

くらげの水族館として有名なここには、以前クマが訪れていて、とてもよかったと話していたので、是非一度行ってみたいと思っていたのだ。
規模的には小さいと聞いていた通り、海際にある建物はこぢんまりとしたもので、立地的にも混み合う時期には駐車場だけでなく道も混むのだろうと思われた。


魚もアシカやアザラシもいるけど、やっぱりメインはクラゲだ。とにかくクラゲだ。


水槽にへばりつくようにして、これ以上ないくらい多種類のクラゲを一度に見られて大満足。
本当に素晴らしい。観光客を誘致するという意味でも、このように特化した水族館というのは成功していると思う。
クラゲが見たい方は是非。


ついでにクラゲラーメンやクラゲソフトを食して、敷地の隣にあった灯台にも登り、日本海を満喫。朝の濃霧が嘘のように(海沿いに出たせいもあろうが)晴れていて、日本海なのに真っ青だった。


日本海は年始に訪れることが多く、常に演歌の舞台のように大荒れであるから、青いのが不思議なくらい。雪が降る頃の日本海って本当に寂しくて厳しいイメージなのだ。

水族館を出るとそんな青い日本海を眺めながら海沿いを延々新潟へ向けて移動。
途中、塩を作っている小屋を幾つか見かけ、冬には大荒れになるだろうこんな寂しげな場所で塩が作られることになった歴史を妄想してクマに聞かせる。

(藩主に言いつけられた家臣が一族郎党引き連れ移住して作り始めたに違いない。塩は年貢として幕府に収めたのだ…というような。この手の作り話は山深い場所だと平家の落ち武者パターンになる。たくさんお話してあげるのにクマはいつも聞いていない。飽きたのだろう)


新潟へ入ると内陸の高速道路へ入り、南下。新潟は長い。上越中越下越と地域分けされているが、これだけ走ったんだからいい加減中越なんじゃないかと思っても、まだ上越だ。長いよ上越。

三日目に泊まりたい宿があったので、それと銀山温泉の中間くらいというアバウトな選び方をした月岡温泉の旅館が、想定外に豪華でびっくりした。
宿を選択する際、野生の勘は働かせるが、決めた後は余計なリサーチはしないようにしている。でないと後悔ばかりで楽しめなくなる。

前日とは打って変わった大型旅館で、本来は観光バスががーんと乗り付けて、どやどやと宿泊客が来て、結婚式なんかも出来ちゃうような大箱なのだが、コロナ禍にあたり、個人客ばかりだったがGOTO利用の高齢者グループ客も多かった。
お風呂は至れり尽くせりの大浴場。ご飯も美味しくて全部食べられないくらいの量で、働いてるのは若者が多かった。皆、さくさく働いている。

インバウンドを見越して観光業界が多く雇った若者たちが春からの自粛で満足に働けずにいたのがGOTOでようやく仕事出来るようになった…という感じなのかなと思うと、切なくなったのだった。

(つづく)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?