ひとり合唱がすき

私は歌が好きだ。

実際の歌唱力はヘタウマくらいなもんだろうけど、それでも好きだ。

歌ってみたに興味があった。歌ってみたい曲があった。

だから、iPhoneで作ってみた。

この曲は私がどハマりしたゲーム『NEEDY GIRL OVERDOSE』の主題歌で、かわいくて、激しくて、毒で、私のやりたいことに合致していた。ゲームのヒロインはインターネットエンジェルで、私は自称悪魔の子っていう違いはあったけど。

無名の役者が「全部わし」で作った低クオリティ動画はありがたくも100回再生を超えたが、有名な歌い手さんやらVtuberに埋もれてかわいそうになってきた。気が向いたら再生回数を増やしてあげてほしい。

そんな訳で「全部わし」の歌ってみた動画を作ったのだが、作っている間に高揚感を覚える瞬間があった。

主旋律以外のパートを録っているときだ。

無理矢理耳コピしたハモリを何重にも重ねてみる。自分で聞いていても気持ちの良い音が生まれる。自ら音を重ねる楽しさを知った。


その少し前、推しがユニットの楽曲をソロで歌ってみた動画を出した。

讃美歌のごとく低い声を重ねたコーラスは、自ら50トラック以上歌ったものだという。

一人で歌っているのに、6人で歌っているものよりずっと音の圧が感じられ、世界に飲み込まれるようだった。



そもそも私は合唱が好きで、その中のほんの一欠片にしかなれず、頑張れば頑張るほど馴染めなくなっていくのが悔しかった。

それを一人で、無料でも作ることができると知ったら、試してみるしかなかった。推しを模範にやってみるしかなかった。


楽しくも、完全なものはなかなか作れず試行錯誤していた。

そして引越しの時期が来て、慌しくなり、それが終われば鬱が悪化して、声を重ねることを忘れていた。



夜寝て昼間は起きている、そんな当たり前の生活すらままならない中、深夜のLINEでノリで子守唄のボイスメッセージを送った。本当は爆音合唱バージョン送りつけたいんだけどね、なんて言葉を添えて。

なぜかものすごく喜ばれた。

その次の日も「聴きながら寝る」なんて言われた。

私の歌声の需要、あったんだ。



明け方、私は子守唄を歌い出す。

爆音じゃないけど、上手くもないけど、綺麗めな声に地声や少しふざけた声もしれっと重ねて味わいを出して、即席のハモリも重ねて、子守唄としてなんとか成立するクオリティに作った。


本当に需要はあるのか。

【募金箱】病人ですが演劇も被写体もこれからやっていきたいです。サポートしてくれたらもっと色々できちゃうかもしれないので、興味があれば是非。