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記憶の摩滅

行岡病院の近くでキョウチクトウを見るとよく母が引き合いに出していた句があったのだが、思い出せない。

いつまでも咲いている夾竹桃の馬鹿   時実新子

時実新子な気がすると言うと父が教えてくれた、これの可能性はかなり高い。
特に「キョウチクトウのバカ」の部分はかなりイメージと近い。
そこに住んでた時期の会話として相当あり得る。
でもなんか違う気もする。

なんかこう、「あれって何の植物?」「キョウチクトウじゃね、知らんけど」みたいな感じの句だった気がしている。
ただ、それに近い会話をした流れで母がその句を口にしたので私の脳内にイメージが根づいただけかもしれない。

母の句ではないと思う。日常生活に持ち出したことはほぼなかった。まあ、だから俳句ではない気がする。
ひとの俳句や川柳や短歌を私に言うのも母には珍しかったと思う。だからキョウチクトウのことだけ妙に印象が強い。
(そんで、あえて母が私に向かって口にするとすれば時実新子だったろうなあ、と思う……)

こういうことを書いてしまうと、本当のこと?はもう思い出せなくなりそう。
あの道とキョウチクトウとそこを歩くわれわれという景色の中にしかない句なんだろう。と納得しておく。

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