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『正欲』

あってはならない感情なんて、この世にない。
それはつまり、いてはいけない人間なんて、この世にいないということだ。

息子が不登校になった検事・啓喜。
初めての恋に気づいた女子大生・八重子。
ひとつの秘密を抱える契約社員・夏月。
ある人物の事故死をきっかけに、それぞれの人生が重なり合う。

しかしその繋がりは、"多様性を尊重する時代"にとって、ひどく不都合なものだった――。

「自分が想像できる"多様性"だけ礼賛して、秩序整えた気になって、そりゃ気持ちいいよな」

朝井リョウ『正欲』あらすじ

自分とは異なる他者を認めることを正しいとする「多様性」という概念、またその広がりに対してなんとなく抱いていた気持ち悪さのようなものが、しっかりと形を持ったような感覚になった。

皆「自分は変じゃない」ということを確かめ合いながら生きている。その中で「異物」に出会った時、自分達マジョリティにとって受け入れ可能であった場合のみ【認める】ことを行う。

私も大也と同じく八重子に対し「なんで自分が認める側だと思っているんだ」と感じた。それと同時に、私も自分自身を認める側だと考えているのではないかとハッとした。

こんなことはこの本を読んで感じた感情のほんの一部だけど、今日はここまで。

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