TPS(トヨタ生産方式)はデジタルで進化する

 旭鉄工はもともとトヨタ生産方式(以下TPS)に則った改善を行っていました。私も3年間だけですがトヨタ生産調査部というTPSの総本山とでもいうべきところに所属してました。なので、今でもTPSに則った考え方であることには変わりありません。


 IoTでデータが自動で収集されることで変わったのは改善の着眼点です。生産調査部主幹時代、製造現場に行くと目につくのは「仕掛けの仕組み」「かんばんの回し方」「在庫の持ち方」「帳票の記入状況」「動作のムダ」などでした。それらが大事なのはもちろんですが、改善するのは一定の知識が必要です。今、旭鉄工ではiXacsで生産個数、稼働時間、CT(サイクルタイム)などが自動で収集されます。そうすると目で見ただけではわからない問題点、詳細な停止の状況やCTのばらつきなどが労せずしてわかります。現場の従業員にとっては仕掛けの仕組みを直すよりも停止を減らすとかCTを短縮する方が簡単です。また、なにかしら改善を行った結果もデジタルで簡単に確認できます。そうなると、問題をデジタルで見つけた従業員はそれを直そうとするようになるんです。その改善の内容自体はデジタルを使わず従来の方法と何も変わりません。ですがそのスピードと量が段違いになる、それがデジタルの力でありいわばTPSの進化、です。


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