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強豪校はつらいよ【去りゆくエリートたち】

スポーツ強豪校には、中学生時代に全国大会で華々しい成績を収めたエリートたちが集まって来る。
僕が所属していたY高校柔道部も、全国大会で活躍していた猛者たちが毎年20人弱入学してくる。
しかし、3年の引退まで残っているのは10人もいない。
つまり半数以上の部員は、途中でリタイヤしてしまうのだ。
リタイヤの理由は2つしかない。
きつい練習に耐えられないか、先輩のしごきに耐えられないかのどちらかだ。
そして辞めていく者たちの大半は、1年生の夏から秋にかけて去っていく。
強豪校に入学してくるような子たちは、小学校低学年くらいから強い道場に通い始めて、中学校の部活ではかなりハードな練習をしてきている。
そうでないと全国大会で結果を出すことは出来ない。
そんな子たちでも、強豪校の練習や上下関係に耐えきれず辞めてしまうのだ。
そのくらい中学と高校では練習量や上下関係は、次元が違う。
中学までは敵なしだった猛者たちも、上級生が相手だと全く歯が立たない。
立ち技だろうが寝技だろうが1年生はおもちゃのように遊ばれる。
練習で足腰が立たなくなるほどしごかれても、練習が終われば先輩の身の回りのことをしないといけない。
食事の時には配膳をして、食事が終われば洗濯物をする。
お風呂に入れば先輩の背中を流し、先輩が眠るときにはマッサージをする。
もちろんミスをすれば先輩から容赦なく殴られるので、手は抜けない。
そんな毎日を過ごして耐えられなくなった者は夜中に脱走して、部活を辞めて一般性になるか学校を辞めるかだ。
僕も練習がきつすぎて脱走したことがある。
それでも最後まで続けたのは、親孝行がしたかったからだ。

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