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【投資】「地面師たち」(新庄耕、集英社文庫)から学べる投資の教訓

株価は今朝(2024年8月2日)も大幅下落。こういう時こそ冷静に、そして常日頃言ってますが"退場しない"という意思が必要です。ちなみに当方保有の銘柄は本日全ての銘柄がマイナス。それはそれで珍しい日となってます。と平静を装ってますが、心では泣いてます(笑)

さて、いまNetflixで話題の「地面師たち」。当方はNetflixを見ないのでその原作を読みました。2017年の積水ハウス地面師詐欺事件をモデルにした小説。当時ちょうど不動産投資を始めた頃であり、「そんな大企業でもひっかかるの?」という驚き、そして物件を探してくれていた不動産仲介業者と、「買い手としてどう防ぐのか?」なんて話をよくしていました。

小説・エンタメですので純粋に楽しめばいいだけですが、それでも不動産取引・不動産投資だけでなく、投資全般に当てはまる教訓がありました。

「地面師たち」から学べる教訓

まあ"教訓"というほどの大層な話ではないのかもしれませんが、不動産であれ株・会社であれ、1)買う際には相手をよく知ること、2)「ここだけの話」「あなただけに」という話は無いこと、そして3)焦って買わないこと。これだけではないと思いますが、まずはこの3点、重要だなと改めて思いました。

買う際は相手をよく知ること

地面師というのは、本人確認用書類を偽装し、売り手になりすまして買い手を騙す詐欺師です。書類上のやり取りだけでは素人は彼らが詐欺師なんて見抜けるわけありません。追加で近隣の人たちに確認をとったり等、追加の手間を惜しまず、売り手がその本人か慎重に見極めることが重要です。実際の事件でも、この「知人による確認」を怠っていたようです。

株式投資についても同様。投資先の企業の内容をよく知ることは非常に重要です。もちろん限度はありますが、企業HPや財務諸表等、PCのデスクトップで調べられる情報だけでなく、実際にオフィスや店舗を見に行くといったことも有効です。個人投資家は、なかなか投資前には経営者に面談できるわけではありませんが、株主になった後は株主総会に参加し、実際の経営陣の雰囲気を肌で感じることも大事です。

短期的な相場の上下をとりに行くだけならそこまでしなくてもOKですが、長期でがっつり個別株に投資をするのであれば、それくらい相手を理解したうで(もちろん限界もありますが)投資をできればと思います。

「ここだけの話」「あなただけに」という話は無いこと

積水ハウスの事例では、同社の担当次長の知り合いから地面師を紹介されてしまったのが入り口のようです。どの証券会社でも同じ会社の株が買える株式投資と違い、不動産売買は相対取引、一期一会の取引です。いい物件が売りに出されるとあれば、ライバルに先んじて購入しなければならないという情報戦です。その結果、どうしても「ここだけの話」「おたくだけに…」みたいな展開も出てきます。

一方、株式投資のほうではほとんどこの「ここだけの話」というのは起きませんし、基本それは起きてはいけません。なのに、ほとんどの投資詐欺はこの「ここだけの話」「おたくだけに…」というのに騙されて起きています。

株式投資であろうと不動産投資であろうと、「ここだけの話」「あなただけに」という美味しい話は絶対に無い、と思って望むことが大事です。

焦って買わないこと

「急いては事を仕損じる」という諺があります。物事は慌てて行うと、かえって失敗することが多い、急ぐときほど冷静沈着に行動せよ、という教訓です。

積水ハウスの実例では、社長トップダウンで推進していたため「社長案件」としてあるべきプロセスを経なかったようですが、小説のほうは次期社長を狙う担当役員が功を焦って案件を進めたのが失敗でした。

基本、同じような物件は2度と出ない不動産取引においては、「この機会を逃すと次に同じ物件が出るとは限らない」という状態になります。投資のための不動産売買のみならず、自宅(戸建・マンション)を購入する際もそうです。なので、「焦って買うな」というアドバイスは必ずしも適切でない場合もあります。どこかでは決めないといけませんので。

一方で、値段は変わるとはいえ。株式投資はいつでもその銘柄を売買することができます。まったく焦る必要はありません。何かに追われるような気分で株を買うような感じであれば、いったん手を止めて冷静になる必要があります。

投資詐欺だと、「今決めないと」と急かされることが多いのではと思います。早い決断を迫られるような時こそむしろ冷静になり、時間をかける。時間をかけたことによりその機会が失われてもむしろOKくらいの気持ちの余裕が必要ですかね。

まあとはいえ、純粋に楽しめる、面白い小説でした。

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