英国紳士のカジュアル靴 〝ホワイトバックス〟
毎年夏が近づくと、Shoes Boxから出してきて履く靴があります。
それは、『白い靴』。
とりわけ僕が好きな靴は、ホワイトバックス(White Bucks)です。
というわけで、
今回はBrooks Brothers(ブルックスブラザーズ)の『ホワイトバックス』を紹介しつつ、その『ホワイトバックス』が持つ独特の魅力や、その起源などについて触れていきたいと思っています。
では第5弾となります、〝一生モノの靴〟はコチラです。
【Brooks Brothers ホワイトバックス MADE IN U.S.A.】
現在、「ホワイトバックス」といえば、真っ先に名前が挙がるのが、『WALK OVER(ウォークオーバー)』というアメリカのシューメーカーでしょう。
今回紹介している靴もBrooks Brothersのモノですが、Venderはおそらく『WALK OVER』です。(確証はありませんが…)
年代は、90年代〜00年代のものだと思われます。(アメリカのWALK OVER社が消滅する以前のもの)
Brooks Brothersのホワイトバックスは現在、アメリカ製ではありませんので、同じモノはもう手に入りません。
そう言った意味でも、非常に貴重な靴ですから、〝一生モノ〟として大切に手入れしながら履いているという訳です。
さて、この『ホワイトバックス』シューズの大きな特徴は2つ。
●バックス(Bucks)という素材
●アンツーカーソール
まず1つ目の『バックス』とはなんぞや?と言う疑問について。
本来なら『バックス』とはBucks(=Buck Skin)のことなのです。
その名の通り、牡鹿の革の表面を削って起毛させたモノを指してそう呼ばれます。
しかし現在では、そのほとんどがカーフ(牛革)のスエードで代用されているので、実際のところ『Buck Skin』ではありません。
ちなみに、カーフをBuck Skin風に仕上げた革が『ヌバック』です。
つまり…『バックス』とは、元々の素材の名残りなんですね。
今回紹介しているBrooks Brothersのホワイトバックスも、カーフスエードです。
そして2つ目の、〝アンツーカーソール〟がこの靴の最大の特徴です。
…と、その前に、『ホワイトバックス』の歴史について少し触れておきます。
元々この『ホワイトバックス』というのは、19世紀後半にイギリスのオックスフォード大学の学生達が、スポーツ観戦の際に履いていた白い短靴に起源を持ちます。
この頃は、「オクソニアン・バックス」と呼ばれていました。
それが間もなくして、上流紳士の船遊びや海兵用のスポーツシューズとして広まっていきました。
さらにそれが、海の向こうのアメリカに渡り 1920年代には、洒落者達のリゾートスタイルの足元に採用され、1950年頃までには、アイビーリーガー達にも広がっていきます。
日本でも1980年代後半から1990年代にかけて、春夏の定番シューズとして認知され、現在に至ります。
…と言うことで、
『ホワイトバックス』は元々、英国紳士がスポーツ観戦をする際などに履いた「カジュアル靴」だったと言うことを踏まえて、話を元に戻します。
『アンツーカーソール』…それがこちら、
別名ブリック(赤煉瓦)ソールとも呼ばれていますが、ここでは〝アンツーカーソール 〟と呼びます。
このソールは、もう皆さんお察しの通り、〝紳士のスポーツ〟である、テニスと深い関わりがあるとの説が有力です。
かつて、テニスコートの多くがクレイコートの一種であるアンツーカーコート(赤煉瓦などを粉砕して造られた赤褐色の土のコート)でした。
また、さらに当時は観客席にもこの赤土が敷いてあったそうです…。
これではプレイヤーや観客の靴底が著しく汚れるということで作られたのが、アンツーカーコートと同色のこのソールだったという事らしいんです。
しかし、しかしですよ…
そもそもアッパーが〝まっ白〟なんだから、「汚れてなんぼ」なのでは?と僕なんかは思ってしまうわけです…(笑)
あくまで『汚れても良い靴』としての位置づけであった…つまり、使い捨て感覚だったのでは? と勘ぐりたくなりませんか?実に贅沢です。
それとも、「そもそも、品格ある英国紳士たる者、ちょっと赤土の上でスポーツ観戦したぐらいでは靴は汚れたりしない。」と言うことなのでしょうかね。
まあ、そんなことはさておき…
このホワイトバックスは夏のカジュアルスタイルに取り入れると本当にカッコいいんです。
個人的には、やっぱりこんな感じで合わせて欲しいなあ〜って思うんですが…
ん〜、、、やっぱりちょっとハードルが高すぎる感が否めないので、難しく考えずカジュアルに、ショーツスタイルの足元にでもササっと合わせてください。
どうせ元々、〝英国紳士〟のカジュアル靴なんですから…(笑)
どうせ〝使い捨て〟の〝汚れても良い〟靴なんですから…(笑)
参考文献
The Ivy Look: Classic American Clothing - An Illustrated Pocket Guide
Preppy: Cultivating Ivy Style
靴を読む (本格靴をめぐる36のトリビア)
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