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大きく揺れ動く今だから考える、移住を通じた「あたらしい生き方」。夫婦による「オンライン移住相談会」やってみた

長野県根羽村の村民、マギー(杉山泰彦)です。

2018年末に夫婦で人口900人の根羽村に移住し、持続的な村づくりに挑戦中。昨年には子供も生まれ、村での子育てにも奮闘中。今年は畑と渓流釣りもはじめました。

さて、移住2年目の村の仕事では、もっとやりたいことにチャレンジしようとおもっていました。(移住1年間の感想記事はこちら

夫婦で運営している一棟貸し古民家「まつや邸」。日々の日常から解放し、本質の自分、ありのままの自分に立ちかえれる時間を提供しようと計画をしていました。

また、村の事業として進めていたのが自然×教育事業。92%森林のこのフィールドを最大限に活かして、森林組合の林業メンバーと一緒に面白い企みをしていました。

しかし、どちらも新型コロナウイルスの関係上、当面実行はあきらめざるを得ないことに。この1年で事業にかけるはずだった時間が、ポカン

空いてしまった時間を「今できることに使おう」と夫婦で話し計画を作り直した4月初旬。そこで募集を始めたのが、「オンライン移住相談会」でした。

夫婦で移住し、リアルに村で暮らしているからこそ、伝えられることがあると思う

オンライン移住相談会は、移住スカウトサービス「SMOUT」さんを使って受け付けています。

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【オンライン移住相談会】家族や夫婦で移住に興味がある人、まずはオンラインで話しませんか?

もともと、担当者さんから「夫婦で村づくりに取り組んでいる事例は、他にあまりなくユニーク。そこをもっと打ち出したほうがいいですよ」と言われていました。

僕自身は移住前、地方創生PRの仕事で100地域ほどの自治体とやりとりをさせてもらいましたし、嫁も数カ所でのお試し移住経験がある。

そして夫婦で人口22万人の渋谷区から人口900人の根羽村に移住し、全然違うギャップの中で1年間リアルに暮らしました

こんなタイミングなのでニーズはあるだろうなと予想して出してみたら、あれよあれよと連絡をもらい、1週間半で10組の相談を受けました。思っていた通りでした。 

そして、多種多様な方々とお話することができました。

・2拠点生活を検討しているカップル
・よりふたりの時間を取るために地方移住を考えている同性カップル
・現在は海外在住で、帰国後に地方に住みたいと考えているファミリー
・数年後に地方に移住したいご夫婦、独身者
・将来は海外移住を検討。まずは地方移住を検討中のカップル

ここからは、移住相談に乗った中で共通して話したことを簡単にまとめました。

「移住」のプロセスは、「就活・転職活動」とほぼいっしょ

まずどの方にもお伝えしているのは、「移住って、就活や転職みたいなものなんですよ」ということ。

移住したら、今抱えている悩みや不満がきれいさっぱり消えてなくなる……わけがないんです。転職もそうですよね。移住も転職も魔法ではありません。居場所を変えるだけで自動的にすべてが好転するわけではないんです。

じゃあ、何が大切なのか。それはやっぱり「自分軸」。つまり「どう生きたいか」。

移住により、自分はどうなりたいのか。何を欲しているのかについて、まずは軸を定める。地域おこしや地域プロデュースといった「やりがいのある仕事をしたい」なのか、「家族との時間を大切にしたい」ライフワークバランス重視なのか。「自給自足など、理想のライフスタイルを実現したい」人もいるでしょう。

セグメントするとこんな感じです。

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就活や転職活動を始める際に、優先すべきは給与なのか、業種なのか、一緒に働く人なのか・・など考えるのと一緒で、「何を優先順位の一位にして生きたいか」を考えてみることが大切です。ちなみに、僕らはライフスタイルを軸にして移住を決意したので左上が軸でした。

ちなみに仕事軸が強い人なら「地域」を調べるより、「地域の求人」を調べた方がいいです。「日本仕事百貨」さんは地域の面白い仕事がたくさん掲載されてます。

その地域にある「地域風」と「規模感」は自分に合うのか

また「地方」といえども、その土地土地には「土地柄」がある。僕はこれを「地域風」と名付けました。企業でいうと「社風」と同じです。

移住者を歓迎する地域風のところもあれば、そうではないクローズドな地域風のところもある。山あいには何となくのほほんとしている人が多かったり、海辺にはヤンチャな気風の人が多かったり。

また規模感、つまり人口数によっても地域の特性は大きく異なります。いうならばベンチャー企業で働くのか大企業で働くのか、みたいな。僕的なセグメントは大体、こんなイメージです。

●人口3,000人くらい:ベンチャー・中小企業
●人口1万人くらい:それなりに大きい企業
●人口5万人以上:大企業

3,000人程度の地方は、ザ・村暮らしのイメージ。みんなそれなりに顔見知りで、関係性も濃い傾向にあります。噂話もすげースピードで飛びます。(笑)

1万人程度の地方は、その中に活発なコミュニティが複数あり、自分に適したコミュニティを選んで属しやすいでしょう。

さらに多くなれば、よりコミュニティの選択肢が増えていきます。5万人以上だともう大企業なので、一概に「これ!」とは括れなくなるでしょう。同じ市の中に海に近いところもあれば、都会的なところもある。そんな多様性が育まれているかも。

僕たちが住む根羽村は、人口900人で森が92%の「THE 山村」。なのでコミュニティも限定的、どちらかというとのほほん。濃い人間関係を好む僕たちには向いていますが、濃密な関係性にストレスを感じてしまう方は、もう少し規模の大きい土地のほうが合っているかもしれません。

という感じで、「地域」といっても一概に括れないので、「移住」のスタイルは千種万様です。

興味があったら「暮らし体験」がオススメ

でも、どんなに調べても、データだけでは本当のところはわかりません。そのため、皆さんには「お試し滞在」をおすすめしています。

地域には「お試し入居制度」を設けているところがたくさんあり、移住の興味がある人に1~2週間程度住んでみるんです。1日1,000円くらいで家具付きで泊まれるところがバンバンあります。

ちなみに注意点を1つ挙げると、地方側は150%移住してきてほしい気持ちがあるため、良いことを言うと良い顔します。企業の説明会と一緒でしょ?

会社も入ってみなければわからないのと同様、地方も移住してみないと100%わかることはない。ってか地域の本質は10年くらいすまないと多分わからないくらい、文化が深い。笑

だから実際に過ごして肌で感じることが、やっぱり大切だと思います。僕は根羽村に移住前に20回ほど累計で通ってたので、今の所移住前に想像した8割くらいイメージ通りでした。

オンライン移住相談会、こんなことをよく訊かれています

実際にオンライン移住相談会を開始したなかで、よく聞かれる質問とその答えについてご紹介します。

Q. 仕事はあるの? 先に仕事を決めてから移住したの?

A. 仕事に関しては、本当に真っ先に訊かれます。まず僕らのケースでいうと、仕事よりも移住することを先に決めました。僕は、会社に「移住することに決めたので、今後の仕事について相談したいです」と相談をしましたね。

「地方だから仕事がない」と思っている方もいますが、「選択肢が少ない」だけでないわけではありません。地域協力隊や起業人、移住コーディネーターなど、活用できる国の制度もたくさんあります。求人を出していないだけで、役場や企業も人手不足に悩んでいるところが大半なので、都内の民間企業で働いていた人のスキルを求める採用ニーズは高いはず。

ただ、「やりがいのある仕事」を求める場合は選択肢はかなり限られます。「地域には仕事はない」、というのは「地域には(やりがいのある)仕事がない」とヒアリングするのが正しいと思います。

Q. 生活はしていける?

A. 仕事と同時に、気になるのは「お金」。移住相談会では杉山家の家計簿をリアルな数字と共にお見せして説明しています。僕らの場合、年間250~300万円程度あれば、十分豊かに暮らせる計算です(年金・車検代・姫のオムツ代も含め)

数字は明確なので、刺さる人が多いですね。一気に現実味を帯びてくるので、夢見心地で移住について考えている人には、「リアルな内容を詰めたほうがいい」と特にお伝えしたいです。

カップルや夫婦、家族での移住を検討している方は、ふたりないし家族で話し合い、意思決定プロセスをきちんと踏んでおくことが大切ですよ!

Q. 買いもの事情、病院事情はどう?

A. 移住してから妊娠、出産をしたこともあり、産院事情について訊かれることも多いです。子育て環境のために移住を検討される方も多いですしね。

根羽村に関しては、「都会のように車で10分以内にある」「病院が選べる」わけではありません。車には乗れたほうがいいですね。我が家の出産の時は、破水してから1時間半車で運転して病院に行きました。笑

買いもの事情については、Amazonが届くか訊かれることがよくあります。根羽村でも1日で届きますので不便に感じたことはないです。

移住相談は、「どう生きたいのか」を考えるいい機会

僕らがやっているのはあくまでも「移住」にまつわる相談。なので、「根羽村移住への斡旋」は一切やっていません。笑

「どう生きたいのか」が明確ではない人が、僕らと話すことで軸を見つけていくきっかけになれたらと思っているんです。

実際に、「あなたにはここが合っているかもしれません」と具体的な地域の紹介をしてます。

「どう生きたいのか考えよう」と言われると、何やら難しそうな気がしてきてしまうかもしれませんし、相談するハードルが高いように感じてしまう人もいるかもしれません。

でも、実際のオンライン移住相談会の雰囲気は、時にまったり、時に真剣に話す和やかなもの。平日土日、昼間から夜まで、日程も融通を利かせられます。

新型コロナウイルスが落ち着くまでは「根羽村に遊びにきてね!」と言えないことが残念ですが、今の世の中だからこそ考えたい「これからの生き方」について、ぜひ僕たちの体験が力になれればと思っています。

<相談に興味ある人はどうぞ、こちらからご連絡ください>

【オンライン移住相談会】家族や夫婦で移住に興味がある人、まずはオンラインで話しませんか?

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