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相手の価値観を否定せずに行動を変えるためには-社会的証明の話

先日,子どもの手に刺さったトゲを抜こうとした時に,「老眼」が始まりつつあることに気付かされたTOMMYです。#どうやら遠近がおかしい

今回は心理学にも関わる,人の"行動変容"に関する話です。

「社会的証明」とは

皆様,今回のタイトルにもある「社会的証明」というワードを聞いたことはあるでしょうか。社会的証明とは,

伝統的な考え方で,自分の考え方よりも周囲の人たちの判断を頼りにしてしまう心理原則

のことです。「赤信号みんなで渡ればこわくない」の心理ですね。

つまり多数の判断や,"信頼しているあの人"の判断が無条件に正しいと考えることです。自分で考えて選択することがベストですが,自分で判断しているようで,周囲の考え方に影響を受けていることは大なり小なり,誰にでもあると思います。

ここで僕はよくしてしまいがちですが,相手が信じて従っている,この「社会的証明」を真っ向から否定することは,相手の行動を変えることにつながりません。むしろ相手は,否定されたことで,より一層その捉われている考え方に意固地になる可能性があると思います。

例えばこんな場面で

例えば,医療現場でよく目にする「社会的証明」とは,テレビで「AというサプリやBという飲み物が体にいいと聞いた」といったことです。

でも正直,医薬品以外の商品って,実際に体にいいかどうかを検討するのはすごく難しいことです。患者さんの持っている病気によっては,それを摂取することで望ましくない結果が起こりうることも少なくないです。

そういった時に仮に,「あなたは腎臓の数値が悪いからそのAというサプリを飲むのはやめておきなさい」と突っぱねたとしたら,その患者さんは「じゃ,サプリを飲むのをやめておこう」ってなるでしょうか。

医師患者間の関係性にもよりますが,多くの人は,「テレビでいいと良いと言っていた」「たくさんの人がこのサプリを飲んでいる」といった「社会的証明」を信じています。もちろん情報をしっかり吟味した上で,選んでいる人もたくさんいるとは思いますが。

この社会的証明を否定した時には,患者さんは「この先生は何もわかっていない」となってしまうのではないでしょうか。ドクター側も「過去に安全性が検討されていないこんなサプリに頼るなんて,話にならねぇ!」と一刀両断してしまうと,お互いに分かり合えないまま信頼関係が壊れ,治療が進まないことが起こりうると思います。

相手に自ら考えさせる問いをする

ではどうしたら,相手に(仮に間違った)「社会的証明」がある場合に,相手の考えをストレートに否定せずに,相手の行動を変えることができるのでしょうか。

僕は,結局は"自分の体は自分で考えてもらう"ことしかないと思います。そのためには,相手に問いかけることが重要だと思います。

例えばこんな感じでしょうか。

「あなたは自分の食生活に満足していますか」
「あなたは今の治療内容に満足していますか」

こういった問いかけをして初めて,「実は食事療法がうまくいっていなくて」とか「食生活に関して,先生に前から聞きたいことがあって」とか「Aというサプリを信じて飲んでいますが,ほんとに体に良いかどうかは,実は疑問に思っているところもあって」といった,患者さんの本音が聞ける可能性があります。

そこから「Aというサプリは,たしかに体にいいかもしれませんが,腎臓が悪い人には,あまりよくない影響が出るかもしれません」といったアドバイスができ,それが患者さんの心にも届く可能性があります。

最適な答え探しは,問いかけをすることから始まる

まずは相手の「社会的証明」を否定せずに,問いを投げかけることによって,自分の体を「自分ゴト」として考えてもらうことから,お互いに納得できる治療の答えを見出すことができるのではないかと思います。

患者さんとともに,最適な治療を一緒に考えながら進めていくためには,相手の「社会的証明」を否定しない。自分自身への戒めとして,今後も気をつけていきたいと思います。

参考図書:メンタリストDaiGo「超影響力」

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