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品川 力 氏宛書簡 その二十五
昨夜は大へん愉快でした。ありがたう。
お母さまの方へもお願ひして置ましたが、若しお気が向いた
ら、是非おいて願ひたいと思ひます。
僕は着物などには素人で一向に話が分らないものですから。
あつい日ざかりをお気毒に思ひますが、友だち甲斐に是
非お願ひいたします。
ノート
三日
与志夫
[消印]14.7.3 (大正14年)
[宛先]芝区 神谷町 九 光明寺 境内
品川 力 様
品川 約百 様
(日本近代文学館 蔵)
※品川約百(陽子)さんの詩をご紹介します。
月 下 の 戀 人(二等當選)
品 川 陽 子
さやかにも
月を吹く風か
ほのぼのと
靑草ゆるぎ
かそかなる
君が身じろき
よりそひて
あゝわれら
つかのまの喜びに
そこはかとなく
匂はしく
影なす木の間
詩 選 評
佐 藤 春 夫
品川陽子君は既に以前から馴染のある作者である。馴染の人と言へば外にも三四人名を覺えてゐる人がゐたが、みんな以前よりも面白く無くなつてゐたのに非常に失望した。品川君のも以前の最上のものにくらべるとこの作は劣つてゐる。この作者としては型にはまつた題目でもある。それでもやはりこの人でなければ能くし得ない品位と魅力とーー素香幽韻は自らあるやうに思ふ。〈中略〉かういふわけでさびしくはあるが草香、品川二君の二篇だけを發表して貰ふことにする。
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