夢 夜光詩社 草川義英
ゆくりなく眠りさびしむ心にて昔お
もふにた江がたき日よ
雨の音秋の夜の雨ふける思こゝろに
泌みし人も忘れず
君にしてしみじみ偲ぶ雨のおとわが
み思ふにた江がたき夜は
□病みだれ□
病室にやむ人びとの心なれ野なかし
きりて蟋蟀なくなり
ほそぼそとはぎの毛悲し病むともを
偲びつ泣ける病院の雨よ
□秋□
大いなるちからも強きひそやかな雲
にのりくる秋を悲しむ
冬きたれ冬ともならばわが愁凍りて
心やすくなるらむ
ひらりひらり汗ひたぶらし小馬見ゆ
秋の麥穂のた江また江まに
附記前記「童貞の日よ」に作者「草
川義英」氏の名を脱す
(函館毎日新聞 大正六年十月十二日
第一万一千五百六十四號 十一日夕刊 一面より)
※草川義英は與志夫の函館商業学校時代のペンネーム、同学校の生徒
を中心に結成された夜光詩社という短歌クラブに所属していた。
※[解説]夜光詩社について
#函館毎日新聞 #大正時代 #夕刊 #短歌 #函館
#夜光詩社 #函館商業高校
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?