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「デマ」というけどデマじゃない

先日、河野太郎大臣ワクチンデマに対する注意喚起を行っていました。私なりに、そのデマとされる内容をみてみましたが、ちょっと微妙な感じがしています。

指摘されている問題の中には、明らかにデマと思われるものはあります。しかし一方で、デマとは言えないものがある印象です。デマとは言えないというのは、まだ分からないことが多いため、それをデマだと決めつけるべきではないという意味です。

そして、何よりも引っかかるのは、デマとも言わずに言及を避けている問題です。そうしたテーマについては、コンテンツやアカウントが削除されるという流れになっています。

しかし、それらが本当にデマだというのであれば、きちんと検証をして、「それはデマである」と反論すべきです。それを一方的に削除するなどして、真っ当な議論をさせない方向に動いていることが、一層、問題の疑念を深めさせています

ということで、私自身としても、「それはデマだ」という指摘に対しては、なるべくきちんと向き合っていくことが大切だと思っています。

そんなことを思っているところで、こんなサイトを見つけました。私自身、今までさんざん「ワクチンの治験は終わっていない」、「人体実験だ」などと書いてしまっているので、こういう指摘に対しては、真摯に向き合わないといけないと考えています。

こちらの記事、いろいろと書いてありますが、一番のポイントはここにあるようです。
※このサイトの筆者を個人攻撃しようなどという意図は毛頭ありませんシンプルに論説としてお読みいただければと思います。

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上図は、https://www.hoe2021.com/?p=151からの引用です。

ここでは、「『治験』とは、国に承認を得るためのものであり、国の承認を得たものは『治験』ではなく臨床試験なのだ」ということのようです。なるほど、勉強になります。

国が承認をした以上、それはもう「治験」は終わっているということのようです。ただし、ここでどうしても引っかかってしまうのは、今回の国の承認が、かなり特別だということです。

既に別記事でも取り上げていますが、ファイザーのワクチンについて、FDA(アメリカ食品医薬品局)から出されている「ワクチン接種を受ける人と介護従事者のためのファクトシート」という文書では、このように明記されています。

ファイザー - バイオンテック COVID-19 ワクチンは、COVID-19 を予防する可能性のある、未承認のワクチンです。 COVID-19 を予防するための FDA 承認のワクチンは、まだありません
FDA は、緊急使用許可(EUA)に基づいて、12 歳以上の個人を対象に、COVID-19 を予防するためにファイザー - バイオンテック COVID-19 ワクチンの緊急使用を承認しました。

微妙ですよね?たしかに「緊急使用を承認しました」という言葉尻を捉えれば、「承認」とも言えますが、一方で「未承認のワクチン」、「FDA承認のワクチンは、まだありません」と書いてある以上、これを無視するのもどうかと思います

上掲、「嘘」だと指摘する記事では、さらにこのような記述があります。

治験つまり必要とされる安全性の試験(第Ⅲ相試験)はクリアしており、製造販売後の長期的な観察が続いているだけです。これは他のワクチンを含む新薬でも行われることです。

製造販売後の長期的な観察が続いているだけ」とサラリと流していますが、この部分こそが非常に大切です。本来、承認を受けるためには必要な手順が、まさにこれなわけです。逆に言えば、これを終えていない以上、本来的な意味で「治験は続いている」と言うべきではないかと思うのです。

もっと言うと、今回の遺伝子情報が絡むような人類初のワクチンを打つにあたって、長期的な観察を経ずして、「安全性は確認できた」と断じることの方が奇異に思えます。

さらに同記事に張り付いているこちらの動画も確認してみました。

この動画で気になるのは、以下の部分です。

現在承認されているコロナワクチンは、これらすべての段階を経てから、適切な議論が行われて緊急使用許可が下りております。
ワクチンの副反応はそもそもほとんどが6週間以内に起こるので、第3相の臨床試験の承認前の経過観察期間っていうのは、少なくとも2か月経過がみられることが必須条件とされていました。
そして効果や副反応のデータを十分な期間詳しく評価してから、透明性の高い議論を経て、緊急下使用許可が下りたんですね。
ただ、第3相臨床試験の被験者は、その後も2年間の追跡調査が行われます。追跡調査は他のワクチンでも行われることなんですけれども、具体的には、
・免疫抗体価がどのくらい維持されるか。
安全性と有効性
それらが引き続き評価されます。ですので、第3相臨床試験の完了予定日は確かに2022年や、2023年と記載されているんですね。

最後のところで言ってますやん・・・

第3相臨床試験の完了予定日は確かに2022年や、2023年と記載されているんですね」って、そのまんまです。

百歩譲って、人類初のワクチンを検証するにあたって、今の段階で、「副反応のほとんどが6週間以内に起こる」ということを決めつけることが、果たして科学的と言えるでしょうか?それこそ理解に苦しみます。

緊急だろうが何だろうが、承認を受けたんだから、安全性と有効性の確認は終わっている!と断言するのは、人それぞれ勝手です。

しかし少なくとも、緊急承認である以上、それを通常の「承認」とは異なるものと考えるのは当然で、2年間の追跡調査を無視して、「ワクチンは治験が終わっていないから危険」というのを嘘と断じることはできないはずです。

人が何を信じるかは自由ですし、それを述べるのも自由であるべきです。しかし、その逆を嘘と断じて、広く流布する行為・言説こそデマである可能性があるのではないかという気がしてなりません。

新型コロナウイルスについては、陰謀論も結構ですし、ワクチンカルトもアリです。批判も自由だと思います。お互いオープンに議論すれば、その先に何か得るものがあるはずです。

私たちの周りの人々、世界中の大勢の人々の命がかかっている問題です。自由な討議を通じて、本当に必要なものは何なのかを追求し続けることが重要だと思います。

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